オーケストラ・アンサンブル金沢
ニューイヤーコンサート2006大阪公演

2006/01/11 いずみホール(大阪市)

1)ベートーヴェン/歌劇「フィデリオ」序曲,op.72
2)チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲ニ長調,op.36
3)シュトラウス,J.U/皇帝フランツ・ヨゼフ解放祝典行進曲
4)シュトルツ:喜歌劇「失われたワルツ」〜 二人の心はワルツを奏で
5)シュトラウス,J.U/ワルツ「酒・女・歌」
6)レハール/喜歌劇「メリー・ウィドウ」〜ヴィリアの歌
7)シュトラウス,J.U/「踊り子ファニー・エルスラー」〜郊外のジーヴェリングで
8)シュトラウス,J.U/チク・タク・ポルカ
9)シュトラウス,J.U/歌劇「騎士パズマン」〜チャルダーシュ
10)レハール/喜歌劇「ジプシーの恋」〜 ツィンバロンの響きを聞けば
11)シュトラウス,J.U/ワルツ「美しく青きドナウ」
12)(アンコール)ジーツィンスキー/ウィーン,我が夢の街
13)(アンコール)レハール/喜歌劇「メリー・ウィドウ」〜「グリゼットの歌」+オッフェンバック/喜歌劇「天国と地獄」〜「カンカン」
14)(アンコール)シュトラウス,J.I/ラデツキー行進曲
●演奏
マイケル・ダウス(リーダー&ヴァイオリン)オーケストラ・アンサンンブル金沢
メラニー・ホリディ(ソプラノ*4,6,7,10,12-13),トロイ・グーキンズ(司会)

Review by ねこさん   Cissieさんの感想

ニューイヤーコンサート大阪公演に行ってきました。こちらも開演前にロビーでプレコンサートがあり、プログラムの内容やメラニーさんやダウスさんの衣装も金沢と同じものだったようです。前半の演奏の充実して素晴らしかったこと、そして後半の華やかで楽しかったこと、本当にサービス満点の素敵な演奏会でした。

チャイコフスキーは指揮者なしだから安全運転で行くのかと思ったらさにあらず、3楽章などどんどんテンポをあおってスリリングな響きを聞かせてくれて、本当にすごいなと思いました。ゆったりした2楽章ではダウスさんが歌うのにちゃんとオーケストラが反応しているさまがおみごと。時々ルバートがかかるメロディに合わせていく低弦のピチカートがまったくバラけないのが不思議でなりません。昨年も同じことを思ったのですが、指揮者なしでここまで見事にコンチェルトをやってくれるとなると、指揮者なんて要らないんじゃないの?と言いたくなります。
後半のステージのメラニーさんは本当に素晴らしかったですね。ウィーンで活躍されているようなので気がつかなかったのですが、ご出身はアメリカとのこと。いい意味でアメリカ流の開放的でフレンドリーな雰囲気をお持ちだと思いました。ステージから客席に降りる階段が用意されていたので金沢と同じような演出があるのかと思ったのですが、残念ながらそれは行われませんでした。

演奏面では本当に素晴らしく楽しむことができたのでよかったのですが、ここからはちょっと別の面についてお話したいと思います。

開演前のホール内の風景はちょっと異様な感じがしました。ロビーにダークスーツの男性がずらりと並び、招待したお客さまをお出迎え。連れの女性客の多くは着物や高級そうなスーツで着飾って、いかにも会社関係の招待で来られたことがよくわかります。おそらく普段クラシック音楽の演奏会によく出かける人たちではないことは見ただけでわかりましたが、案の定チャイコフスキーではぐっすりおやすみの方がたくさん見受けられました。そして1楽章が終わったところで盛大な拍手が・・・通常のコンサートではとても考えられないことです。2楽章が始まったときには「え、この曲まだ続くの!?」というため息のようなものが会場いっぱいに広がったのが感じられました。あんなにすごい演奏だったのにほんとにもったいない!

スポンサーがつく演奏会とはこういうものなのでしょうか?後半のトロイさんとメラニーさんのトークの中でもスポンサー企業の名前を出して感謝の言葉を述べるくだりがありました。昨年のガラガラの会場のことを思えば8割がた埋まったのは喜ぶべきことなのでしょうが、チケット発売初日に電話したのにバルコニー席しか買えなかった私としてはどうも納得できないものがあります。オフィシャルホームページでは早々に「完売」となっていましたが当日はそこそこ空席もあり、わずかですが当日券も売りに出ていたようでした。おそらく1階席は全部スポンサーの会社が買い占めて招待客に配ったのでしょうが、せめて後ろの数列だけでも一般のお客さまのために売り出すことはできなかったのか?

今回も宣伝らしい宣伝はなされてなかったようで、いずみホールにチラシは置かれていませんでしたし、送られてきたチケットにも添えられていませんでした。9月のシンフォニーホールでのOEKの公演は毎年いっぱいになるのです。内容の点では決して勝るとも劣らないこのニューイヤーコンサート、もっと上手に宣伝すればスポンサーに全面的に頼らなくても席を埋めることはできるのではないでしょうか。私たち関西の人間にとっては数少ない貴重な地元での公演です。OEKの演奏を本当に聴きたいと思っているファンの思いをもっと真剣に受け止めて欲しいと思った演奏会でもありました。(2006/01/11)



Review by Cissieさん  

>私たち関西の人間にとっては数少ない貴重な地元での公演です。>OEKの演奏を本当に聴きたいと思っているファンの思いをもっと
>真剣に受け止めて欲しいと思った演奏会でもありました。

前のお話をぶり返すようですみませんが、ねこさんに全く同感です。長らくOEKの演奏を聞いてきて、ニューイヤーコンサートの雰囲気も段々良くなってきたなぁ〜と以前は思っていました。しかし昨年はチケット購入の段階から今までと異なっており、コンサートの日も余り楽しめる雰囲気ではなかったので今回は気が失せてしまい行きませんでした。その上ねこさんの感想を拝読して「今年もか・・・」と残念に思った次第です。昔より関西での演奏会も少なくなり、東京・名古屋公演に比べてその機会も少ない上に、シンフォニーホール等では早くに完売になります。内部事情は分かりかねますが、素敵な音楽に素朴な気持ちでささやかな癒しを求めに行く足を止めないように考えて頂けたらと願っています。(2006/01/19)