オーケストラ・アンサンブル金沢
ニューイヤーコンサート2005大阪公演
2005/01/10 いずみホール(大阪市)

1)バッハ,J.S./管弦楽組曲第3番〜エア
2)ロッシーニ/歌劇「セビリャの理髪師」序曲
3)シュポーア/ヴァイオリンとハープのためのコンチェルタンテ第1番ト長調
4)シュトラウス,J.II/喜歌劇「こうもり」序曲
5)シュトラウス,J.II/喜歌劇「こうもり」〜「公爵様,あなたのようなお方は」
6)シュトラウス,J.II/ポルカ「雷鳴と電光」
7)シュトラウス,J.II/アンネン・ポルカ
8)シュトラウス,J.II/ポルカ「観光列車」
9)レハール/喜歌劇「メリーウィドゥ」〜ヴィリアの歌
10)レハール/ワルツ「金と銀」
11)カールマン/喜歌劇「チャールダッシュ伯爵夫人」〜ハイア,ハイア,山こそわが故郷
12)(アンコール)シュトラウス,J.II/ワルツ「美しく青きドナウ」op.314
13)(アンコール)ジーツィンスキー/ウィーン,我が夢の街
14)(アンコール)シュトラウス,J.I/ラデツキー行進曲
●演奏
マイケル・ダウス(リーダー,ヴァイオリン*3)オーケストラ・アンサンンブル金沢
吉野直子(ハープ*3),マルセラ・セルノ(ソプラノ*5,7,9,11,13),トロイ・グーキンズ(司会)

Review by ねこさん  

OEKニューイヤーコンサート大阪公演に行ってきました。私にとっても今年の「コンサート始め」です。プログラムはアンコールまで含めて金沢で演奏されたものとまったく同じでした。

最初にバッハのアリアが演奏されましたが、大阪ではこれに先立ってトロイさんが「スマトラ島沖の地震の犠牲者を悼んでこの曲を演奏します。演奏後の拍手はお控えください。」という内容のことを日本語と英語の両方でアナウンスされました。

続いてダウスさんが登場されて「セビリアの理髪師」序曲、シュポーアの協奏曲と金沢と同じようにプログラムが続きます。シュポーアの曲は初めて聴きましたが、とても典雅な美しい音楽だと思いました。プログラムの解説によるとヴァイオリニストでもあった作曲者がハーピストである妻と一緒に演奏するために書いた曲だとか。曲の雰囲気はモーツアルトの「フルートとハープのための協奏曲」に共通するものがあるように感じたのですが、モーツアルトの曲もフルート奏者の父がハーピストの娘と共演するために作曲を依頼したもので、そのあたりの事情も何だか似ていますね。

この曲では吉野さんのハープとともにダウスさんのストラディバリウスのキラキラ輝くような音色を堪能することができたのもうれしいことでした。二人の独奏者とオーケストラだけで見事に絵になっている感じで、指揮者なんて要らないな、協奏曲というのは本来こうした形で演奏するのがふさわしいものかもしれない、と思ったりもしました。

後半はトロイさんのトークに続いてダウスさんの弾き振りによる「こうもり」で始まりました。CDを聴いて、こんなにテンポの揺れる曲をいったいどうやってこんなに見事に合わせているのだろう?と以前から不思議に思っていたのですが、実際に目にしてみて納得。オーケストラ全体の感じ方がうまく統一されていると音楽は自然にあふれ出て前へ前へと進んでいくものなのですね。

そのあと登場されたマルセル・セラノさんの艶やかで色っぽい声と芝居っけたっぷりの仕草には本当に圧倒されました。たった一人なのにあの存在感!まるでウイーンのオペレッタが引越ししてきたかのように思われるほどです。

歌つきのアンネンポルカというのは初めて聴いたのですが、最高におもしろいものでした。トロイさんが開けたシャンパンのビンからドドッとグラスに注いだのを持って歌い始め、それを一滴もこぼさすに超リアルな酔っぱらいの演技をやってのけ、最後に一気に飲み干して終わり!まるで一幕のお芝居を見ているかのようで、もうお見事!というしかありません。歌詞がわからなくてもあのお芝居ですべてわかってしまうところはさすがだと感嘆してしまいました。

大阪では歓迎演奏やダウスさんやセラノさんの「お色直し」はありませんでした。このへんは地元の方がサービスがよかったみたいですね。ただ団員のサイン入りの立看板ははるばる金沢から運んできたらしく、ロビーの出口付近に飾られていました。大阪公演はお客さまの入りが今ひとつだったのですが、それでも見事な演奏で楽しませてくれたOEKの皆さんやダウスさん、吉野さん、セラノさんたちに心から「ありがとう!」の拍手をおくりたいと思います。来年も楽しみにしています。でも、来年はダウスさんの弾き振りはなくなるかもしれないって本当ですか? (2005/01/11)