モーツァルト・フェスティバルin金沢
これがお薦め!モーツァルト名曲コンサートIV
2005/10/08 石川県立音楽堂交流ホール
第1部 神童モーツァルトによせて
1)モーツァルト/セレナード第13番ト長調,K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」〜第1楽章(未聴)
2)モーツァルト/メヌエット,マーチ(未聴)
3)モーツァルト/パントマイムのためのバレエ音楽「レ・プティ・リアン」K.Anh.10(299b)〜パントマイム
4)モーツァルト/ディヴェルティメントヘ長調,K.138
5)モーツァルト/ディヴェルティメント変ホ長調,K.563〜第1,3楽章
●演奏
三塚實指揮スズキメソード金沢ジュニア・アンサンブル(1-3);アルモニコ金沢ジュニア・アンサンブル(4),河村薫人(ヴァイオリン*5),米澤宏隆(ヴィオラ*5),池田沙和子(チェロ*5)

第2部 フルート名曲集
1)モーツァルト/フルート四重奏曲第1番ニ長調,K.285(ピアノ伴奏版)
2)モーツァルト/フルートと管弦楽のためのアンダンテハ長調,K.315(ピアノ伴奏版)
3)モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲ハ長調,K.299(ピアノ伴奏版)
●演奏
上野賢治(フルート),岸尾真紗子(ピアノ)

第3部 モーツァルト弦楽四重奏曲の魅力
1)モーツァルト/弦楽四重奏曲第3番ト長調,K.156
2)モーツァルト/ディヴェルティメントニ長調,K.136
3)モーツァルト/弦楽四重奏曲第6番変ロ長調,K.159〜第2,3楽章
4)モーツァルト/ディヴェルティメントヘ長調,K.138
5)モーツァルト/アヴェ・ヴェルム・コルプス(弦楽四重奏版)
●演奏
アンサンブル・チェルブ(坂口真紀(第1ヴァイオリン),坂口昌優(第2ヴァイオリン),松沼禎子(ヴィオラ),細川文(チェロ))

太郎田真理(司会)
Review by 管理人hs
モーツァルト・フェスティバルin金沢の企画の一つである「これがお薦め!モーツァルトの名曲コンサート」という無料の演奏会を聞いてきました。この演奏会は午後2時から石川県立音楽堂交流ホールで始まったのですが,3部構成になっており,そのまま夜のオーケストラ公演(こちらはコンサートホールで行なわれます)になだれ込めるようになっていました。第1部の最初の方は聞けなかったのですが,オーケストラ・コンサートにも行きましたので,2時過ぎから夜の8時半過ぎまで合計6時間も音楽堂に居たことになります。というわけで,夜の演奏会に備え,交流ホールでは,かなりリラックスして,半分昼寝をするつもりで聞いていました。この演奏会の場合,許して頂けるでしょう。
「リラックス」というのはこういう感じです。私もこういう雰囲気で聞いていました。 交流ホールのステージを写す大型モニターがエントランス付近にもありました。会場外の人もホールの様子を見ることができます。 せっかくなので,「カフェ・モーツァルト」でウィンナー・コーヒーを注文してみました。左の水色の紙はプログラムです。
以下,「風景写真的」に撮影した,ステージ写真と併せてご紹介しましょう。

第1部は「神童モーツアルトによせて」というサブタイトルが付いていました。それにちなんで,弦楽器を勉強している子供たちによる演奏が続きました。今回登場したのはスズキメソッドで弦楽器を勉強している子供たちによる演奏でした。プログラムを追うに連れて,段々と上級の子供が出てくるような構成になっていました。最後の弦楽三重奏などは,なかなかしっかりとした演奏でした。
交流ホール上部のガラス窓を通しても見ることができます。よくお客さんが入っていました。 最後は3人の奏者だけによる室内楽となりました。 OEKの団員たちものぞきこんでいました。

第2部は,フルートの上野賢治さんとピアノの岸尾真紗子さんによる演奏でした。演奏者には申し訳ないのですが,この日寝不足だったこともあり,夜のオーケストラ・コンサートに備えて,最初から「この時間は昼寝をする」と決めて臨みました。実際,半分ほど寝ながら聞いていたのですが,フルートの上野さんの演奏は見事なものでした。
フルートとの上野さんとピアノの岸尾さんです。

まずフルートの音がまっすぐで,しつこいヴィブラートが全然ありませんでした。古典的な曲を聞くにはぴったりでした。今回,フルートとハープのための協奏曲が全曲演奏されたのですが,それに加え,さらに2曲のフルート作品が演奏されました。合計すると1時間近くになると思います。ずっとフルートを吹き続ける体力はすごいと思いました。

楽器の方も2種類のものを使い分けていたように見えました。前半は黒っぽい楽器で後半は金属でできた楽器でした。後から「昼寝などせずにちゃんと聞いているべきだった」と思ったのですが,気持ちの良いフルートを聞きながら昼寝をするというのも贅沢なものでした。

ただし,これらの曲についてはやはりピアノ伴奏ではなく,オリジナルの形で聞いてみたかったと思いました。ピアノだとかなり乾いた感じに聞こえました。

第3部は「モーツァルト弦楽四重奏曲の魅力」というタイトルが付けられ,モーツァルトの16歳の頃の室内楽作品が集めて演奏されました。この辺の作品は,実演でなかなか聞く機会がない上,CDなどでは集中して聞けないので(BGM的に聞き流したくなります),今回のような機会は大変有難いものでした。
アンサンブル・チェルブの皆さんです(左側から坂口真紀(第1ヴァイオリン)さん,坂口昌優(第2ヴァイオリン)さん,細川文(チェロ)さん,松沼禎子(ヴィオラ)さん)

アンサンブル・チェルブのメンバーの方々のお名前は,金沢を中心とした演奏会や指導者の名前としてお見かけすることがあるのですが,今回の演奏も見事なものでした。第1ヴァイオリンの坂口真紀さんとその3人の娘たちといった感じのアンサンブルは,どの曲も安心して聞くことができました。特に凛とした第1ヴァイオリンのニュアンスがとても豊かで,一見地味なこれらの作品を飽きずに楽しむことができました。

今回,K.156,K.159といった初めて聞く弦楽四重奏曲が含まれていたのですが,どちらからもしっとりとした上品さや,リラックスした気分を感じることできました。2曲のディヴェルティメントはどちらも有名な曲です。K.136の方は先日,弦楽合奏版で聞いたばかりでしたが,細かな表情の変化を感じることのできる弦楽四重奏版も魅力的でした。

最後に,アンコール的にアヴェ・ヴェルム・コルプスが演奏されました。通常の合唱版で聞くと,この世のものではない「天上の音楽」という感じになりますが,弦楽四重奏版だと,もっと渋く,厳かな気分に聞こえます。いずれにしても落ち着いた祈りの音楽で今回の演奏会は締められました。
(2005/10/10)