金沢大学フィルハーモニー管弦楽団第66回定期演奏会
2006/01/14 金沢市観光会館
1)ラヴェル/古風なメヌエット
2)ビゼー/「カルメン」組曲より
3)ブラームス/交響曲第1番ハ短調op.67
●演奏
小田野宏之指揮金沢大学フィルハーモニー管弦楽団

Review by 野々市町Tenさん

今回は観光会館での演奏。昨年の定期公演でも閉口したが、録画撮りのため、カメラマンにインカムで指示する声が客席に漏れるのである。特に昨年の「くるみ割り」や今年の「カルメン」のような組曲では曲間が多いのでとても耳障り。ハバネラに入る前、指揮者が客席を振り返っていた。猛省を促したい。

「カルメン」は颯爽とした前奏曲から楽しい。3幕の間奏曲のフルートソロも太めの暖かい音色で好ましいし、クラリネットも感情豊かにつづく。第1組曲からの曲は前奏曲や間奏曲などのオーケストラ本来の曲だから安心して聞けるが、第2組曲からの曲は「劇中歌」の編曲なので歌ごころの表現が難しい。最後のジプシーの歌はしっかり決まっていた。

一曲目のラベルはもう一つまとまりが欲しかった。

ブラームス、交響曲中の交響曲。冒頭、トランペットがわずかにフライイング。その後も何カ所か乱れた。指揮者の間のためかたがやや大きかったのかもしれない。かなりゆったりしたテンポ。イメージどおりの第1楽章だ。第2楽章はどんな演奏でも中途半端に聞こえる。コンサートマスターのソロ、弦パートともう少し調和が欲しかった。第3楽章、早めのテンポでとても良く流れて気持ちの良い演奏、クラリネットも表情たっぷり。切れ目なしに終楽章、ここも腰を落として重厚に歌い上げる。ホルンの呼びかけ、フルートのこたえ、トランペットのこだま、トロンボーンのコラール、いずれも誇張がなく清澄。ハ長調のテーマはねばらずすっきり。コーダも自然な盛り上がり、もう少しティンパニを効かしてもと思うが、スコアの指示どおりなのだろう。名曲を堪能した。

アンコールにハンガリー舞曲5番、こちらは少し古いスタイルか。(2006/01/19)