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駅ナカコンサート第46回「エキコン金沢」
2011年4月18日(日) 10:00〜/11:30〜/13:00〜
■10:00〜/11:30〜
三國浩平/ウィーン・ファンファーレ
真島俊夫/サンバ・エキスプレス
シュランメル/ウィーンはいつもウィーン
宮川泰/宇宙戦艦ヤマト
嵐メドレー
さくらメドレー
(アンコール)会いたかった
●演奏
安嶋俊晴指揮石川県立金沢桜丘高校吹奏楽部

■13:00〜のステージ
バッハ,J.S./管弦楽組曲第3番〜アリア(献奏)
モーツァルト/ディヴェルティメントK.136
エルガー/愛の挨拶
ボッケリーニ/メヌエット
世界にひとつだけの花
星に願いを
●演奏
仙台フィルハーモニー管弦楽団メンバー(伝田正秀,山本高史(ヴァイオリン),長谷川基(ヴィオラ),原田哲男(チェロ))
Review by 管理人hs  

ラ・フォル・ジュルネ金沢2011のプレイベントを兼ねた,駅ナカコンサート「エキコン金沢」を聞いてきました。今回は,石川県立桜丘高校吹奏楽部のステージに加え,急遽,仙台から仙台フィルハーモニー管弦楽団のメンバーによるステージも1回追加されることになりました。これは翌日に行われる「大震災からの復興支援コンサート」のために仙台フィルの皆さんのが,丁度良いタイミングで金沢に来ていたために実現したものです。せっかくの機会なので,応援の意味も含めて,2ステージを聞いてきました。

まず,金沢桜丘高校吹奏楽部の登場する11:30〜のステージを聞きました。「花見の時期に桜丘」の演奏というのも,出来すぎている感じですが,一足早くラ・フォル・ジュルネ気分を味わうことができました。

桜の花を思わせるピンクの揃いトレーナーを着た部員の皆さんは,とても明快な進行をした司会担当の生徒をはじめ,動作がキビキビしており,とても気持ちよくプログラムを楽しむことができました。

まず最初に演奏されたのは,今年のラ・フォル・ジュルネ金沢のテーマとなるファンファーレでした。作曲は,昨年同様,三國浩平さん作曲によるもので,シューベルトの「野ばら」などを散りばめた「ウィーン・ファンファーレ」という曲でした。これから5月上旬に掛けて,金沢市内はこの曲で満たされることになるでしょう。ちなみに三國さんのサイトには次のようなメッセージが書かれていました。

http://mikku392.net/?p=428

続いてはサンバエキスプレスという曲が演奏されました。ソロを取る楽器が時々立ち上がり,軽快なラテンのリズムに乗って,キレ良く,パンチ力たっぷりに演奏されました。どこか,「宝島」(吹奏楽の定番曲)に似ているなと思って,後から作曲者を調べてみると,やはり,「宝島」の編曲者と同じ。真島俊夫さんによるものでした。

次の「ウィーンはいつもウィーン」は,ウィーンを代表する行進曲ですね。落ち着きのあるテンポ感で品良く決めてくれました。この曲も,連休中,金沢市内の各地で聞くことができるかもしれません。ちなみに,この曲のCD録音ですが,ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルの管楽アンサンブルという豪華メンバーによる演奏があります。さすがという演奏です。

その後は,いかにも高校生らしいステージの連続でした。「宇宙戦艦ヤマト」も吹奏楽の定番曲といっても良い曲ですが,今回は男子生徒による朗々たるの歌入りでした。ここ数年,高校吹奏楽部の演奏をあれこれ聞いているのですが...どこの学校の吹奏楽部にも,何故かこういう生徒さんはいますねぇ。度胸の良さに感心しました。盛大な拍手を受けていました。「嵐メドレー」もまた,近年の定番です。我が家も嵐に席捲されていますので,私でも聞いたことのあるような曲ばかりでした。

プログラム最後の「さくらメドレー」は,金沢桜丘高校吹奏楽部がテーマ曲のように演奏している曲とのことです。これも近年のポップスがメドレーになった曲のようでした。途中,森山直太朗の「さくら」も出てきましたが,この部分では「独唱」ならぬ部員による「合唱」で歌われました。

アンコールでは,AKB48の「会いたかった」が演奏されました。この曲もいまどきの吹奏楽の演奏会の定番です。女子高生が元気いっぱい演奏するのにぴったりの曲ですね。気持ちよく,ステージを締めてくれました。

金沢桜丘高校吹奏楽部は,ラ・フォル・ジュルネ金沢2011に出演した後,5月5日には,金沢歌劇座で定期演奏会も行います(昼・夜2ステージ)。連休中も大変ですが,充実した活動をされているようですね。

13:00からは,仙台フィルのメンバーによる弦楽四重奏のステージを聞きました。演奏に先立ち,仙台フィルの方が,震災当時〜その後の活動についての話をされていましたが,かつてない大変な状況に陥っているようです。

最初に追悼の意をこめて,バッハのアリアが演奏されました。バッハのアリアは,どのようにも感じ取ることのできる不思議な作品です。今回の演奏は,大きな悲しみに包まれたような感じがあり,じっと聞き入ってしまいました。

その後,モーツァルトのディヴェルティメントK.136の全曲が演奏されました。この作品は,第1ヴァイオリンがメロディを担当することの多い作品ということで,コンサートマスターの伝田さんの非常に表情豊かな演奏を間近で堪能できました。第2楽章は,地震とはとりあえず無縁の場所での演奏,ということで,平和をかみ締めるような安堵感の漂う演奏となっていました。

続いて,「愛の挨拶」,ボッケリーニのメヌエットとお馴染みの小品2曲が,すっきりと演奏された後,「世界に一つだけの花」と「星に願いを」が演奏されました。「世界に一つだけの花」は,弦楽四重奏で聞くと,すっかりバロック音楽風に聞こえます。ここでも伝田さんのヴァイオリンが素晴らしく,高音に一気に駆け上がっていく熱気に引き込まれました,

「星に願いを」に先立って,「災害で仙台の景色は変わったけれども,空は変わっていない」ということをヴィオラの方が語っていました。震災後のコンサートでは,「上を向いて歩こう」とか「見上げてごらん夜の星を」とか空を見上げる歌がよく取り上げられているようですが,この曲の演奏を聞きながら,「変わらぬもの」を求める被災者の思いというのを少し実感できた気がしました。困難な状況の中で地道に演奏活動を続けている仙台フィルの皆さんの演奏は,多くの被災者に勇気を与えてくれることでしょう。

PS.13:00からのステージまで時間があったので,自転車で金沢市中心部まで移動し,駆け足で花見をしてきました。こうやって花見ができるのは,本当に幸せなことです。写真を沢山撮ってきたので紹介しましょう。

*交響詩「金沢の桜」というのは作れませんかね?
スタート地点。浅野川右岸の桜

天神橋付近の桜 梅の橋から見た桜
ホテル日航裏の神社の桜(この神社の雰囲気は良いですね)

尾崎神社の桜 金沢城公園宮守坂入口付近の桜
しいのき迎賓館付近に出ていた,ラ・フォル・ジュルネ金沢のノボリ

金沢21世紀美術館の桜 昭和時代のレトロな置時計の展示をやっていました。壮観ですた。
通常の展示はやっておらず,現代美術展をやっていました(中には入っていません)。

21世紀美術館周辺では,家族で花見をしている人の姿もありました。 兼六園は無料開放中(ただし,こちらも中には入らず)
石川門に向かう途中の桜

桜越しにしいのき迎賓館方面を望む。 石川門と桜
石川橋付近は大勢の人で賑わっていました。

石川門方面には行かず,そのまま兼六園下方面へ 兼六園下から見る石川門
石川橋と桜

前田利家像と桜
側溝の桜の花びら
大手堀の桜

ここからは帰宅途中です。鏡花の道の桜

中の橋から浅野川大橋方面を望む。
主計町の桜

浅野川大橋から主計町方面を望む。 秋声の道から梅の橋方面を望む。
(2011/04/23)

関連写真集


エキコンのポスター


桜色のトレーナーを着た桜丘吹奏楽部の皆さん。


トレーナーの背中


宇宙戦艦ヤマトを歌う生徒


演奏会後に撮影


こちらは仙台フィルの皆さんのステージです。


翌日の復興支援コンサートのポスター


フォーラスの方に向かったら,なぜかOEKのチェロの早川さんが大画面に映り,何か語っていました。


ラ・フォル・ジュルネ金沢を待つフラッグ


こういうポスターは,他のラ・フォル・ジュルネにはないと思います。


門の奥にラ・フォル・ジュルネのタペストリー


公式ガイド(無料)も配布されていました。