親子のためのわいわい!クラシック
石川県立音楽堂楽友会活動記録
2005/03/06 石川県立音楽堂コンサートホール

I OEK木管三重奏メンバーによる演奏
1)ドヴォルザーク/ユモレスク
2)ハイドン/ロンドントリオ
3)ミヨー/コレットによる組曲から
4)(アンコール)木曽節
II.遊学館高校バトントワリング部によるパフォーマンス
5)Too much love will kill you
6)アニメ「ふたりはプリキュア」〜主題歌,エンディングテーマ
III.松任中学校合唱部による女声コーラス
7)シャーマン/イッツ・ア・スモール・ワールド
8)木下牧子/ほたるたんじょう
9)弘田龍太郎/春よ来い
●演奏・出演
OEK木管三重奏メンバー(加納律子(オーボエ),木藤みき(クラリネット),渡邉聖子(ファゴット))*1-4
遊学館高校バトントワリング部*5-6
松任中学校合唱部*7-9
太郎田真理(司会)

Report by 管理人hs

石川県立音楽堂には「楽友会」という文化ボランティア組織があり,邦楽・洋楽を問わず音楽堂で行われる各種イベントのお手伝いなどを行っています。私もこの組織に所属しています。今回,「今度の日曜日お暇ですか?」という事務局からのお誘いがありましたので,何をするのかよくわからないまま「はいはい,お手伝いしましょう」とコンサートホールで行われるイベントのお手伝いをしてきました。「楽友会というのはこういうことをしているのだ」というPRにもなるかと思い,演奏会の内容とともに楽友会の活動・舞台裏を紹介してみたいと思います。

今回お手伝いしてきたのは「親子のためのわいわい!クラシック」という親子で楽しめる演奏会でした。このコンサートは午前11:00からと午後13:15からの2回行われ,私はその2回とも手伝ってきました。次の順に写真を交えながら紹介しましょう。
  1. 開演前の準備
  2. 午前の仕事:ホール内での仕事・・・サイド席は怖い
  3. こんな演奏会でした
  4. 1回目の反省と2回目に向けての準備
  5. ひとやすみ・昼食
  6. 午後の仕事:「いらっしゃいませ」入口に立つとは
1.開演前の準備
■1回目は午前11時からの演奏会でしたので,午前10時に音楽堂に来て,準備を手伝うことになっていました。行ってみると,既に私以外のボランティアの方は皆さん来ておられ,配布チラシにアンケート記入用鉛筆をセットする仕事をされていました。

アンケート記入用鉛筆の入った箱

完成したものを入口前の机に置いていきます。
■2階席ホワイエのソファ前に置いてあるテレビの画面の電源を入れました。ホール内の映像をロビーでも見ることができるような設定にしました。
■リハーサルが終わった後,ゴムの留め具でコンサートホールへの入口扉の固定をしました。今回のコンサートは親子コンサートということで,演奏中の出入りが頻繁に起こることが予想されたので,演奏中もずっと開けておきました。ただし右の写真のように二重になっている扉の片側だけを互い違いに開けておくようにしました。同じ側を開けるとホールの中に光が入る上,音が漏れやすくなるからでしょうか?
入場券のモギリ開始。今回はいつものコンサートとは違い,コンサートホールへの階段を登りきったところで入場券のモギリをしていました。これも楽友会の方がお手伝いをしていました。
■一方,こちらは開場前の入口付近です。滅多に見られない風景なので,写真に撮っておきました。
■その頃...この扉の向こうのホワイエはお客さんで賑わっていました。この日は「ドリンク付きチケット」だったため,いつもにも増して人が沢山いました。日曜日だったこともあり,「おとうさんん・おかあさん・子供」という組み合わせが目立ちました。
開場の時間となり,どっとお客さんが入ってきました。

2.午前の仕事:ホール内での仕事・・・サイド席は怖い
というわけで順調にお客さんが入ってきました。その後の私の仕事は2階席に行って,サイドのバルコニー席にお子様連れのお客さんが座らないように見張る,という役目でした。音楽堂の2階,3階のサイド席には手摺は付いているものの,興味深々の子供たちが乗り出したりすると,かなり危険です。そうなる前に座らないで下さい,というのが仕事です。

はじめはあまり人が入ってきませんでしたので,「楽勝,楽勝」と思っていたのですが...次第にお客さんが増えてくると,サイド方面に行こうとする人が出てきました。そのたびに「危険ですので,正面の席の方へお移り下さい」といったことを説明して移ってもらっていました。

そういったことをしているうちに「前回も親子でこの席で見ました。ここの方が見やすいんです」とおっしゃられる方が現れました。ここはどうしたものかと考えたのですが,「とても大人しそうな子供だ」「何せお客様は神様だからな」と判断し,「わかりました,お子さんには特にお気をつけ下さい」という感じで認めることにしました。

しかし,その後が困りました。この人を認めてしまった後では他の人を断るのが非常に難しいのです。「すみませんが,正面の方に...」と言うと「あの人たちは?」と言われ困ってしまいました。「お子さんはサイドだと危険ですので...」と理由をもう一度言うと「危険だからダメなんですね」と理由を納得してもらいホッとしたりしました。

というわけで,「最初に認めた私が愚かだった」と自分を責めたり,「おっ,またバルコニーに子連れが向かっている。行くな行くな,戻って来い(と心の中で思う)」と気の弱い私のようなものには少々胃が痛くなるような仕事となってしまいました。このことを踏まえ,第2回目は方法を変えることにしました。これは後述します。

3.こんな演奏会でした
少々サイド席のことは気になりましたが,何はともあれ,ステージでは演奏会が始まったので,ホッと一息ついて空いた席に座って演奏会を聞くことにしました(500円のコンサートでしたが,この辺は役得です)。今回のコンサートは次のような内容でした。

親子向けのコンサートということで,三部構成合計45分という内容でした。また演奏会を和やかなムードにするために司会者もいました。「わいわいコンサート」は,過去数回のノウハウもあるせいか,とてもスムーズに進行していました。

最初はオーケストラ・アンサンブル金沢の3人の女性木管楽器奏者によるステージでした。ひな祭りからの連想で言うと「三人管女」という感じでしょうか(このネーミング使えないですかね?)。オーボエの加納さんのおしゃべりを交え,穏やかな雰囲気のあるステージとなっていました。

加納さんのトークの中で「雛人形を3月3日の後まで出しておくと,お嫁に行き遅れると言われていますが...我が家ではそうだったようです」という話が出てきたのですが,楽友会の長老(?)の方のお話だと「金沢だと4月まで出しておいてもOK。まだ片付けんでも良い。ここは金沢の流儀に従ってもらわねば困る」とのことです。そういえば我が家の雛人形もまだ片づけていません(深い意味もなく,「せっかく出したのにすぐに片付けるのももったいない」という意味だけですが)。というわけでこれは,演奏会が行われている間,楽友会の方ではこういう突っ込みを入れては楽しんでいる,という余談でした。

続いて,遊学館高校バトントワリング部のステージとなりました。何か唐突な転換という感じはしましたが,子供たちはとても真剣に見ていました。最初の3年生チームによるアクロバティックな技も良かったですが,後半の1年生チームによるアニメ「ふたりはプリキュア」の曲の方が子供たちは喜んでいたかもしれません。

最後は松任中学校の女声合唱団によるステージでした。この合唱団は全国大会で銀賞を受賞した実績もあるということで,とても正統的な美しい響きを聞かせてくれました。2曲目の「ほたるたんじょう」という曲などはもっと落ち着いた環境で聞いてみたかったなという気がしました。

最後に全員の合唱で「春よ来い」を歌って演奏会はお開きとなりました。

4.1回目の反省と2回目に向けての準備
午前の部は無事終わりました。左の写真は最後のお客さんが出て行かれた辺りです。その後,回収したアンンケートを束ねたりしていました。
■コンサートホールの中では,ステージ上のピアノの片付けを手伝ったり(左の写真),客席に忘れ物がないかチェックをしたり(右の写真)しました。
■上述のとおりバルコニー席が座っても良い状態になっているとどんどんお客さんが入ってくるので,2回目はバルコニー席は締め切るということにしました。パーティション(左の写真)及び貼り紙(右の写真)をし,物理的に入れないようにしようという作戦です。ちなみに3階席も使用禁止ということにしました。午前中もかなり座席に余裕があったのですが,多分,午後の方がお客さんは来ないだろうという読みがあったのもその理由です。
この辺は,子連れコンサート向けマニュアルというのがあるとすれば,最初から実施しておくべき点だと感じました。いずれにしても禁止事項は誰の目にも明確にしておくというのが原則ですね。

■左の写真は2階席にあった親子鑑賞室(正確な名称は忘れましたが)の内部の写真です。滅多に入れないので,記念に一枚写真を撮って来ました。部屋の中でもちゃんと音は聞こえましたので,結構使える部屋だと感じました。

5.ひとやすみ・昼食
■というわけで何とか1回目が終わりました。昼の12時を過ぎていましたので,用意して頂いた弁当を食べました。ひな祭りに相応しい菱形の弁当箱でした。
■どこで食べようかと思ったのですが,1階ホワイエのソファーがいちばん手ごろだったので,この場所で食べました(通常は飲食禁止の場所ですので真似しないで下さい。外から見られていたりして...)。写真に写っているのはベテランのボランティアのお二人です。

6.午後の仕事:「いらっしゃいませ」入口に立つとは...
■午後からの2回目の公演に向けて,このコンサートのポスターをもう少し目立つ場所に貼ることにしました。午前中から貼っておいてもよかったのですが...。
■ポスターを貼った付近で丁度モギリをやっていたので写真を撮って来ました。楽友会の皆さんは客あしらい(特に子供のあしらい)が上手だと思いました。右の写真は当日券売場です。こちらもボランティアの方が手伝っていました。
■左の写真はクローク付近の写真です。これも反省点ですが,クロークが使えない場合はそれを明記しておくべきでした。うっかり預かってしまった例が一つだけありました。クロークには,ボランティアの荷物やコートが既に数点掛かっていたので,お客さん及びボランティアがクロークが使えると勘違いしたようです。

やはりここでも「禁止事項は明確にしておく」というルールが当てはまります。演奏会終了後,クロークに荷物とコートを預けた人に対する対応を私がしたのですが,どの荷物を渡してよいのか迷ってしまいました。やはり,「本日はクロークは使えません」というサインが必要だったと思います。
■そうこうしているうちに,おなじみのチャイムが鳴りました。「今のチャイムは何のチャイムだ?」と皆で言っているうちに「開場のチャイムだ」ということが分かりました。だけどだれも入口に待機していません(当日券売場やモギリの方に既に行っていたようです)。

本能的に(?)私は足が動き,入口の扉に向かって歩いてしまいました。何をやるかよく分かっていなかったのですが,入ってくる人にプログラム+チラシ+アンケート一式を渡せば良いのだろう,と判断し,「私がこんなとこに居ても良いのだろうか?」と思いつつも,プログラム渡しをしました。

「来るぞ来るぞ」と待ち構えているような感じだとお客さんがプレッシャーを感じるかもしれないので,なるべくさり気なく待ち,近づいて来た瞬間にちょっと目を合わしてサッと渡すようにしてみました。幸い,私がプログラムを渡しても子供が逃げて帰ることもなく,ホッとしました。

「いらっしゃいませ」という言葉など言ったことがないので結構戸惑いましたが(学生時代の模擬店以来?),プログラムを渡した後,何らかのレスポンスを返してもらえるのは嬉しいものです。
■2回目が始まった後は余ったチラシを再度ばらす作業をしました。やはりこの日は天気が良すぎたせいか特に午後の部の入りはあまり良くなかったようです。大量に余ってしまいました。それとインフルエンザの流行が影響していると思います。我が家では「週末は人が沢山集まる場所に行かないようにしましょう(習い事も含む)」などというお知らせを金曜日にしっかりもらってきていたので,かなり影響があったかもしれません。

何はともあれ,余ったチラシを再利用できるものとできないものにバラシました。鉛筆をはずすのは簡単でしたが,これから先の公演のチラシを抜くのはなかなか面倒でした(左の写真中の青いものが次回のわいわいクラシックのチラシでした)。この辺はボランティアならではの仕事かもしれません。アンケート用紙については,再利用できる様式にしたらどうかという意見も出ていました。



というようなわけで私自身,初めてコンサート・ホールのサービス部門のお手伝いをしてみました。日頃やらない仕事をしたこともあって少々汗をかきましたが,なかなか心地よいものでした。この日は久しぶりに自転車で音楽堂まで来たのですが,それと合わせて気持ち良さを味わうことができました。
↑この日は快晴でした。晴れすぎていてコンサート日和でなかったかも...完成間近の金沢駅東広場付近の写真です。
(2005/03/06)