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ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2008:ベートーヴェンと仲間たち
【212】ジャン=フランソワ・エッセール/ポワトゥ=シャラント管弦楽団
2008/05/04 13:00- 石川県立音楽堂コンサートホール
1)ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調,op.58
2)(アンコール)ピアノ小品1曲
●演奏
ジャン=フランソワ・エッセール(指揮*1,ピアノ*1-2)ポワトゥ=シャラント管弦楽団*1
Review by 管理人hs    

終演後,コンサートホール横の階段から見た入り口付近の風景。
ラ・フォル・ジュルネ金沢(LFJK)の3日間の本公演では,第3〜5番の順に毎日,1曲ずつピアノ協奏曲が取り上げられました。この中の2日目に演奏された第4番だけは,オーケストラ・アンサンブル金沢の演奏ではなく,ジャン=フランソワ・エッセールさんのピアノと指揮,ポワトゥ=シャラント管弦楽団による演奏でした。

前日の公演同様,グランド・ピアノの蓋を取り払い,エッセールさんは,お客さんに背を向けての弾き振りとなりました。演奏前のチューニングはとても念が入っていましたが,エッセールさんのピアノは冒頭からそれほど神経質ではなく,たっぷりと大らかに聞かせる感じででした。弦楽器の音はとても軽やかに響き,やっぱりフランスのオーケストラの特徴だなぁと思いました。この明るい雰囲気はこの曲にはぴったりでした。

エッセールさんのピアノも,しっとりと聞かせるもので,春の日溜まりの中のベートーヴェンといった感じでした。オーケストラとの音の合わせ方もがっちりした感じではなく,どこか気安さがあるのが魅力となっていました。

カデンツァは通常のものでした。ここでも,がっちりとした堅苦しい感じはなく,即興性を感じさせる気ままなものでした。第1楽章のコーダのテンポは非常に遅かったのですが,この辺は専任の指揮者がいないことも関係していたかもしれません。合わせ難そうな感じがしましたが,そのためらいがちな表情は魅力でもありました。

第2楽章は,対照的にキビキビと引き締まった音楽でした。弦楽器をビシっ,ビシっと短く切っていたのが印象的で,暗い冷たさがある,第1楽章と好対照でした。楽章の最後では,瞑想的な気分になり,大変神秘的でした。

第3楽章も鮮やかにバリバリ弾く感じではなく,オーケストラを含め,全体からほんのりとした暖かみが感じられました。曲の最後の方は,キビキビとした感じになるが,常に余裕が感じられました。

演奏後,盛大な拍手に応えて,エッセールさんの独奏でアンコールが1曲演奏されました。LFJKの各公演では,スケジュールの関係でほとんどアンコールはなかったようですが,この公演については,演奏時間が比較的短かったので,実現したのかもしれません。(2008/05/17)

























コンサートホール
ワルトシュタイン
終演後,金沢駅付近を歩いてみました。↓こういう光景によく会いました。熱狂の日ならではです。


駅から金沢市街に向かう「まちバス」100円も大繁盛でした。


遅ればせながら簡単に昼食


だめもと」で,エル=バシャさんのアートホール公演の整理券待ちの様子を見に行ったのですが,「どうみてもダメ」だったので音楽堂に戻りました。

その代わりにシュトロッセさんとデゼールさんのサイン会に参加

どこへ行っても何かやっているのがラ・フォル・ジュルネの魅力です。