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岩城宏之追悼演奏会
2006/07/16 石川県立音楽堂コンサートホール
【追悼式】
  • 開式
  • 黙祷
  • 献奏
  1)カーター/ティンパニ独奏による「サエータ」(トーマス・オケーリー(ティンパニ))
  2)バッハ,J.S/管弦楽組曲第3番〜アリア(オーケストラ・アンサンブル金沢)
  • 追悼の言葉(谷本正憲石川県知事,山出金沢市長)
  • 名誉称号の贈呈
  • 景仰の証の贈呈
  • あいさつ(木村かをり)
  • 閉式

【追悼演奏会】
1)ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
2)武満徹/波の盆
3)モーツァルト/交響曲第40番ト短調,K.550〜第1楽章
4)モーツァルト/歌劇「皇帝ティートの慈悲」K.621〜私は行くが,君は平和で
5)モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番ニ短調,K.466〜第2楽章
6)ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調,op.92〜第4楽章
7)外山雄三/管弦楽のためのディヴェルティメント〜第2楽章
8)池辺晋一郎/悲しみの森(追悼版)
9)カザルス編曲/鳥の歌
10)モーツァルト/ヴァイオリンと管弦楽のためのアダージョホ長調,K.261
11)ハイドン/トランペット協奏曲変ホ長調,Hob.Ze:1〜第2楽章
12)モーツァルト/アヴェ・ヴェルム・コルプス,K.618
13)中田喜直/夏の思い出
●演奏
ジャン=ピエール・ヴァレーズ(1,10-11);外山雄三(2,7-9);天沼裕子(3-4);池辺晋一郎(12-13)指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(リーダー:サイモン・ブレンディス)
鳥木弥生(メゾソプラノ*4),鶴見 彩(ピアノ*5),ルドヴィート・カンタ(チェロ*9),ジェフリー・ペイン(トランペット*11),ジャン=ピエール・ヴァレーズ(ヴァイオリン*10)
オーケストラ・アンサンブル金沢合唱団(合唱指揮:佐々木正利)*12-13
池辺晋一郎(司会))
Review by 管理人hs
i3miuraさんの感想covariantさんの感想レイトリーさんの感想白山人さんの感想

去る6月13日に亡くなられた岩城宏之オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)音楽監督を追悼する演奏会が石川県立音楽堂で行われました。この演奏会は,主にOEK定期会員に対して開催通知の案内があったもので,往復ハガキで希望を出した人のみが入場できるというものでした。

この日の音楽堂の正面入口には,岩城さんの大きな遺影の前に,大変立派な献花台が設けられていました。金沢では丁度7月のこの時期にお盆のお墓参りをする人が多いのですが,音楽堂入口周辺は,「OEK主催による岩城さんのための県民葬」という感じの,緊張感と清々しさの混ざったような雰囲気となっていました。石川県は浄土真宗王国と呼ばれているとおり,年輩の方を中心に宗教が生活の一部になっている方が沢山いらっしゃいます。この日も献花台の前で手を合わせていらっしゃる方が大勢いらっしゃいました。「四十九日」という言葉がありますが,今回の追悼演奏会は,OEK定期会員が,気持ちの整理と切り替えを行うための公演だったのではないかと思います。

追悼演奏会に先立ち,追悼式が行われました。OEKは石川県と金沢市によって作られたオーケストラですので,谷本石川県知事と山出金沢市長からそれぞれ追悼の挨拶がありました。このお二方のご本人が連続で挨拶されるということは滅多にないことだと思います。それだけ岩城さんの功績と影響力の大きさを実感できました。その後,木村かをりさんに「永久名誉音楽監督」の称号の書かれた額が贈呈されました。

また,この追悼式では,「献奏」としてOEKが岩城さんのために演奏を行いました。バッハのアリアの方は,追悼式で演奏されることが多い曲ですが,もう1曲,トーマス・オケーリーさんによってエリオット・カーターのティンパニ独奏曲が演奏されました。現代音楽を積極的に取り上げ,打楽器奏者でもあった岩城さんに捧げるのに相応しい作品でした。途中,闘志がみなぎるように盛り上がる部分がありましたが,その音を聞きながら,「闘いの人生」だった岩城さんの生涯を偲びました。

後半は,石川県立音楽堂の洋楽監督でもある作曲家の池辺晋一郎さんの司会で追悼演奏会となりました。池辺さんは,岩城さんの委嘱で洋楽監督を務めていらっしゃる方ですので,岩城さんを偲ぶ演奏会の司会者としては最適任と言えます。定期公演でのプレトークなど同様,そこはかとなくユーモアを感じさせてくれる進行で,追悼式の後で少し緊張した気分の残っている会場の気分を和ませてくれました。

演奏会の方は,岩城さんとOEKにまつわる指揮者・演奏者が集まり,追悼演奏を行うというものでしたが,1ヶ月の間によくこれだけの演奏会を企画し,出演者を集められたものだと感動しました。入口前には岩城さんを偲ぶ写真や追悼メッセージのパネル展示がされていましたが(「岩城+OEKの18年」という感じで写真集を作って欲しいと思ってしまいました。),これを含め,OEKを支えている事務局の皆さんの仕事ぶりに敬意を表したいと思います。

それにしても,今回の演奏会は,少々時間は長くなったものの全体の構成のバランスが見事でした。

前半,歴代のOEKの指揮者と岩城さんの発案で行われている新人登竜門コンサートの「卒業生」が登場しました。その後,指揮者なしでOEKが演奏を行いました。後半は,岩城さんの発案したコンポーザー・イン・レジデンス制度から生まれた作品が演奏された後,OEKとメルボルン交響楽団の奏者によるソロの演奏が行われました。そして,最後に全員で岩城さんの好きだった歌を合唱ました。

岩城さんはOEKの指揮活動を通じて,いろいろなアイデアを出し,それを実現されて来た方ですが,それをうまく要約するような内容となっていました(ただし,これだけの内容を2時間に要約するのは難しいので,予定よりもかなり終演は延びてしまいました)。

追悼演奏会に先立ち,ステージ奥に降ろされたスクリーン上に岩城さんがOEKや音楽堂について語っているビデオ映像が映し出されました。岩城さんは,事あるごとにOEKや音楽堂の活動を”自慢”されていましたが,その語り口が懐かしく感じられました。もう聞けないというのは寂しいこととです。

引き続いて,池辺さんが登場し,その進行で,演奏会が始まりました。

最初にまず,OEKの元プリンシパル・ゲスト・コンダクター,ジャン=ピエール・ヴァレーズさんが登場しました。ヴァレーズさんは,演奏会当日にこの追悼公演のためにパリから来られたとのことです。OEK自体,ヴァレーズさんが作ったEnsemble Orchestral de Paris をモデルとして作ったところがありますので,ヴァレーズさん自身,OEKの活動についての特に理解のある指揮者だったのではないかと思います。今回は,ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が演奏されました。金星さんのホルンの高音の音が大変美しく儚げに響きました。とてもゆったりとしたテンポで演奏で演奏されましたが,ヴァレーズさん自身,指揮をしながら思い出にふけっていたのではないかと思います。

続いて,岩城さんと半世紀以上の付き合いのある外山雄三さんが登場しました。外山さんは,池辺さんが司会をされている「N響アワー」の「岩城さん追悼特集」にも出演されていましたが,その時同様,岩城さんのことを「イワキ」とついつい呼び捨てで呼んでいました。日本の音楽界の中でも,岩城さんのことを「イワキ」と呼び捨てにできる人はすっかり少なくなってしまいました。外山さんは相変わらず,折り目正しい語り口で思い出話を語られていましたが,心中は,とても寂しい思いをされているのではないかと思います。

演奏された曲は,武満徹作曲のテレビ・ドラマ「波の盆」のための音楽でした。チェレスタやグロッケンなどのキラキラする音で始まったあと,弦楽器に何とも表現しようもないような美しいメロディが出てくる曲です。恐らく,この曲は武満さんの曲の中でももっとも美しい曲なのではないかと思います。名古屋公演では,厳しい雰囲気を持った「弦楽のためのレクイエム」が演奏されましたが,岩城さんとの充実した日々を振り返るにはこの曲の方が相応しいのではないかと思いました。

3人目の指揮者として登場したのは,OEKの初代常任指揮者・天沼裕子さんでした。天沼さんは,現在ドイツを中心に活躍されていますが,7月20日のOEKの定期公演の指揮をされることになっていますので,当初からこの追悼演奏会の時期には金沢に滞在することになっていたのかもしれません。いずれにしても,岩城さんとOEKを語る上には無くてはならない存在です。

OEKは,18年前に岩城音楽監督,天沼常任指揮者という体制でスタートしたのですが,その設立記念公演で演奏されたのが岩城さん指揮によるモーツァルトの後期3大交響曲集でした。この日はその中から第40番の第1楽章が演奏されました。設立当時のOEKについては,天沼さん自身,辛い思い出の方が多いかもしれませんが,私のような古くからのOEKファンにとっては,OEK設立時の印象としては,岩城さんよりも天沼さんのイメージの方が強く残っているような気がします。この演奏を聞きながら,岩城さんの追悼と同時に,設立当時のOEKのことを思い出した方も多かったと思います。とても前向きな気分を持った演奏でした。

続いて,岩城さんが発案した新人登竜門コンサートの優秀者が2名登場しました。このコンサート出身者では,先日の定期公演に内藤淳子さんが登場したばかりですが,それ以外にも活発に活動の場を広げられている方が沢山いらっしゃいます。歌手の中では,今回登場したメゾ・ソプラノの鳥木弥生さんがいちばん充実した活動をされていると思います。今回歌われた「皇帝ティートの慈悲」の中のアリアは,男役を女性が歌うものです。鳥木さんの歌は,感動を心に秘めながら,切実な気分に満ちた素晴らしい歌でした。

ピアノの鶴見彩さんは,この新人登竜門コンサートの第1回目の優秀者です。暖かさと同時に,一抹の寂しさを感じさせてくれる演奏でした。特に最後の部分の名残惜しさが印象的でした。

今回,時間的な関係で,この2人のお話を聞くことはできませんでしたが,演奏を聞きながら,岩城さんの撒いた種が大きく成長して戻ってきたなと実感できました。これは演奏者に限ったことではないのですが,既に名の知れた音楽家だけではなく,新人に対して常に門戸を開いていたのが岩城さんの素晴らしいところでした。この点については,多くの音楽家が感謝をしていることと思います。

前半最後は,今回の追悼公演の白眉でした。ベートーヴェンの交響曲第7番の第4楽章が指揮者なしで演奏されました。この曲はOEK創設以来79回演奏され,そのうちの47回を岩城さんが指揮されたとのことです。個人的には全部岩城さんが指揮していたような印象があるのですが(少なくとも定期公演ではそうだったと思います),岩城さんにとては「これだけは譲れない」という曲だったのではないかと思います(プロコフィエフの古典交響曲にもそういうところがありました)。いずれにしてもOEK団員にとっては,岩城さんとの思い出が染み込んだ曲と言えます。岩城さんが,この曲を演奏する時は常にオケーリーさんがティンパニを叩いていた印象がありますが,今回の演奏でもオケーリーさんのティンパニの力強い響きが印象的でした。

追悼演奏会で演奏されるとすれば,ベートーヴェンの第7番の第2楽章が演奏されそうなものですが,岩城さんを追悼するには,やはりこの躍動感のあるリズムに満ちた第4楽章の方が相応しいでしょう。晩年をベートーヴェンの指揮に賭けていたようなところのある岩城さんの気合がそのまま乗り移った演奏でした。

後半は,外山雄三さんの自作自演による「管弦楽のためのディヴェルティメント」の第2楽章で始まりました。この曲は,OEKが海外演奏旅行をする際にアンコール曲として頻繁に取り上げていた作品です。岩城さんと外山さんの友情の証のような曲だと思います。曲が進むにつれて静まり返り,段々と体が浮かび上がってくるような不思議な感じに包まれていく辺りが絶品です。

続いて,これもまた岩城さんの発案によるコンポーザー・イン・レジデント制度の中から生まれた作品の代表として,池辺晋一郎さん自身の作品が演奏されました。もしかしたら池辺さん自身が指揮をされるのかなと思っていたのですが,前曲に続いて外山さんが指揮をされました。この曲は地球環境問題をテーマとした作品で,悲痛な感じの響きを持った曲です。追悼演奏会で演奏しても違和感のない作品でした。なお,今回は「追悼版」として,少し短縮された版で演奏されていました。

岩城さんとOEKは,これ以外にも数え切れないほどの「世界初演」を行ってきました。それらの多くがCDとして残されている点が素晴らしい点です。機会があれば是非,OEKの作品に限らず「岩城さんによる初演作リスト」を冊子としてまとめて欲しいと思います。

その後のコーナーでは,独奏者が3人登場しました。OEKの首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんが演奏したのは,カタロニア民謡の「鳥の歌」でした。カザルスが国連で演奏して有名になった作品ですが,今回のカンタさんの演奏は,ひたすら美しい演奏でした。岩城さんにとっても最高のプレゼントだったと思います。カンタさんをOEKに招いたのは岩城さんだと思うのですが,そのことに感謝したいと思わせるような見事な演奏でした。

続いて,前半は指揮者として登場したヴァレーズさんが今度はヴァイオリン奏者として登場しました。モーツァルトのアダージョK.261は,前回の定期公演で内藤淳子さんの独奏で聞いたヴァイオリン協奏曲第5番の”もう一つの第2楽章”として書かれた作品です。確か,前プリンシパル・ゲスト・コンダクターのギュンター・ピヒラーさんが,昨年末,ただ一回ヴァイオリニストとしてOEKと共演した時演奏したのもこの曲でした。その辺にも不思議な縁を感じます。ヴァレーズさんの演奏は,音程が少し甘いところもありましたが,軽く明るい音色で演奏され,美しい思い出に浸っているような気分のある演奏でした。

この日は,メルボルン交響楽団の事務局の方も来られ,挨拶をされていましたが,続いて,ジェフリー・ペインさんが登場しました。ペインさんは,メルボルン交響楽団の首席トランペット奏者なのですが,本当によくOEKと共演されていますので,「ほとんどOEK団員」と言っても過言ではないと思います。今回演奏された曲は,以前定期公演でも演奏したことのあるハイドンのトランペット協奏曲でした。トランペットの響きは,基本的には明るく健康的なのですが,それがやがて哀しい哀愁に満ちてくることがあります。今回のペインさんの響きもそのとおりでした。

演奏後,指揮者がソロを取ったオーケストラ奏者の方に向かって手を上げ,立ち上がるように促すことがよくありますが,ペインさんが演奏した後,それとは全く逆のような雰囲気で,岩城さんの写真に向かって手を上げていました。その動作がとても自然でした。とても良い瞬間でした。

演奏会の最後は,OEK合唱団が加わり(合唱指揮の佐々木正利さんも合唱団に加わっていたように見えました),池辺さんの指揮でモーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスが歌われました。ゆっくりとしたテンポですべてを包み込むような暖かな気分を持った演奏でした。

その後,今回の主演者全員がステージ上に再登場し,会場のお客さんと一緒になって全員で「夏の思い出」を歌いました。この曲は岩城さんが好んでいた歌で,岩城さん自身の最後の指揮となった5月24日の東京混声合唱団の演奏会でも取り上げた曲です。岩城さんは少々取っ付きにくい現代音楽を好んでいた印象がありますが,それと同時に「日本の歌」も好んでいました。やはり,岩城さんは日本の指揮者だったのだと思います。私たちは,「夏が来れば思い出す」で始まるこの曲を聞くたびに岩城さんのことを思い出すでしょう。

今回の演奏会は,このとおり非常に多彩な内容でした。岩城さんは私たちに大きなものを残してくれたのだと実感させてくれる演奏会となりました。ステージ上には岩城さんの大きな遺影が飾られていましたが,岩城さんがこの演奏会を聞いていれば,その写真と同じ笑顔を見せてくれたことでしょう。

PS.その他,今回はOEKを経済的な面で支えてきた岩城さんの友人の鈴木智之さん,OEKの”ドクター・イン・レジデンス”としてOEKをサポートされてきた川北篤さんの思い出話も伺うことができました。恐らく,岩城さんとOEKについては,もっともっとエピソードは沢山あるのではないかと思います。今回のパンフレット自体,「思い出のアルバム」となっていましたが,”岩城語録”も交えて,さらに充実した記念文集などを作って欲しいなと思いました。

PS.OEKにはファンタジー公演というシリーズもありますが,その集大成として「岩城宏之トリビュート・ファンタジー公演」といった,過去の出演者を大勢招いたような演奏会を期待したいと思います。渡辺俊幸さん辺りが中心となって実現したら嬉しいですねぇ。

PS.この日の演奏会は,NHKのテレビカメラが収録を行っていました。全国放送を期待したいと思います。
(2006/07/17)


Review by i3miuraさん
遅くなりましたが、僕も当日の追悼演奏会に行ってきました。

OEK や岩城さんに縁のある方の来演や一言トーク等、非常に心の温まる演奏会だったと思います。特に「亡き王女のためのパヴァーヌ」、「波の盆」、「鳥の歌」等は非常に印象に残る演奏でした。

一種のガラコンサートのような感じで、しめやかにというよりは、明るく故人を偲ぶという感じで良かったと思います。追悼演奏会の冒頭の旧練習場での練習風景のVTRなど、時の流れを感じさせるもので、なかなか良かったです。(2006/07/18)


Review by covariantさん
追悼式・演奏会開催に感謝します
管理人様、追悼演奏会でも詳細な演奏会レビューをアップしていただき、嬉しい限りです。岩城宏之OEK音楽監督追悼演奏会は、予想を大幅に上回る本当に素晴らしいものでした。追悼式、演奏会共に、友の会会員の私にとって、得心のいく立派な内容でした。岩城監督にと共に、これを企画・運営された皆様に、深甚の感謝を申し上げたいところです。この演奏会レビューも、その感慨を持続していける、記念品的存在の一つと思います。

小生、実は近い親族に不幸があり、神奈川県に赴いたため、この追悼演奏会には出席できないかも、と思っておりました。しかし、16日昼過ぎには金沢に戻ることができ、帰宅前に演奏会に臨むことができました。入場整理券を持ち歩いておりました(笑)。

私にとって、オーケストラ・アンサンブル金沢の設立は、まるで自分の趣味にあわせてもらったように嬉しく、勝手に喜んでいたものでした。正面の大スクリーンに映し出された岩城監督から、室内オーケストラを作るには、世界中で金沢が最もふさわしい土地である、という言葉を聞いたとき、金沢に生まれた自分の幸運に、改めて感謝しました。

そうして演奏会が始まってからというもの、今回は、感動で頭や身体が震えることもあり、終始、臆面も無くハンカチを濡らしては乾かす、という動作を繰り返しておりました。いくら涙脆い小生でも、こんなに涙した演奏会は初めてです。中でも一番胸にしみたのは、カンタさんのチェロでした。そのカンタさんがオーケストラ・アンサンブル金沢のメンバーであることも、本当に嬉しいことです。

岩城宏之OEK音楽監督・石川県立音楽堂芸術総監督のご冥福を祈り、オーケストラ・アンサンブル金沢の歩みが、更に更に力強くなりますように。(2006/07/18)


Review by レイトリーさん
素直に感謝の気持ちが出せました。
先日の追悼式に続く追悼演奏会 素直に先生への感謝の気持ちがあらわせました。演奏者、企画者、舞台裏の実部隊の皆様 みんなに感謝です。
 
世界のOEKに育ってください。会員であることを誇りに思えるようになってください。

岩城先生はすばらしい演奏家を呼び寄せました。今からは OEKが優れた演奏家をひき寄せるステージの始まりです。(2006/07/18)


Review by 白山人 さん
岩城さん追悼コンサートに参加しました。

当日は凄い行列でしたが、早くから並んだおかげで、結構いい席を確保できました。2時半ごろマエストロの祭壇に献花し、深く一礼をしました。そしてホールに入場し、プログラムを受け取りました。

追悼式、演奏会とも本当にすばらしい内容でした。すべてが感動的でしたが、涙もろい私が特に涙したのは鶴見彩さんのモーツアルト20番2楽章の演奏でした。ピアノスタートとなるため、最初じっと目を閉じ、そして意を決したかのように、鶴見さんの見事な演奏が始まりました。

鶴見さんといえばマエストロが考案された、新人登竜門コンサートで認められたピアニストです。マエストロの奥さんでピアニストでもある木村かをりさんが、どのような思いで聴いておられるのかと思うと本当に涙が出てきました。

そして私がもうひとつ大きく感動したのは最後の、ステージと客席全員での「夏の思い出」の合唱でした。私の横の中年の女性は何度もハンカチを目にやりながらしっかりと歌っておられました。私も小さな声で「合唱」に参加させていただきました。このときステージ上のマエストロの写真がにっこり微笑んでいたように感じました。

今思うことは、マエストロって自分のやりたいことを、やりたいように生きられたのではないでしょうか。今の時代、このような生き方はなかなかできるものではありません。そういう意味でマエストロは幸せな方だったと思います。自分が理想的な地と決めた石川県に、すばらしいクラシック音楽の文化をしっかりと育て、立派に完成させられたのですから。(2006/07/18)




ホール入口の看板です。
献花場の看板もありました。
ホールに入った左側に岩城さんの知人,OEKの関係者のお名前が掲載されていました。
献花場には沢山の花か供えられていました。
この日は,報道関係者も非常に沢山いました。音楽堂開館時よりも多かったかもしれません。
入口ホール付近です。右側が献花場です。
2階には関係者の受付がありました。県会議員,市会議員をはじめ多くの来賓があったようです。
パネル展示コーナーです。これは,岩城さんが最後にOEKを車椅子で指揮した時の写真です。斜め上を見上げる表情がとても良い,素晴らしい写真です。
ピエロになった井上道義さんとのツーショットなどその他にも楽しい写真が沢山ありました。
この辺りは,過去のコンポーザー・イン・レジデンスの皆さんの写真とメッセージです。これだけ沢山のメッセージが集まるのも岩城さんならではだと思います。
岩城さんのポートレイトです。チェロのカンタさんが撮影した写真だと思いますが,本当に良い瞬間を捉えています。
会場の至るところに岩城さんのポートレイトが張ってありました。背景は金沢駅前のドームです。
岩城さんへの寄せ書きコーナーです。
これは違反かもしれないのですが...1枚だけ会場内で撮影させて頂きました。
演奏会のパンフレットです。
終演後の献花場の写真です。名残惜しさを残しつつ,会場を後にしました。