OEKfan > 演奏会レビュー
しいのき音楽の小径
2010/04/10日 11:00- 石川県政しいのき迎賓館 しいのきプラザ
1)ドビュッシー/月の光
2)マスネ/タイスの瞑想曲
3)日本古謡/さくら
4)宮城道雄/春の海
5)ドビュッシー/夢
6)サティ/ジュ・トゥ・ヴ
●演奏
松井直(ヴァイオリン*2,4-6),ルドヴィート・カンタ(チェロ*1,3,5-6),松井晃子(ピアノ*1-3,5-6),丹羽聖子(筝*4,6)
Review by 管理人hs  

4月10日に旧石川県庁舎を改装して「しいのき迎賓館」がオープンしました。そのオープニング記念イベントの1つとして「しいのき音楽の小径」と題したミニ・コンサートが行われたので出かけてきました。

この日は,おめでたいイベントに合わせたかのような快晴。兼六園から石川門周辺にかけての桜も満開。これ以上はない行楽日和となりました。兼六園も無料開放されていたので,迎賓館から今回復元された「いもり堀」辺りには非常に大勢の人が出ていました。

この日は,一種の「内見会」ということで,館内のすべての部屋を巡ることができました。旧石川県庁の建物の中に入るのは久しぶりのことでしたが,随分と中も外も様変わりしたものです。注目はやはりポール・ボキューズという★★★のフランス料理レストランでしょう。このレストランから金沢城の石垣を眺めるというのが最大の売り物のようです(ただし,果たしてそういう日が私自身に訪れるかどうか?)。いずれにしても,非常に贅沢で,新しさとレトロな雰囲気がうまく混ざったような独特の観光スポットになったと思います。

今回の演奏会ですが,迎賓館のオープン記念だけではなく,ラ・フォル・ジュルネ金沢の協賛イベントにもなっていました。オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の松井直さん,ルドヴィート・カンタさんとピアノの松井晃子さん,筝の丹羽聖子さんが出演し,フランス風と和風をうまくミックスした大変センスの良い内容となっていました。

最初にまず,チェロのカンタさんが登場し,ドビュッシーの月の光が演奏されました。元々はピアノ独奏用の曲ですが,カンタさんのチェロで聞くと,もう少し甘い雰囲気になり,併せてオープンした高級フランス料理店「ポール・ボキューズ」のムードにぴったりという感じでした。

続いて,ヴァイオリンの松井直さんが登場し,マスネのタイスの瞑想曲が演奏されました。「月の光」同様,昼というよりは夜のムードのある曲でしたが,今回演奏が行われた,しいのきプラザから金沢城の石垣が良く見えるのですが,中秋の名月の頃などに,同じ場所で「お月見コンサート」などを行ってもぴったりなのではないかと思いました。

3曲目は,「さくら」ということで,この日にぴったりの選曲でした。この日は,筝の奏者もいらっしゃったのですが,筝ではなく,チェロとピアノで演奏していたところが,面白い点でした。どなたの編曲か分かりませんでしたが,しっかりと和洋折衷になっていました。

次の「春の海」は,尺八と筝で演奏される,「お正月」の定番曲ですが,今回はヴァイオリンと筝で演奏されました。この組み合わせは,作曲者の宮城道雄とフランスのヴァイオリニスト,ルネ・シュメーとの共演で演奏されたことで知られていますので,今回のイベントの趣旨にもぴったりと言えます。ただし,実際にこの組み合わせで生で演奏される機会は意外に少ないと思います。演奏前,松井さんは「緊張しています」とおっしゃられていましたが,上品な明るさと,のどかな気分のある素晴らしい演奏だったと思います。

ドビュッシーの「夢」がピアノ三重奏で演奏された後,最後にサティの「ジュ・トゥ・ヴ」が出演者全員の四重奏で演奏されました。これも素晴らしい演奏でした。着物を着た丹羽さんの筝が加わることで,視覚的にも音楽的にも優雅さが増していました。筝という楽器は,ハープのように聞こえたり,目を閉じるとハンガリー辺りの民族楽器にも聞こえたりするので,西洋音楽の中に混じっても違和感はありません。合いの手を入れるように筝の音が入ると,上品な彩りと香りが加わるようでえした。

今回のミニコンサートですが,非常に間近で聞いたこともあり,弦楽器の音の甘い音と繊細な表現をしっかりと味わうことができました。本格的な演奏をするにはやや狭いスペースですが,今後の企画にも期待したいと思います。
 (2010/04/14)



今回オープンした,しいのき迎賓館を写真でご紹介しましょう。
しいのき迎賓館は,百万石通りに面して立地しています。
建物前の2本の立派なシイノキが目印です。 玄関です。
この日はオープニングセレモニーを行っていました。 入口のプレートです。これも立派そうでした。 シイノキと建物を横から撮影してみました。
建物に入ると,案内の女性(コンシェルジェ?)がお出迎え。
右側はセレクト・ショップGIOです(ただし,まだ入っていません)。その奥はギャラリーになっており,ルイ・ヴィトン関連の展示会を行っていたようです。 正面には赤絨毯の敷かれた階段があります。そこを昇ると...
大きな石川県の地図(漆塗り?)がありました。

2階は高級レストラン「ジャルダン・ポール・ボキューズ」 吹き抜けから1階のカフェを眺めることができます。
厨房の中を眺めることができました。 ジャルダン・ポール・ボーキューズのロゴです。 この日は,内県会のように中まで入ることができました。
部屋の照明です。 スィーツのサンプル 金沢城公園側にも席があり,石垣を眺めることができます。
こういう感じの絶景が広がります。 沢山のお祝いの花が届けられていました。 現代的な建築らしく光庭が沢山設けられており,館内は大変明るい雰囲気でした。
レストラン以外にも会合等に使える部屋が沢山用意されていました。 2本のシイノキ側を眺めてみました。 吹き抜けも沢山ありました。
ジャルダン・ポール・ボキューズのロゴ ポール・ボーキューズさん?とシェフの平松さん?の写真 ガーデンルーム。会合や講習会などにも利用できそうです。
記念イベント用の椅子が金沢城側の石の広場に並べられていました。

1階は,もう少しカジュアルな雰囲気で,カフェ&ブラッスリーとなっていました。 メニューです。こちらは比較的お手頃な金額になっていました。
オープン式典会場(ただし,もう終わっていました)。 カフェの飲み物などは持ち帰り可能です。 金沢城側から見ると前面ガラス張りです。
イベントのお知らせ用のノボリです。 ”小型”のシイノキ(?)もありました。 国指定天然記念物堂形のシイノキの立て札です。
金沢城側の芝生には用水のような感じで水が流れていました。 カフェ&ブラッスリーの外観です。テイクアウト商品を買う列です。 金沢城側はずっと芝生が続いているので,各種イベントの客席代わりとしても使えそうです。
迎賓館のシンボルマーク シンボルマークと同じく正面から撮影してみました。


関連写真集

会場のしいのきプラザ。


吹き抜けの上から眺めてみました。


いつのまにか,大勢の人が集まっていました。


しいのき音楽の小径の予定です。


かなりボケていますが,この公演のお知らせ(電光掲示板)です。


しいのき迎賓館のリーフレット,レストランのメニューなど


外では,金沢市立工業高校吹奏楽部が演奏の準備を行っていました。


このコンサートを含む,オープニングイベントのポスターです。この日の空の色と同じ色のポスターでした。