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音楽堂ミュージックトレジャー
2013年8月3日(土) 石川県立音楽堂

毎年夏休み期間中,石川県立音楽堂では,家族でクラシック音楽を楽しめるコンサートとして,朝日新聞,北陸朝日放送と石川県音楽文化振興事業団の主催で「なつやすみコンサート」が行われてきましたが,今年は楽器体験企画などを組み合わせて「音楽堂ミュージックトレジャー」というイベントが2日に渡って行われました。コンサートだけではなく,石川県立音楽堂全体を使って楽器体験,ワークショップが行われるのが特徴です。


その1日目に出かけてきました。私はオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が登場するオーケストラコンサートと音楽堂前でやっていた無料ミニコンサートを聞いてきました。今回は今年は打楽器がテーマということで,どのコンサートも打楽器がポイントになっており,OEKの公演以外にも,会場周辺からは,中国の太鼓,韓国の太鼓,和太鼓など世界のいろいろな楽器の音が聞こえてきました。



オーケストラコンサートは,約1時間の長さでした。昨年までの「夏休みコンサート」では,石川県ジュニアオーケストラも登場していましたが,今年は「ジュニアはジュニアだけ」として全く別のコンサートという形になっていました(こちらは4日に行われました)。

OEKの登場するオーケストラコンサートは,3日,4日の両日とも,同じ内容で行われました。さすがに2日連続で同じ内容だと集客的には厳しいものがあり,今日のコンサートは空席が目立ちましたが,内容的には大変楽しいものでした。

まず,OEK得意のシチェドリンのカルメン組曲の抜粋で始まりました。この曲はOEKが何回も取り上げていますが,今回の打楽器チームで演奏するのは初めてかもしれません。

続いて,「お客さん参加型」のシュトラウスの鍛冶屋のポルカ,アンダーソンのサンドペーパー・バレエが演奏されました。鍛冶屋のポルカは,演奏中に鉄のレールを叩きたい子供を募集しながら演奏するというなかなかすごい企画でした。短い曲なのに3人が次々登場し,見事にまとまりました。

サンド・ペーパー・バレエでは,「演奏用サンドペーパー」を希望する子供たちに配布し,リズムパターンを教えた後,一緒に演奏するというものでした。かなり複雑なリズムでしたが,これぐらいの方が「やりがい」があって楽しいのではないかと思います(実は私もやってみたかった)。

ハイドンの交響曲第103番「太鼓連打」の第1楽章は,今回唯一の古典派の曲でしたが,冒頭の「ティンパニー連打」の部分が中々華やかで気分を盛り上げてくれました。鈴木織衛さんの指揮もいつもどおり大変流麗で爽やかでした。ちなみに,鈴木織衛さんの子供の頃のニックネームは,「オリエンタル」だったとのことです(本日やっていたHABの番組で言っていました。)。鈴木さんはジュニアオーケストラもよく指揮されていますが,その時だけは,「オリエンタル鈴木」に改名して頂くというのはいかがでしょうか?

この日いちばんの聞きものだったのは,榊原栄作曲の「キッチン・コンチェルト」だったかもしれません。台所用品を駆使した楽しい作品を長屋綾乃さんのサービス精神たっぷりの演奏で楽しませてくれました。長屋さんは,白い帽子に赤いマフラーを付けたコックさんの衣装で登場し,ソ・ミ・・ドの音の出るフライパンを中心に(大和で購入したと司会の恩田アナウンサーはおっしゃられていましたが,叩きながら購入したのでしょうか?),見事な演奏を聞かせてくれました。コンチェルトということで,途中,立派なカデンツァもあるのですが,おなじみ「きょうの料理」のテーマが出てくるなど,ユーモアのセンスも抜群でした。榊原栄さん(懐かしいですね)の曲の雰囲気はルロイ・アンダーソンそのものなので他の曲との相性もぴったりでした。

徳山美奈子さんの交響的素描より「海の男」は,外山雄三さんの「ラプソディ」の能登版といったところで,和太鼓風の勇壮な気分をしっかり楽しませてくれました。ちなみに聞きながら「海の男」と言えば...外山でなく加山雄三だなぁ...などと余計なことが頭に浮かんでしまいました。

最後は,シュトラウスのポルカ「雷鳴と稲妻」で締められましたが,途中から中国の太鼓チームが乱入してきました(午前中のワークショップをされていた方々?)。結構騒々しい音でしたので「数十年に一度の雷鳴と稲妻(そういえば少し前に金沢でもありましたね)」という雰囲気でした。

この日は,北陸地方も「ようやく梅雨明け」ということで,その気分に相応しい演奏でした。

ミュージックトレジャーの方は,ラ・フォル・ジュルネ金沢同様,ゲリラ的に公演が色々な場所で無料公演が行われていました。これも楽しかったですね。以下,写真入りで紹介しましょう。

朝日新聞主催ということで,高校野球地方大会の写真が多数掲示されていました。


音楽堂前のミニコンサートの予定です。


コンサートホール側入口前ではチェロのルドヴィート・カンタさんがサイレント・チェロ(ヤマハの商品名?)を演奏していました。骨だけのチェロのような感じでマイクで音量を拡大しているようでした。野外で演奏するならば,この楽器の方が良いのかもしれません。ジャズ風の曲も演奏していましたが,大変良い雰囲気が出ていました。



コンサートホールでの公演終了後,入口付近で打楽器3人によるミニコンサートを行っていました。



交流ホールでは色々な打楽器を体験できるようになっていました。



屋台でケパブサンドを買って食べてみました。チリソースにしたので,「そこら中,血だらけ」みたくなってしまいました。パンの生地も大変おいしいと思いました。ちなみにマメブ(「あまちゃん」でおなじみ)の屋台は出ていませんでした。





その他,たこ焼きとかパフェ(加賀野菜入り?)とかも売っていました(こちらは食べていませんが)。



子供向きの楽器(?)。踏むと音階が出るようです。



今回,このように「ラ・フォル・ジュルネ」のようなパネルも出ていました。そうなってくると,もう少し有料公演を並べ,夜までやっても面白い気もしました。 それと,1日だけに圧縮してしまう方が盛り上がりを作りやすいかもしれません。次年度以降に期待したいと思います。



邦楽ホールでもいろいろとイベントを行っていましたが,今回は参加しませんでした。



北陸朝日放送のCM撮影コーナー


北陸朝日放送のキャラクターも活躍していました。


地下の体験ワークショップコーナー


楽友会長さんが担当されていました。



子供記者が取材する企画もあったようです。



こういう形で立派な紙面に仕上がっていました。


(2013/08/10)

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