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ラ・フォル・ジュルネ金沢 「熱狂の日」音楽祭2012:ロシアの祭典
2012年4月30日(月・祝)
吹奏楽の日,東日本大震災復興支援チャリティコンサート

Review by 管理人hs  
プレイベント3日目は,「ラ・フォル・ジュルネ金沢(LFJK)」オリジナル企画で,ここ数年ですっかり定着した感のある「吹奏楽の日」と,昨年に続いて2回目となる「東日本大震災復興支援チャリティコンサート」でした。

この日は,やや曇り気味でしたが、野外で演奏を聞くにはこれ以上はない絶好の天候ということで,「吹奏楽の日」中心に参加してきました。午後からはかなり暑くなりましたが、朝10:00から夕方16;00過ぎまで、中座した1時間30分ほどをのぞき、ずっとしいのき迎賓館裏の芝生の上で、ゆったり,のんびりと吹奏楽を楽しみむことができました。

吹奏楽の日 10:00〜 しいのき迎賓館石の広場

昨年までは,LFJK本公演のコンサートホールでの「朝一公演」が全部,「高校生による吹奏楽」でしたが,今年は本公演に登場するのは,1日目の小松明峰高校だけです。LFJK全体としてのバランスからすると,やはり「吹奏楽よりはオーケストラ」ということになるのだと思います。その分,「吹奏楽の日」公演は,例年以上にお客さんが多かったような気がしました。家族や友人が聞きに来ていたケースも多いと思いますが、それほどお客さんの動きが多くなかったので、「1日野外で吹奏楽三昧」という人が結構いたようです。

今回は、
  • 金沢桜丘高校
  • 金沢市立額中学校
  • 富山県立新湊高校
  • 百萬石ウィンドオーケストラ
  • 長野県上田高校
  • NOTOマーチングバンド
  • 石川県立小松高校
  • 福井県立武生商業高校
  • 金沢市立工業高校
  • 金沢大学吹奏楽団

の10団体が登場し、それぞれ30分程度の持ち時間の中で、ロシア風味を入れつつ、それぞれ趣向を凝らした演奏を聞かせてくれました。MCや衣装も含め、各団体の個性を比較で来たのが楽しかったですね。以下,私が聞いた7団体の演奏について,写真を交えて紹介しましょう。

1.石川県立金沢桜丘高校吹奏楽部
1)ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」から
2)ハチャトゥリアン/バレエ音楽「仮面舞踏会」〜ワルツ
3)Rising Sun
4)ディープ・パープル・メドレー
5)サクラ、サクラ、サクラ
●演奏
安嶋俊晴*1,3-5;山田和樹*2指揮石川県立金沢桜丘高校吹奏楽部


桜丘らしく,ピンクのトレーナーで登場。2曲目の「仮面舞踏会」では,何と山田和樹さんが指揮をされました。最後の「桜メドレー」は,桜丘のテーマ曲ですね。1年生部員による合唱付きでした。桜丘の演奏の時は,あちこち移動して,撮影をしてみました。


山田和樹さんが指揮をされています。


会場の雰囲気ですが,客さんもとてもよく入っていました。次の写真は朝10時過ぎの状態ですが、ほぼ一日、これぐらいの人は入っていました。

しいのき迎賓館側からだとこういう風景になります。

この日は,山田和樹さんが何回か指揮をされましたが、この熱心さには驚いていたようです。ラ・フォル・ジュルネ同様、「吹奏楽の日」もしっかりと定着してきている気がします。


2.金沢市立額中学校吹奏楽部
チャイコフスキー/組曲「子どものためのアルバム」から5曲
宮川成治編曲/J-BEST 日本を勇気づける名曲たち
AKB48メドレー
●演奏
金沢市立額中学校吹奏楽部


今回唯一登場した中学校は,昨年度の全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞した金沢市立額中学校でした。今回は,おなじみの田中一宏先生は,異動になったので,後任の先生が指揮をされていました。MCは,いかにも中学女子らしい微笑ましい内容でした。





3.富山県立新湊高校吹奏楽部
グリエール/青銅の騎士
マッコイ/アフリカン・シンフォニー
Someday
和泉宏隆(真島俊夫編曲)宝島
ソーランファンク
●演奏
富山県立新湊高校吹奏楽部


例年LFJKでは,全日本吹奏楽コンクールの金賞常連校が招かれることが多かったのですが,今年は北信越地区だけに限定したようで,県外からは,富山県の新湊高校吹奏楽部が登場しました。ロシアの曲としては,グリエールの「青銅の騎士」が演奏されました。次に演奏されたアフリカン・シンフォニーは,高校野球の応援によく使われている曲ですが,こうやってしっかり聞くのは意外に珍しいかもしれません。聞いているだけで元気になります。その他,吹奏楽の定番曲の「宝島」が演奏されたり,華やかな衣装を着てのソーラン・ファンクが演奏されたり,しっかりと盛り上げてくれました。

ソーランファンクを演奏中



4.百萬石ウィンドオーケストラ
1)ソーシード/イントゥ・ザ・クラウド
2)チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」〜情景、4羽の白鳥の踊り、ナポリの踊り
3)ジョン・ウィリアムズ・スイング・メドレー
4)サザエさんファンタジー
5)ロンビ/シャンパン・ギャロップ
●演奏
山田和樹*5指揮百萬石ウィンドオーケストラ


社会人バンド代表として,百萬石ウィンドオーケストラが登場しました。最後の「シャンパン・ギャロップ」で山田和樹さんが指揮されましたが,とてもスピーディな演奏でした。シャンパンを抜く効果音が随所に使われ,大変楽しい演奏でした。それ以外の曲では,「サザエさん」が面白かったですね。テーマ曲だけではなく,挿入曲が次々と演奏され,「日曜日夕方の気分」をしっかり醸し出していました。最後に,「サザエさんといえば...」というティンバレスの「カン」という音で締めてくれたのも嬉しかったですね。

山田和樹さん指揮。打楽器奏者が山田さんに向かって「ポン」とやっています。


5.長野県上田高校吹奏楽団
スパーク/祝典のための音楽
リムスキー=コルサコフ/歌劇「雪娘」〜道化師の踊り
ロシア民謡メドレー
和泉宏隆(真島俊夫編曲)/オーメンズ・オブ・ラブ
●演奏
長野県上田高校吹奏楽団


前半の最後は,長野県の上田高校吹奏楽団が登場しました。どのバンドのMCも面白かったのですが,この学校のMCの方は特に楽しいものでした。リンゴが古くなって乾燥した状態になることを「長野県ではボケるって言うんですよ。変でしょう。」とおっしゃっていましたが,石川県でも時々聞く表現ですね。最後に演奏された「オーメンズ・オブ・ラブ」は,「宝島」の姉妹曲のような作品ですが,特に盛り上がっていました。

オーメンズ・オブ・ラブを演奏中



6.NOTOマーチングバンド
7.石川県立小松高校
8.福井県立武生商業高校

聞きたかったのですが,未聴です。


9.金沢市立工業高校吹奏楽部
チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」から
となりのトトロメドレー
和田信/行進曲「希望の空」(2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲W)
ジャパニーズグラフィティ
リード/行進曲「ゴールデンイーグル」
和泉宏隆(真島俊夫編曲)/宝島
●演奏
幸正勤也指揮金沢市立工業高校吹奏楽部


一旦,石川県立音楽堂に行った後,しいのき迎賓館裏に戻ってきました。「まだやっているかな?」と半信半疑でしたが,丁度,金沢市立工業高校吹奏楽部の演奏が始まるところでした。

のんびりしたムードたっぷりでした。

「白鳥の湖」は,全曲の大団円の部分で,大変迫力がありました。「ジャパニーズグラティティ」は,「君といつまでも」など,少し懐かし目の曲をつないだメドレー(客層を見越してのナイスな選曲)でした。最後の「サライ」では,男子生徒による,朗々たる歌声を聞くことができました。「宝島」を金沢市立工業高校の演奏で聞くのは初めてだったのですが,楽器の動きが昨年の夏頃流れていた「カルピスソーダ学園」のCMを思わせるところがあり,一年前のLFJKでの市立柏高校吹奏楽部の演奏を思い出しました。この曲が演奏されるのは,この日2回目でしたが,学校ごとにアドリブが違ったり,動作が違ったりするので,何回聞いても楽しめます。



10.金沢大学吹奏楽団
1)リード/Vava Musica!
2)フライングゲット
3)チャイコフスキー/バレエ組曲「くるみ割り人形」〜トレパーク、花のワルツ
4)久石譲/NHKドラマ「坂の上の雲」〜Stand Alone
5)ディズニーファンティリュージョン
●演奏
山田和樹*3指揮金沢大学吹奏楽団


最後に登場したのは,大学バンド代表の金沢大学吹奏楽団でした。金沢大学のMCの方はとても丁寧な語り口で,高校生とは一味違う落ち着きを感じさせてくれました。この曲では,3曲目の「くるみ割り人形」を山田和樹さんが指揮されました。山田さんが指揮された,他の曲同様,とても引き締まった快適な演奏でした。その他,「坂の上の雲」のテーマ曲でのトランペットソロがとても良かったと思います。野外だと特に気持ち良く響いていました。

結構,日差しが強くなってきました。


東日本大震災復興支援チャリティコンサート 第2部 13:30〜 石川県立音楽堂コンサートホール
中座していた90分間は,石川県立音楽堂で行われていた東日本大震災復興支援チャリティコンサートの第2部に顔を出してきました。さすがに野外でずっと過ごした疲れが出て、一部ウトウトしてしまったのですが、オーディションで選ばれた地元ピアニストのレベルの高さには驚きました。ラフマニノフとかプロコフィエフのピアノ曲を(弾くだけですごいと思うのですが)、全く破たんなく聞かせてくれました。

それと音楽堂の音響の良さを改めて実感しました。いつもと違い,1階席の真ん中少し後方で聞いてみたのですが,ピアノの音が本当にしっかりとバランス良く聞こえてきました。途中,ゲスト出演した伊勢加奈子さんの透明感のあるボーカルも素晴らしく、全体として大変充実した内容でした。司会の青島さんは、非常にマメに「大きな拍手をどうぞ」とか、音楽を聞くマナーをしっかり伝えていましたが、これも良いことだと思いました。

それにしても見事なピアノの連続でした。毎年春にLFJKが行われるようになり,県内のピアニストの発表の場が多くなっていますが,それに連動するように,レベルも高くなっているとしたら素晴らしいことだと思います。
(2012/05/13)




しいのき迎賓館の入口


LFJK関係の映像をずっと流していました。


ステージ横の大型テントでは,山田和樹さんが聞いていらっしゃいました。


しいのき迎賓館では,お日柄も良いのか結婚式をやっていました。


こちらにも辻口カフェが出ていました。


コーヒーとYUKIZSURIを買って,飲食しながら聞いていました。


長野県の上田高校用のバス


場所は変わって,石川県立音楽堂横のANAホテル前。ここにもLFJKのフラッグが出ていました。