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ラ・フォル・ジュルネ金沢 「熱狂の日」音楽祭2009:モーツァルトと仲間たち
【115】菊池洋子,オーヴェルニュ室内管弦楽団
2009/05/02 18:00- 石川県立音楽堂コンサートホール
1)モーツァルト/ディヴェルティメント変ロ長調K.137
2)モーツァルト/ピアノ協奏曲第12番イ長調K.414
●演奏
菊池洋子(ピアノ*2),アリ・ヴァン・ベーク指揮オーヴェルニュ室内管弦楽団
Review by 管理人hs

  • 音楽祭も,夕方になってくると,さすがに会場全体も落ち着いたムード。考えてみると,いつも定期公演はこの時間帯から始まっているのだと気づく
  • アリ・ヴァン・ベークさん指揮オーヴェルニュ室内管弦楽団は,公演番号112に続いての,この日2回目の登場。
  • 菊池洋子さんは,OEKとの共演,CD録音も多い若手を代表するピアニスト。ザルツブルクのモーツァルト国際コンクールで優勝した経歴からも分かるように,モーツァルトの作品を非常に積極的に行っている。

■ディヴェルティメント変ロ長調K.137
  • 公演番号112で演奏されたK.136と同様,この室内オーケストラ独特の音色を楽しむことができた。
  • 音圧は低いが精度が高く,清々しい。時々アクセントがびしっと決まり,力強さにも不足しない。
  • 緩−急−急といった変わった構成の曲だが,アクセルを踏み込むように速くなっていく爽快感とこのオーケストラの雰囲気とがぴったり一致

■ピアノ協奏曲第12番イ長調K.414
  • このピアノ協奏曲については,OEKが定期公演で演奏したのを聞いた記憶はないが,実は,個人的にとても好きな作品。オーケストラの編成は弦楽合奏だけなので,かえってオーケストラの定期公演では演奏されにくいのかもしれない。同じイ長調の名曲,第23番をコンパクトにしたような感じの良い曲だと思う。
  • 第1楽章の冒頭から,オーヴェルニュ室内管弦楽団の涼しげな音が気持ちよい。そこにお馴染みの菊池さんのまろやかな音が絡んでくる。菊池さんの演奏は,非常に健康的で正統的。神経質なところはなく,室内楽を聞くようなバランスの良さがある。
  • 第2楽章は,さらにしっとりした気分になり,オーケストラのちょっとクールな音とピアノとがしっかり溶け合う。
  • 第3楽章もまろやかで穏やかな演奏で,丁度今の気候にぴったりの春のような演奏

■備考
  • 初日の夕方公演ということで,会場には空席があった。特に2階席前方のS席(多分)がかなり空いており,ちょっともったいなかった。
(2009/05/06)