オーケストラ・アンサンブル金沢 大和郡山公演
2005/02/13 やまと郡山城ホール
1)ベートーヴェン/交響曲第2番ニ長調op.36
2)ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調op.55「英雄」
3)(アンコール)ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
●演奏
金聖響指揮オーケストラ・アンサンブル金沢
Review by ねこさん  

2月13日のOEK大和郡山公演を聴いてきました。
金聖響さんの指揮でベートーベンの2番、3番というプログラムです。

会場のやまと郡山城ホールはまだ新しいとても響きのいいホールです。この響きの中で聴くせいか、最初はCDの演奏よりもややソフトな感じに思えたのですが、演奏が進むうちにどんどん引き込まれてしまいました。

第2番は9月の大阪公演で岩城さんの指揮でも聴いています。ベートーベンの交響曲の中では演奏される機会の比較的少ない曲ですが、この2回のOEKの演奏を聴いて私はこの曲がすっかり好きになってしまいました。

岩城さんの指揮による演奏もよかったのですが、金聖響さんの演奏はそれにも増して劇的なおもしろさがありました。1楽章の生き生きとした躍動感、2楽章のメロディの美しさ、いたずらっ子のような3楽章、ユーモアと生命力に満ちあふれた終楽章。各楽章の性格が見事に描き分けられ、とても新鮮な感じです。指揮は要所要所をおさえるだけであとは自由に走らせているように見えましたが、オーケストラは主体的に音楽を作りつつも確実に金さんの意図する方向を理解して走っているように思えました。

とりわけ、的を違わずくさびを入れるかのようなティンパニの響き、管楽器ではファゴットの艶やかな音色が印象に残っています。またダイナミクスの差が非常に大きくて、終楽章の終わり近くピアニシモのきざみから爆発的なフォルテに移る部分など、胸のすくような爽快な感じを味わうことができました。

第3番では2楽章がたいへんおもしろかったですね。弦楽器のビブラートを抑えたくすんだ響きは葬送の悲しみの雰囲気にとてもよく合って、重い足どりで進む葬列そのままという感じです。またノンビブラートで演奏される長い音には吸い付くようなねばりを感じさせるところもあってこれも新しい発見でした。3番ではなぜか1、3楽章のリピートが省略されていたようです。演奏時間の関係だったのでしょうか。

アンコールには「プロメテウスの創造物」序曲が演奏されました。一糸乱れぬみごとな弦楽器の動きにはいつもながら感嘆してしまいます。OEK+金聖響さんのベートーベンをたっぷりと楽しむことができて幸せな一日となりました。またこの次の関西での公演を楽しみにしています。 (2005/02/16)