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駅ナカコンサート 第26回「エキコン金沢」 :ショパン・ピアノコンサート
2009/11/21 JR金沢駅コンコース
第1部 12:00-12:30
1)ショパン/幻想即興曲嬰ハ短調,op.posth.66
2)ショパン/ノクターン変ホ長調,op.9-2
3)ショパン/マズルカ変ロ長調,op.7-1
4)ショパン/華麗なる円舞曲変イ長調,op.34-1
5)ショパン/ポロネーズ変イ長調,op.53「英雄」
6)(アンコール)ショパン/ワルツ変ニ長調,op.64-1「小犬」
 
第2部 14:00-14:30
7)ショパン/前奏曲イ長調,op.28-7
8)ショパン/ワルツ変ニ長調,op.64-1「小犬」
9)ショパン/練習曲ハ短調,op.10-12「革命」
10)ショパン/練習曲イ短調,op.25-11「木枯し」
11)ショパン/スケルツォ第2番変ロ短調,op.31
12)(アンコール)ショパン/幻想即興曲嬰ハ短調,op.posth.66
●演奏
大野由加(ナビゲーター;ピアノ*1,11,12)
清水史津(ピアノ*2,3),障子口和歌奈(ピアノ*4,7,8)
徳永雄紀(ピアノ*5,6,9,10)

Review by 管理人hs  

毎月JR金沢駅構内で行われている「駅ナカコンサート:エキコン金沢」も26回目ということで,すっかり定着してきました。今回は,ショパンのピアノの名曲10曲が演奏されました。来春のラ・フォル・ジュルネ金沢(LFJK)2010に向けて,いよいよ始動開始!という企画です。”待ちきれない”私は,30分ずつ2回行われたステージの両方を聞いてきました。

イベント全体のナビゲーターは,大野由加さんでした。ピアノ奏者としては,大野さんに加え,清水史津さん,障子口和歌奈さん,徳永雄紀さんが順に登場しました。演奏会のスタイルとしては,LFJK2009のモーツァルト・マラソンに近い雰囲気がありました。

今回は,PAを使っていたので,コンサートホールで聞く,本来のピアノの音とは違ったものになっていましたが,雑踏の中からピアノの音がくっきりと聞こえてくるのは,とても面白いものでした。駅の中の空気を映画の中の1シーンのようにドラマティックに変え,通りがかりの人たちも「何事?」という感じで,足を止めていました。

この日は,かなり寒かったこともあり,演奏者の皆さんはかなり演奏しにくかったと思いますが(徳永さんなどは,手に息を吹きかけて演奏を始めていました),どの演奏も大変しっかりとした演奏でした。選曲もとても良く,ワルツ,マズルカ,ポロネーズ,ノクターン,スケルツォ,即興曲,前奏曲,練習曲とショパンの小品の各ジャンルを一通り楽しむことができました(主要小品で残るのはバラードぐらい?)。

演奏された曲の中で特に印象に残ったのは,最年少の徳永さんによる,英雄ポロネーズ,革命,木枯しでした。高校1年生にして,既に大きなステージを何度も経験している徳永さんならではの余裕さえ感じさせてくれるような演奏でした。どの曲も若さに任せてストレートで押すというよりは,変化球をかなり散りばめたような個性的な演奏で,ニュアンス豊かでした。どの曲も難曲ですが,技巧を感じさせない点も素晴らしい点です。この日は寒かったこともあり,細部では少し乱れた部分もあった気がしますが,そういう部分が気にならないのも大物の証拠だと思います。

最後の締めくくりで演奏された,大野さんのスケルツォ第2番も聞き応えがありました。とてもドラマティックな曲ですが,抑制が効いており,曲全体として,瑞々しい音の流れを感じさせてくれる,とても美しい演奏でした。大野さんは,全く原稿を見ずにとても分かりやすいトークを聞かせてくれていたのですが,その直後に,平然とピアノを弾くというのもすごいと思いました。

清水さんと障子口さんはそれぞれ小品を数曲ずつ演奏されました。これから来年春に向かうにつれて,たびたび,登場する機会があるのではないかと思います。ちなみに,障子口さんの演奏した,前奏曲は,太田胃酸のCMの曲(またはバレエ音楽「レ・シルフィード」の中の1曲)として有名な曲でした。これは演奏時間が非常に短かったので(1分以内?),2回繰り返しても良かった気がしました。

エキコン金沢にピアノ独奏が登場するのは,今回が初めてとのことでしたが,LFJK2010を先取りした気分をしっかりと味わうことができた30分×2でした。

PS.来月のエキコン金沢(12月20日)には小松明峰高校吹奏楽部が登場するとのことです。全日本吹奏楽コンクール金賞受賞校ということで,大いに期待できそうです。

PS. LFJK2010では,2009年に続いて「石川県縦断ピアノコンサート」を行います。12月末にオーディションがあるようです。
http://lfjk.jp/news_20091116_1.html
(2009/11/23)











関連写真集

公演の立看


公演の雰囲気


演奏しているのは障子口さんです。白いピアノは,百番街での演奏会でもおなじみです。


大勢の方が足を止めて聞いていました。


演奏会のプログラムの裏は,北陸新幹線誘致をめざす看板でした。


コンコースにあった「白いたいやき」屋さん。入場料の代わりに買って帰りました。


コンコースには,OEKの公演のポスターも出ていました。