同志社女子大学音楽学科管弦楽団金沢公演
2005/09/09 石川県立音楽堂コンサートホール
1)リスト/交響詩「前奏曲」
2)コダーイ/ガランタ舞曲
3)サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調op.78「オルガン付き」
4)(アンコール)ドヴォルザーク/スラブ舞曲作品46の1
●演奏
黒岩英臣指揮同志社女子大学音楽科管弦楽団
高橋聖子(オルガン*4)
Review by 野々市町Tenさん
素晴らしい演奏会だった。先日の京大・エロイカにつづき学生オーケストラのレベルの高い豊かなハーモニーを堪能した。なんといっても各パートの充実、それが隅々に渡って品性をもって協調する。かすかなハープの一音、トライアングルの遠く小さな響き、大太鼓の一撃、ピッコロの輝き。全てが抑制がきいた表現であり、かつ清澄であり、迫力も十分なのだ。この夜はオルガン付きということで天板が最上部まであげられており、(最近はほとんどオルガンの中程まで下げてある)響きが上部に抜け多少混濁することも予想したが全くの杞憂に終わった。

前奏曲、かなり重くるしい曲で好きではないが、実演では初めて聞いた。ゆったりとした運び。曲うんぬんより皆さんの達者なこと、とりわけクラリネットがとびっきりセンスがあふれていて聞き惚れているうちに次の曲へ。

コダーイ、ね、やっぱりクラリネット上手でしょと皆さんに自慢したくなるくらい見事なソロ。もちろんフルートもオーボエもビーブラートが控えめながら鮮やか。打楽器も決めてほしいところがピシッと決まる。全く楽しい。

「オルガン付き」、冒頭から緊張感が漂う。ポコ・アダージョからがこの夜の白眉だった。深いオルガンの響きにのせて弦がユニゾンで歌う。ここも過剰な甘さはない。トロンボーン、ホルン、クラリネットにより主題を引き継ぐあたり、マーラーの交響曲を思わせ胸がいっぱいになる。第2楽章も実に堂々と鳴らしきった。ハ長調のマエストーソも金属的ではないあたたかな壮麗さだ。このような大曲で、アマチュアオケではよくブラス奏者を増やす傾向があるが、楽譜の指定どおりの三管編成でなんの不足もない。後半でやや木管に線の細さが感じられたし、重箱の隅を突っつくとホルン群がやや弱いか。しかしオルガンに対抗するのは無理というもの。この曲を実演で聞いたのは三度目、このホールでのオケ+オルガンは数回だが、そのバランスはこの夜がベストだ。

アンコールにスラブ舞曲作品46の1、多少リラックスしたのか、いままでの抑制がはじけた演奏。ハンガリーのリスト、バルトーク、そしてリストに捧げられた「オルガン付き」のプログラム構成だったのだから、別の選択がなかったかなとも思う。

黒岩さんは1990年から指揮・指導されているとのこと。オルガンの高橋聖子さんとともに賞賛したい。 (2005/09/11)