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ラ・フォル・ジュルネ金沢 「熱狂の日」音楽祭2009:モーツァルトと仲間たち
【313】モーツァルト・オペラ・アリア集
2009/05/04 13:30- 石川県立音楽堂コンサートホール
1)モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
2)モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」〜もし殿様も踊りなさるなら
3)モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」〜恋とはどんなものかしら
4)モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」〜彼女の安らぎこそ私の願い
5)モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」〜手をとりあって
6)モーツァルト/歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」〜この心の中のいらだち
7)モーツァルト/歌劇「魔笛」〜何と美しい絵姿
8)モーツァルト/歌劇「魔笛」〜復讐の心は地獄のように燃え
●演奏
スタニスラヴァ・イヴァノヴァ(ソプラノ*5,8),ダニエラ・ジャコヴァ(メゾ・ソプラノ*3,6),マーク・フォウラー(テノール*4,7),ヴェセリン・ストイコフ(バリトン*2,5)
井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(コンサート・ミストレス:アビゲイル・ヤング)
Review by 管理人hs

  • 井上指揮OEKによる,LFJK最終公演は,オペラ・ガラ・コンサート。会場は今回も満席。
  • 独唱者は,前日の「戴冠式ミサ」の独唱者と同じブルガリアの歌劇場等で活躍している4人。
  • ほぼ各曲ごとに井上さんのトークが入り,リラックスした雰囲気で進行。

■歌劇「フィガロの結婚」序曲
  • 2日前にも聞いた曲だが,もはや,私の頭の中では,「モーツァルト・ファンファーレ」と一体化。
  • 快速の前のめりの演奏が,雰囲気を大きく盛り上げていた。

■歌劇「フィガロの結婚」〜「もし殿様も踊りなさるなら」「恋とはどんなものかしら」
  • 「フィガロ」から2つのアリア。バリトンのストイコフさんは,3回目の登場ということですっかりお馴染みに。
  • ケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」を歌ったジャコヴァさんの声は,「戴冠式ミサ」の時はそれほど目立っていなかったが,豊かな美声で立派な歌だった。

■歌劇「ドン・ジョヴァンニ」〜「彼女の安らぎこそ私の願い」「手をとりあって」
  • 「ドン・ジョヴァンニ」からも2曲歌われた。テノールのフォウラーさんは,外見的にもちょっと地味だったが,とても穏やかでしっとりとした美声を聞かせてくれた。「手をとりあって」の方は,4月29日のオープニング・コンサートでの「パ,パ,パの二重唱」と同じく,イヴァノヴァさんとストイコフさんの組み合わせ。ストイコフさんの甘い声が印象的だった。

■歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」〜「この心の中のいらだち」
  • 「コシ・ファン・トゥッテ」からは1曲歌われた。井上さんの「ややこしいので説明は省略,怒って歌う歌です」という解説(?)が面白い。ジャコヴァさんの声の艶がここでも素晴らしかった。

■歌劇「魔笛」〜「何と美しい絵姿」「復讐の心は地獄のように燃え」
  • 「魔笛」からは2曲。テノールのフォウラーさんは,「王子様」というよりは,愛嬌があり憎めないキャラクター。井上さんとのやり取りが楽しかった。
  • 最後を締めるイヴァノヴァさんの夜の女王は,超高音を見事に出していた。かなりヒステリックな感じだったが,低い音域よりも高音の方が美しい声の方だと思った。この歌で,会場が大いに盛り上がりお開き。

■備考
  • 演奏後に,井上さんのスピーチがあり,「今年のLFJKでは,OEKの公演だけは120%のお客さんが入った(これは実感どおり)。どうもありがとう」と言って,お客さんに感謝するとともに,OEK団員に向かって深々と挨拶をしていた。こういう謙虚な(?)井上さんの姿を見るのは珍しいこと。応援している側としてもこの姿を見てちょっとグッと来た。

(2009/05/11)