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ラ・フォル・ジュルネ金沢 「熱狂の日」音楽祭2009:モーツァルトと仲間たち
【212】井上道義,オーケストラ・アンサンブル金沢,京都バッハ合唱団他
2009/05/03 13:15- 石川県立音楽堂コンサートホール
1)ハイドン/交響曲第30番ハ長調Hob.I-30「アレルヤ」
2)モーツァルト/ミサ曲ハ長調K.317「戴冠式」
●演奏
井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(コンサートミストレス:アビゲイル・ヤング)
スタニスラヴァ・イヴァノヴァ(ソプラノ*2),ダニエラ・ジャコヴァ(メゾ・ソプラノ*2),マーク・フォウラー(テノール*2),ヴェセリン・ストイコフ(バリトン*2)
京都バッハ合唱団*2
Review by 管理人hs

  • OEKの公演は,この日も満席。ホスト・オーケストラのOEKの人気の高さを実感。
  • 井上道義さんは,詰襟のような,黒の衣装。宗教曲を意識していたのかもしれない。その他のソリストも,黒系統の衣装。

■ハイドン/交響曲第30番ハ長調Hob.I-30「アレルヤ」
  • この曲は,井上指揮OEKの定期公演でも演奏されたことのある曲でワーナーからのCDシリーズにも収録されている。
  • メインの「戴冠式ミサ」の調性がハ長調ということで,「モーツァルトの仲間」のハイドンの「ハ長調」の曲が,「アレルヤ」という宗教曲絡みの愛称を持つこの曲が選ばれたのかもしれない。
  • 強弱の付け方がいかにも井上さんらしい自在の滑らかさとダイナミックさと弾むリズムをもった第1楽章の後,お客さんがゾロゾロと入ってきたので,ちょっとお待ちくださいねという感じで軽くトークが入った(マイクなしでした)。この辺がミッチー流。その後,会場の空気も「午後の演奏会」的なリラックスムードに。
  • 第2楽章は上石さんのフルートソロも入り,ものどかでリラックスしたムードに。最終楽章がゆったりとしたメヌエットで締められるのも変わっているが,午後一番の「昼食を消化しながら」ゆったり聞くにはぴったりの曲だったかもしれない。

■モーツァルト/ミサ曲ハ長調K.317「戴冠式」
  • OEKの定期公演でも数回聞いたことのある作品
  • 独唱者のうちのソプラノとバリトンは,4月29日のオープニング・コンサートにも出演されていた2人。OEKの通常編成にトロンボーン3人,オルガンが追加されていた。
  • 合唱は京都バッハ合唱団。45名ぐらいの編成で,男女の比率は半々ぐらい。
  • OEKと共演するのは恐らく初めてだが,この合唱団の指導者の本山秀毅さんは,昨年,OEKが「題名のない音楽会」に登場した際に,ヘンデルの「メサイア」についてしゃべっているのを見たことがある。それ以来,OEKとつながりができたのかもしれない。 (参考ページ) http://www.tv-asahi.co.jp/daimei/contents/onair/081221.html
  • 曲は,ミサ曲としては,コンパクトにまとまっており,演奏会で聞くのにちょうど良いぐらいの長さ。
  • 最初のキリエやグロリアをはじめとして,京都バッハ合唱団の,ふくらみのある,すべてを包み込んでくれるような雰囲気が素晴らしかった。落ち着きのある大人の声という感じで,宗教曲らしい重みを感じさせてくれた。
  • ゆっくりとした慎重な雰囲気があり,さすがの井上道義さんもまじめな指揮ぶり。
  • 4人の独唱者の声は,よくまとまっていたが,ソプラノのスタニスラヴァ・イヴァノヴァさんについては,ヴィブラートが多く,あまり清澄な感じがしなかった。オペラの方が得意なのかもしれない。
  • クレドからサンクトゥスにかけても,合唱が実に堂々としていた。「合唱が主役!」という曲だとと実感。
  • 最後のアニュスデイでソプラノが歌う部分は「フィガロの結婚」の伯爵夫人のアリアそっくり。この部分で,オーボエが入ってくるあたりもモーツァルトのオペラのアリアに通じる気分(水谷さんの音も良い)。この曲については,最終公演に登場した,森麻季さんの歌でも聞いてみたかった。
(2009/05/09)