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ラ・フォル・ジュルネ金沢 「熱狂の日」音楽祭2009:モーツァルトと仲間たち
【114】ポール・メイエ,オーケストラ・アンサンブル金沢
2009/05/02 16:00- 石川県立音楽堂コンサートホール
1)モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
2)モーツァルト/クラリネット協奏曲イ長調K.622
●演奏
ポール・メイエ(クラリネット*2),井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(コンサート・ミストレス:アビゲイル・ヤング)
Review by 管理人hs

  • LFJK本公演にOEKが初登場。
  • OEKの公演は,どれも大人気で満席。昨年のLFJKの再現のような空気を感じた。
  • 今回のLFJKでもっとも多く演奏を行ったソリストの一人が,クラリネットのポール・メイエさん。その最初の公演。
  • メイエさんは,過去,いしかわミュージックアカデミーの講師として金沢に来たことがある。それ以来の金沢での公演。

■歌劇「フィガロの結婚」序曲
  • 井上さんの指揮でも,アンコールでの演奏を含め,過去数回実演で聞いている曲だが,ラ・フォル・ジュルネの中で聞くと,ファンファーレのように聞こえてしまうのが面白い(今回,エリア・イベント等の無料公演の最初に頻繁に演奏されている,倉知竜也さん作曲による「モーツァルト・ファンファーレ」も「フィガロ」のメロディで始まっています)。
  • 井上さんらしく,相変わらずの元気な演奏。OEKの登場にぴったり。管楽器と弦楽器のバランスの良さはさすが


■クラリネット協奏曲イ長調K.622
  • メイエさんのクラリネットのキャラクターを強く感じさせる演奏。それを井上さん指揮のOEKの演奏がしっかりと盛り上げていました。
  • 第1楽章: かなり速いテンポ。陽気に浮き立つような感じで明るくすっきりと始まる。メイエさんの音も明るく朗々としている。この明るさはフランスの管楽器演奏の特徴かもしれない。しかし,すっと弱音に変わり,翳りが出たりすると,途端に別の表情に変わる。最初の表情がとても陽気だったので,ピエロの悲しみといった雰囲気に。井上さん自身にも,ちょっとピエロ的なところがあるので,曲想にぴったり。
  • 第2楽章: メイエさんの音のダイナミックな変化が素晴らしい。特に弱音の表現力の豊かさが聞きもの。最初から弱音だったのが,pppp...という感じでいくつもpが付くような繊細な表現。音量の変化とともに,テンポも深々としたものに変わり,シンプルな曲想の中にこれだけの色合いの違いが含まれていたのか,と感嘆
  • 第3楽章: 第1楽章同様のキビキビした爽快感。メイエさんのクラリネットは,闊達という言葉がぴったりの演奏。疾走する感じがとても自然で若々しい。暗い表情の部分もあり,そこをしっかりと印象付けるが,そこからまた明るい世界も戻る。生きる力の豊かさを聞き手に与えてくれるような演奏

■備考
  • 大阪の朝日放送がテレビ収録を行っていたようです。恐らく,本公演初日のOEKの公演だけだったと思います。ステージ上にはかなり沢山マイクがセットされていました。

(2009/05/06)