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ラ・フォル・ジュルネ金沢2013が開幕しました。毎年このイベントは不思議なぐらい天候に恵まれていますが,今年も快晴でした。JR金沢駅は, 観光客も交え大賑わいでした。 JR金沢駅の東口付近は完全にラ・フォル・ジュルネモードになっていました。 まず,JR金沢駅コンコースで行われる恒例のオープニング・ファンファーレに参加してきました。あいさつをされた三谷さんも語っていましたが,オープニングファンファーレ史上最大の賑わいだったと思います。次の写真は,三谷さんの掛け声に合わせて「オー」と言った瞬間です。 ファンファーレは,金沢大学フィルの皆さんによって,デュカの「ラ・ペリ」のファンファーレが演奏されました。フランスのファンファーレの定番曲ですね。その後,青島広志さんの司会で金沢大学フィルの演奏が続きました。ゲストとして,映画「のだめカンタービレ」でフランス人指揮者「ジャン役」を演じたジリ・ヴァンソンさんが登場しました。 途中,青島さんが,手拍子の入れ方を仕切りながら,「カルメン」となりました。ヴァンソンさんと青島さんのお2人は,中々の名コンビだと思いました。 その後,12:00過ぎからは石川県立音楽堂に場所を移動。 ラ・フォル・ジュルネのステッカーでWELCOMEされてしまいました。 し,カフェ・コンチェルトで地元ピアニストによるピアノのミニコンサートを聞きました。予想外と言ったら失礼ですが,これが素晴らしい内容でした。 ミニコンサート 12:15〜13:20 石川県立音楽堂カフェコンチェルト 1)ドビュッシー/前奏曲集第1巻〜第5曲「アナカプリの丘」,第7曲「西風の見たもの」,第12曲「ミンストレル」 2)ドビュッシー/前奏曲集第2巻〜第5曲「ヒースの茂る荒地」,第6曲「風変わりなラヴィーヌ将軍」 3)ドビュッシー/前奏曲集第2巻〜第8曲「水の精」,第12曲「花火」 4)ドビュッシー/雨の庭 5)ラヴェル/水の戯れ 6)ラヴェル/ソナチネ〜第1楽章 7)ラヴェル/ソナチネ〜第3楽章 8)フォーレ/組曲「ドリー」〜第1曲「子守唄」 9)フォーレ/組曲「ドリー」〜第2曲「ミ・ア・ウ」 10)フォーレ/組曲「ドリー」〜第3曲「ドリーの庭」,第4曲「キティ・ヴァルス」,第5曲「優しさ」,第6曲「スペインの踊り」 11)サティ/ジュ・トゥ・ヴ 12)サティ/ジムノペディ第1番 13)ドビュッシー/月の光 ●演奏 森千紘*1,中川万里花*2,西尾美沙紀*3,河合晴美*4,富田瑞花*5,中瀬絢音*6,山口由夏*7,五嶋菜々加&平能令鳳*8,田川純子&田川万優子*9,清水志津&伊勢拓之*10,中谷信次*11,市原奈生子*12(ピアノ) カフェ・コンチェルトに置かれているグランドピアノは昨年修復作業をしたものだと思いますが,間近で聞くピアノの音は大変美しいものでした。次の写真のとおり,段々とお客さんが増えてきて,椅子を追加していました。 小中学生から一般人までが順番に登場し,1曲から数曲ずつ演奏するのですが,どの演奏もしっかりと磨き上げられており,大変聞きごたえがありました。特にフォーレのピアノ連弾用の組曲「ドリー」の全曲が楽しかったですね。可愛らしい小学生男女による連弾,母娘による連弾,大人の男女による連弾とこの曲の持つアットホームな雰囲気にぴったりの演奏が続きました。中高年男性によるサティのジュ・トゥ・ヴもとても渋かったですね(私も弾けるものなら弾いてみたいと思いました)。 ドビュッシーやラヴェルの作品は,技巧的に難しい曲が多いと思いますが,どれも見事に聞かせてくれました。何より非常に間近でピアノ演奏を聞けるのが素晴らしいですね。カフェ・コンチェルトでのピアノ演奏というのは,今後も注目したいと思います。 そうこうしているうちに,オープニング・コンサートの開演時間が近づいてきたので,コンサートホールに入りました。会場には,この日の夕方に出番のある金沢桜丘高校吹奏楽部の生徒さんの姿も沢山いましたが,ほぼ満席だったと思います。 オープニング・セレモニーでは,例年どおり前田利佑実行委員長,谷本石川県知事,山野金沢市長のあいさつがあった後,オープニングコンサートが始まりました。ここでも司会は青島さんとジリさんが務めました。 【011】 オープニングコンサート 14:00〜 石川県立音楽堂コンサートホール 1)ドビュッシー(ビュッセル編曲)/小組曲 2)サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ op.28 3)サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン op.20 4)ララ/グラナダ ●演奏 井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(コンサートマスター:サイモン・ブレンディス) 竹澤恭子(ヴァイオリン)*2-3,須川展也(サクソフォン)*4 司会:青島広志,ジリ・ヴァンソン 最初,井上道義さんとOEKがたびたび演奏しているドビュッシーの小組曲が演奏されました。完全に手の内に入っており,慈しむような情感たっぷりの演奏を楽しませてくれました。最後の曲では,昨晩,鼓門でやっていた「デジタル掛け軸」の照明も加わり,視覚面でも楽しませてくれました。 その後,ヴァイオリンの竹澤恭子さんとサクソフォンの須川展也さんが登場し,それぞれに聞きごたえたっぷりの見せ場のある曲を楽しませてくれました。お二方とも演奏家として脂が乗りきっている世代で,技巧的な聞かせどころは鮮やかに聞かせ,たっぷりと歌うべきところはたっぷりと聞かせるという演奏でした。井上さんの指揮ぶりにも役者的なところがありますが,このお二方の演奏にも役者的なところがありましたので,スター俳優3人そろい踏み,顔見世公演,といった趣きがありました。序奏とロンド・カプリチオーソ,ツィゴイネルワイゼン,グラナダといった「色もの」的な要素のある曲にはぴったりの演奏だと思いました。 竹澤さんの演奏は,とにかく集中力が素晴らしく,聞き手の方もサン=サーンスの音楽にのみに集中させてくれました。井上さんとのやり取りにも緊張感が漂っていましたが,その一方で安心して聞かせてくれるような貫禄もたっぷりでした。お見事という演奏でした。 最後に演奏された須川さんのソロによるグラナダも,「音量たっぷり」「緩急自在」「サービス満点」といった見事な演奏でした。打楽器を思わせるような不思議な音が入ったり,ググーッと上昇していくゾクゾクするような高音を聞かせてくれたり,水もしたたるような表現力豊かな演奏でした。曲の最後の部分では,音程が上がっていくにつれて,OEKメンバーも徐々に立ち上がっていくという視覚的なパフォーマンスも楽しませてくれ,会場は多いに盛り上がりました。演奏の途中から「デジタル掛け軸」の不思議な色合いの照明も加わり,目と耳を同時に楽しませてくれるという,文字通り「色物」という演奏になっていました。 アンコールでは,ジャンさん...ではなくジリさん指揮でカルメンの前奏曲が演奏されました。「オーケストラの方が棒よりも速く進んでいる?」という微笑ましいところはありましたが,明るく締めてくれました。 というわけで,オープニングコンサートは開幕に相応しい華やかさがある楽しいステージとなりました。 その他,会場内で色々と写真を撮ってきたので雰囲気を紹介しましょう。 グッズやお菓子などの販売コーナーは終演後は大賑わいでした。 このパネルは記念写真用のスポットでしょうか? OEK特製のブロックメモは,正面の案内カウンターで売っていました。早速購入しました。 ![]() 一言でいうと,横長のメモ帳です。各ページは切り取って使えるのですが,結構しっかりとくっついています。大きさは通常のペンよりも少し長いくらいです。 面白いのは紙面が五線譜になっている点です。次のような感じです。 ![]() 作曲家ならば思いついたフレーズを書き留めることができるかもしれませんね(今気づきましたが,「フレーズ」という語は,「単語の集まり」「メロディの一区切り」という意味のどちらにでも使えますね)。ちなみに私が書いてみたのは,私が作曲(?)した「シラミの歌」です。 この商品ですが,裏面の情報によると次の会社の製品がオリジナルのようです。 http://paperable.jp/items_phrase_summer.html 結構ページ数が多く,しっかりとした紙なので,「パラパラマンガ」を作るのに最適ではないかと思います。 ラ・フォル・ジュルネ期間中は少し安くなっているようなので,是非ご覧になってみてください。色も各種取り揃えているようです。 (2013/05/11) |