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ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2008:ベートーヴェンと仲間たち
【311】0才からのコンサート
2008/05/05 11:30- 石川県立音楽堂コンサートホール
ウィリアムズ,J.(J.モス編曲)/オリンピック・センテニアル・セレブレーション
ベートーヴェン/「エグモント」序曲op.84
リード/アルメニアンダンスPart1
内藤淳一/ブライアンの休日(2008年度全日本吹奏楽コンクール課題曲)(未聴)
ワーグナー/エルザの大聖堂への行列(未聴)
●演奏
伊藤宏樹指揮愛知工業大学名電高等学校吹奏楽部
Review by 管理人hs    
今回のラ・フォル・ジュルネ金沢(LFJK)の特徴の一つが吹奏楽公演の重視でした。毎日,コンサート・ホールでの最初の公演が,全国的に有名な高校の吹奏楽団による「0才からのコンサート」でした。「0才からの...」というのは,ラ・フォル・ジュルネの一つの目玉ですが,音量が大きく健康的な雰囲気の多い吹奏楽曲をこれに当てたことは良い方針だと思いました。ただし,今回の金沢市立工業高等学校吹奏楽部の公演でもそうだったのですが,音楽祭のテーマからは,ずれてしまうところもあります。今回も演奏されたベートーヴェンの曲は1曲だけでした。

この公演ですが,たまたま自由な時間が30分ほど空いたので,「マルチ・パス」(どの公演でも聞けるパスポート券)のメリットを生かして,聞ける部分だけでも聞こうと思い,ふらりと入ってみたものです。というわけで最初の曲はホールの外で聞き,最後の曲まで聞かずに出てくるという変則的な聞き方をしてしまいました。

演奏曲順にも変更があり,まず,オリンピック・イヤーにちなんでか,ジョン・ウィリアムズの曲が演奏されました。私は,この曲の最中に会場に入りました。その後,ベートーヴェンの「エグモント」序曲が演奏されました。これはとても新鮮な演奏でした。ゆったりとしたテンポでじっくりと演奏しており,ホールいっぱい柔らかい響きが広がっていました。聞いていて心が落ち着く「エグモント」というのも珍しいと思いますが,曲の良さを違った面から感じることができました。

その後,アルメニアン・ダンスPart1が演奏されました。この曲は吹奏楽の世界のベートーヴェンに当たる,アルフレッド・リードの作品です。「エグモント」の時よりもさらに楽器の鳴り方が良くなっており,「さすが名門校!」と思いました。打楽器奏者の動きなどを見ていたのですが,本当に正確な動きで演奏しており,厳しく鍛えられているんだなぁと見た目からも実感できました。

指揮をされた伊藤宏樹さんは演奏の合間に「愛工大名電は,野球だけが有名なのではありません(横浜の工藤投手やマリナーズのイチローの出身高校ですね)。年間70ステージ(!)ぐらい行っています」というようなことを語られていましたが,ステージ上のキビキビとした動作を見ながら,納得しました。揃いの青の上着と白のズボンがステージ上で輝いて見えました。

この曲が終わった後,次の公演に向かうために席を立ちました。

なお,演奏曲目ですが,プログラムに書いてあったものからその後かなり変更があたようです。前日の庄司紗矢香さんの公演待ちの時に,交流ホールから愛知工大名電高校吹奏楽部による演奏が聞こえてきたのですが,その時に演奏した,ポップス系の曲が演奏されたようです。この日は,ゼロ歳からのコンサートということで,赤ん坊の泣き声があちこちから聞こえてきていましたので,これは正しい選択だったのではないかと思います。(2008/05/17)