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オーケストラ・アンサンブル金沢第206回定期公演M
2006/09/07 石川県立音楽堂コンサートホール
1)渡辺俊幸/Essay for drums and small orchestra(新曲・世界初演)
2)プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調op.63
3)(アンコール)バッハ,J.S./無伴奏ヴァイオリン曲の1つの楽章
4)新実徳英/協奏的交響曲「エラン・ヴィタール」(2006年度委嘱作品,世界初演) 
5)メンデルスゾーン/交響曲第4番イ短調op.90「イタリア」
6)プッチーニ/菊
●演奏
外山雄三指揮 オーケストラ・アンサンブル金沢(コンサートマスター:)*1-2,4-6
デイヴィッド・ジョーンズ(ドラム*1),エリック・シューマン(ヴァイオリン*2,3),木村かをり(ピアノ*4)
池辺晋一郎,新実徳英(プレトーク)

Review by covariantさん
第206回定期公演Mは、またまた大変に充実した内容でした。終演時間も、9時半をひょっとして回っていたか?と思います。

実はその後、私の許で「事件」があり、公演のレポートをする余裕も無く、どなたか報告してほしい、と願っていたのですが、後述するように、外山雄三さんへの感謝を申し上げたく、レポートさせていただきます。

演奏会のプレトークは、池辺晋一郎さんと新実徳英さんでした。旧知で親しいお二人の作曲家の内輪話?を伺うことができました。もう一人の作曲者渡辺俊幸さんや指揮者外山雄三さんの挨拶もあり、また、ソリストも二人もおられて、随分豪華な演奏会でした。

前半終了時にはエリック・シューマンさんの、アンコール演奏があり、バッハの無伴奏バイオリン曲(詳細が言えませんm(__)m)が奏でられました。弓が弦を飛び歩く、あの「無伴奏曲」が、信じられないくらい滑らかに聞こえました。彼の飄々とした雰囲気と共に、とても印象に残りました。

最後のアンコール曲の前だったと思いますが、演奏会が長くなった為に、外山さんが、「終演時刻が遅くなったのは、岩城さんのせいです。」とユーモアを交えて切り出されました。「2曲もある新作が見積りより長かったせいです。電車時間などの関係でお帰りの方は、遠慮なく席をお立ちください。」との言葉かけもありました(記憶があいまいな為、外山さんのお言葉通りではありません)。「岩城さんを偲んで」とおっしゃったアンコール曲は、プッチーニ作曲の「菊」という短くはない曲、私には初めてと思いますが、まさに岩城マエストロを偲ぶにふさわしい、菊の花のように荘重な、いい曲でした。

この日の指揮者外山さんの、客席への挨拶は、どんな時もコンサートマスターより更に一段下手側に身を置いてなさって、決して指揮台からはされませんでした。終始、今日のご自身は岩城さんの代理人であるという態度で、そのお気持ちは、私には好印象でした。

終演後の恒例の飲み会を急かす(笑)私の友人によれば、渡辺俊幸さんの新曲はよかったが、新実徳英さんの新曲は「音楽」ではない、と息巻いていました(苦笑)。渡辺俊幸さんのドラム曲は、私の友人にも受けました。私自身は、現代作曲家の最新作をも聞けるというのは、何と恵まれているんだろう、と思っております。(2006/09/16)