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ラ・フォル・ジュルネ金沢 「熱狂の日」音楽祭2014 プラハ,ウィーン,ブダペスト:三都物語
2014年4月29日〜5月6日 石川県立音楽堂,金沢市アートホール,JR金沢駅周辺,金沢市内各地

Review by 管理人hs  

2014年5月5日(月祝)

ラ・フォル・ジュルネ金沢(LFJK)2014 本公演2日目は雨になりました。



これまであまり雨の記憶がないのですが,JR金沢駅周辺はかえって”熱狂度”が高まっていたかもしれません。まず,鼓門下が”リバーシブル”仕様で雨の時は内側に向いて演奏できることを初めて知りました。オープニング・セレモニーの時,司会の池辺晋一郎さんは,「雨の金沢も良い」と仰っていましたが,「雨でもLFJKは熱狂する」といったところでしょう。エリアイベントは後でご紹介しましょう。


↑前日までとは違って,ドームの中に向かって演奏していました。ドーム内にワンワンワンと音が溢れていました。

本日の私のコースは,「ピアノ中心」でした。プログラムを選ぶ時はそれほど意識していなかったのですが,気づくとピアノばかり選んでいました。

■【231】10:00〜 金沢市アートホール
シューベルト/即興曲集 D.899, op.90
ヤナーチェク/ピアノ・ソナタ変ホ長調「1905年10月1日,街頭にて」
リスト/詩的で宗教的な調べ S.173〜第10番「愛の讃歌」
●演奏
ヴァネッサ・ワーグナー(ピアノ)

朝10:00,金沢市アートホールで行われたピアノ・リサイタルで始動しました。奏者はヴァネッサ・ワーグナーさんで,まず目覚めのシューベルトの即興曲。この曲は大好きな作品ですが,実演でまとめて聞いたのは本当に久しぶりのことです。ワーグナーさんは,見るからに知的な雰囲気の方で,華やかなドレスではなく,落ち着いた雰囲気のセンスの良いかなりカジュアルなパンツ・ルックで登場しました。

即興曲の1曲目から大げさな身振りはないけれども,克明にしっかりと聞かせてくれました。どの曲についても,最後の音を長〜く伸ばし,余韻をしっかりと保っていたのが印象的でした。2曲目で気持ちよくストレートに前進する音楽を聞かせた後,3曲目では,テンポをぐっと落とし,霞がかかったような音色に変化したした。このコントラストが見事かつ詩的でした。第4曲などでは,自然な音の流れから詩情が湧き出てくるようでした。

ヤナーチェクの作品はチェコ人青年の死を題材とした作品です。ここでも音をしっかりと保ち,ミステリアスな気分を伝える音のサスペンスドラマとなっていました。最後に演奏された,リストの曲も,前2曲と似た気分が流れていました。三都の作曲家によるイメージ的に共通点のある曲でしっかり構成されており,見事なプロミングだと思いました。このリストの曲は,「愛の讃歌」ということで,少し甘い気分と華やかさがあり,プログラム全体をしっかり締めてくれました。

ワーグナーさんの演奏を聞くのは今回が初めてでしたが,知的なセンスの良さを感じさせる大変魅力的なアーチストだと思いました。これからも注目したいとおもいます,アーティストです。



■【211】11:00〜 石川県立音楽堂コンサートホール
ドヴォルザーク/スラヴ舞曲集(管弦楽版)第1番,第6番,第10番,第8番
バルトーク/ルーマニア民族舞曲 Sz.68
ブラームス/ハンガリー舞曲集(管弦楽版)第1番,第5番,第6番
●演奏
三ツ橋敬子指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(コンサートミストレス:アビゲイル・ヤング)


11:00からは石川県立音楽堂コンサートホールへ。前日はオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の公演には行かなかったので,本公演でOEKを聞くのはこれが初めてです。三ツ橋敬子さんの指揮による「三都の舞曲集」,簡単に言うと”ダンス,ダンス,ダンス”プログラムということになります。三ツ橋さんの指揮は昨日のドヴォルザークのチェロ協奏曲の時に比べると,もっとしなやかな感じで,スラヴ舞曲,ルーマニア民族舞曲,ハンガリー舞曲を,井上道義OEK音楽監督に負けないフットワークの軽さで,生き生きと楽しませてくれました。

スラヴ舞曲は,4曲の抜粋でした。4曲セットで交響曲の4つの楽章のような感じのまとまりを聞かせようとしていた(と思います)が,1曲ごとに拍手が入り,少々演奏しにくそうなところがありました。三ツ橋さんの指揮は柔らかでリズミカルで,舞曲に相応しい,自然な躍動感を持った指揮ぶりがそのまま音になって表れていました。木管楽器など音の動きがくっきり分かるのもOEKの良さだと思います。

この選曲は当初の指揮者の井上道義さんによるものだったのかもしれませんが,第6番のような,交響曲の中間楽章的な控え目な愛らしさのある曲を選んでいたのも良いと思いました。第10番は,誰でも知っているいちばん有名な曲ですね。しっとり,ゆっくりと濃い表情を持った音楽を聞かせてくれました。第8番は第1番が再帰する感じの曲で,このコーナーを締めてくれました。音楽祭中,OEKの首席奏者として参加していたフルートの工藤重典さんも強い存在感を示していました。

バルトークのルーマニア民族舞曲は弦楽合奏で演奏されました。最初の音からその音の冴えた美しさが印象的でした。前半はじっくりと聞かせ,だんだんと力強いリズムが湧き出てくる構成で楽しめました。ヴァイオリン独奏が途中大活躍するということで,コンサートミストレスのアビゲイル・ヤングさんの多彩なソロも聞きものでした。燃焼度が高く,しかも計算された見事の演奏だったと思います。

最後のブラームスのハンガリー舞曲集は,オープニング・コンサートでも金聖響さん指揮で聞いていますが,さらに活きの良い,引き締まった演奏を聞かせてくれました。盛り上がり必至の曲ということで,盛大な拍手で終了しました。

サイン会でも大人気でした。
 
ボランティアの方のTシャツの背中にサイン中の三ツ橋さん。サイン会に参加しやすいというのも,ラ・フォル・ジュルネ東京にはない,金沢の魅力かもしれません。



 
その頃,交流ホールでは女性アンサンブル特集



■エリアイベント

その後,昼食を食べながらエリアイベントめぐり。雨のため,一部予定を変更していたようですが,上述のとおり,雨が降ると人が建物の中に集まってくるので,さらに熱狂度は増していた気がしました。

まず,JR金沢駅のもてなしドームです。このドームは右写真のように,地上と地下の2層構造になっていましたが,本日の昼頃は2層同時に演奏を行っていることがありました。

さらにさらに,JR金沢駅構内でもほぼ同時間帯に公演をやっていたので,ドームの中は正真正銘,音楽に溢れていました。井上道義さんのメッセージの中に「世界一ラ・フォル・ジュルネが似合う街」といった言葉がありましたが,駅の改札を出た途端,生の演奏が次々と聞こえてくるという「狂った状態」が「普通」なのは金沢ぐらかもしれません。

まず鼓門下では金沢大学吹奏楽団が演奏を行っていました。



その頃,その真下の地下広場で,ジュニアオーケストラが演奏を行っていました。


その数分後,JR金沢駅構内では,金沢市立工業高校吹奏楽部が演奏を行っていました。堂々としたテンポの「双頭の鷲の旗の下に」は腹に浸みました。


「トトロ」セレクションでは,指揮の幸正先生が「トトロと体形が似ていると言われます」と仰っていたのが受けていました。

そして,その頃,鼓門下の地下広場では伏見高校と金沢市立米泉小学校の合同チームで吹奏楽の演奏を行っていました。

「恋するフォーチュンクッキー」は,春の選抜の入場行進曲としても使われていましたが,吹奏楽にぴったりですね。

その上の鼓門下では,今度はハンガリー・ジプシー・トリオが演奏開始。
 
シャンソンの名曲(ジャズでもよく演奏される)「枯葉」のコスマは,実はハンガリーの人。ボランティアの方の背中には,何と「ジャン・デュベ」。面白いので撮影させて頂きました。

音楽堂内では,金沢名物,石川県筝曲連盟が演奏中。バリトンの門田宇さん(髪型が個性的)と「荒城の月」などを演奏中。


邦楽ホールでブラームスを聞いて出てきたお客さんは,いきなりの箏の演奏にびっくりだったかもしれませんが,この熱狂的な密度の高さがLFJKです。

その数時間後,同じ場所で,慶応義塾ワグネル・ソサィエティ男声合唱団が,応援歌などを歌っていました。「早稲田を倒せ」の部分で拍手をお願いします,と言ったところ,皆さん律儀に拍手をしており,やはり熱狂的に盛り上がっていました。


そして,井上道義さんへのメッセージボード。この日もいつ行っても皆さん何か書いていました。
 




■【212】13:30〜 石川県立音楽堂コンサートホール
ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調 op.95「新世界から」
●演奏
アレクサンドル・スラドコフスキー指揮タタルスタン国立交響楽団

13:30からは再度コンサートホールで,”謎の”タタルスタン国立交響楽団による「新世界」公演を聞いてきました。この公演については,あえて前売り券を買わず,当日券で入ることにしました。密かに”ステージキャスト”席を狙っていたのですが,今年はこの席はなく,正真正銘の”立見”になってしまいました。

駅のコンコースあたりで立見をするのは,あまり気にならないのですが,ホール内の最後列で立見をするというのは,正直なところ少々辛いところがあります。自己責任の安い席(1000円でした)なので大きなことは言えませんが,やはり椅子が欲しいと思いました(私のお隣にいた年輩の方は結構辛そうにしていました。)。

この大人気の「新世界」公演ですが,演奏の方もかなり個性的でした。これはオーケストラというよりは,指揮者の責任だと思いますが,どうも音楽の作り方が単純というか雑な感じで,一言で言うと,テンポ設定は,速いか遅いのどちらか。鳴らすところは徹底的にならし,一気にテンポが上がる。音が大きくなるとテンポが速くなり,金管や打楽器が炸裂するという演奏でした。ある面,気持ちよかったのですが,「日本人の愛する新世界」だからこそ,もう少し微妙な表情を持った演奏を聞かせて欲しいと思いました。

オーケストラ全体としてはとても良い音でしたが,その点で全体に大味な演奏だと思いました。特に金管楽器や打楽器の鳴らし方は爽快で気持ち良いものでした。
 
ちなみにいつもチェックしている,第1楽章最後のトランペットのクレッッシェンドはなし。第3楽章のトライアングルは多目に叩いているような感じ。第4楽章の「1回だけ出てくるシンバル」は,吊るしシンバルをボンという感じ(ここはやはりもっとデリケートな感じが良い)。その他,テューバの出番も多かった気がします。

というわけで,かなり独特な「新世界」でしたが,さすが「新世界」ということで,この音楽祭中のコンサートホール公演で最高の入りだったのではないかと思います。

 



■【223】14:45〜 石川県立音楽堂邦楽ホール
1)スメタナ/ピアノ三重奏曲ト短調 op.15
2)リスト/悲哀,オーベルマンの谷 Sz.723
●演奏
渡邊荀之助,渡邊茂人(能舞)*2
トリオ・エトワール(水上由美(ヴァイオリン),ユリア・イサコヴァ=モネ(チェロ),リーズ・ボードワン(ピアノ))

14:45からは,「金沢オリジナルプログラム」の能舞と室内楽の共演を聞きました。今回はリストのオーベルマンの谷のピアノ三重奏編曲版と能の共演でした。

ピアノ三重奏というと,往年の「巨匠三人の組み合わせ」みたいな演奏もありますが,この日はパリで活躍する3人(水上さんは金沢出身です)の若い女性の演奏ということで,とてもスムーズで気持ちよく流れる心地よい演奏を聞かせてくれました,

能との共演については,やはり今回の簡単のリーフレットだけでは”どういうストーリーだったのだろう?”という疑問が残り,ややすっきりしませんでした。「金沢オリジナル」ということなので,この公演については,特別にもう少し詳細な解説を付けて,お客さんにアピールをしても良いのではないかと思いました。能のストーリーの基本として,「夢と現実」「時間や空間」の飛躍ということがあると思いますが,今回のストーリーについての,その辺の意図を知りたいと思いました。

ただし,今回の「オーベルマンの谷」については,曲想が途中から明るくなり,それと同時に別の人物が出てくるなど,音楽と舞がしっかりマッチした,良いパフォーマンスだったと思います。何といっても能の衣装の華やかさは,音楽祭の祝祭性との相性が良いと思います。

 
交流ホールも盛況。左が北陸三県のジュニアオケ。右が青島広志さんの司会によるコンサート



■【213】16:00〜 石川県立音楽堂コンサートホール
1)スーク/弦楽セレナード変ホ長調 op.6〜第1,3,4楽章
2)コダーイ/ガランタ舞曲
3)シュトラウス,J.II/ワルツ「美しく青きドナウ」op.314(男声合唱付き版)
4)(アンコール)レハール/喜歌劇「メリー・ウィドウ」〜「女,女,女」
●演奏
金聖響*1-2;佐藤正浩*3-4指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(コンサートミストレス:アビゲイル・ヤング),慶應義塾ワグネル・ソサエティ男声合唱団*3,4


16:00からは,コンサートホールで金聖響指揮OEKの公演を聞きました。最初に演奏されたスークの弦楽セレナード(抜粋)は,ドヴォルザークの弦楽セレナード”第2番”と言っても良いほど似た雰囲気の作品でした。最後の楽章の最後で第1楽章のメロディが再帰してくる辺りも「そのまんま」でした。このようにオリジナリティはあまりない作品ではあるのですが,何よりメロディが爽やかで大変気持ちよく楽しむことができました。今回は3つの楽章の抜粋でしたが,一度,定期公演あたりで全楽章を聞いてみたいものです。

ガランタ舞曲は,OEKの演奏で聞くのは久しぶりのことです。こちらも次々と出てくる魅力的な曲想を一気に楽しむことができました。金聖響さんは,4月29日のオープニングコンサートの時,池辺さんからのインタビューに対して「実は東欧の曲を指揮したことはほとんどないので,毎日がコンクールのようなものです」と答えていました。この曲ももしかしたら初めて指揮される曲だったかもしれません。大変生き生きとした演奏でしたが,「色モノ」というよりはガッチリとまとまった感じになっていたのは,聖響さんらしいところかもしれません。

その後,慶應義塾ワグネル・ソサエティ男声合唱団のメンバーが入場して来ました。ここで金聖響さんから「プログラムの方の記載は間に合わなかったのですが,次の曲はワグネル・ソサエティの正指揮者の佐藤正浩さんが指揮します」という案内があった後,佐藤さんが登場しました。佐藤さんは数年前のOEKの「メサイア」公演以来,金沢でもおなじみの方です。

ここで「美しく青きドナウ」の男声合唱付き版が演奏されました。これがオリジナル版ですが,実際に生で聞いたのは今回が初めてでした。男声合唱が加わると曲の厚みが一気に増し,この曲に込められた熱い思いが伝わってくるようでした。

最後にアンコールでレハールの「メリー・ウィドウ」の中の合唱曲「女,女,女」が演奏されました。「男,男,男」の合唱団がこの曲を歌うのは,なかなか洒落ています。日本語で歌っていたのですが,「女,女,女...」と繰り返す辺り,実にユーモラスでした。

それにしても指揮者の佐藤正浩さんは,元ヤンキースの松井秀喜さんによく似ていますね。声もそっくりです。



■【225】17:15〜 石川県立音楽堂邦楽ホール
ブラームス/ピアノ・ソナタ第1番ハ長調,op.1
バルトーク/3つのブルレスク op.8c
●演奏
ルーカス・ゲニューシャス(ピアノ)

17:15からは,またまた邦楽ホールに移り,前回のショパン国際ピアノ・コンクールで2位を受賞したルーカス・ゲニューシャスさんの演奏を聞いてきました。個人的には,今回のラ・フォル・ジュルネ金沢の全公演の中でいちばんインパクトが強かったのがこの公演でした。かなり前の席で聞いたこともありますが,往年のロシア,ソヴィエトの鋼のようなタッチを持ったピアニストたちの系譜に連なるスケールの大きな迫力があると感じました(過去の奏者の実演を聞いたわけではないで,印象ですが)。

最初にブラームスのピアノ・ソナタ第1番という若い時の作品が演奏されたのですが(出だしがベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」のパロディみたいな感じ),何より打鍵に力があり,音を聞くだけで引き付けられました。その一方,緩徐楽章での祈りを感じさせる気分も見事でした。全曲を通じて,ぎゅっと締まった揺るぎのない安定感を持っているのも素晴らしいと思いました。

バルトークの曲はさらにメカニカルで打楽器的な曲だったので,プロコフィエフあたりぴったりかも...と思って居たら,アンコールでそのプロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番の最終楽章が演奏されました。この演奏も強烈で,冷静な気分を残したまま,音の迫力だけが増していくという,一言で言うと「すごい」演奏でした。是非,また金沢で公演を行って欲しいと思います。



■【214】18:30〜 石川県立音楽堂コンサートホール
1)リスト/交響詩「レ・プレリュード」S.97
2)ブラームス/ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 op.83
●演奏
マタン・ポラト(ピアノ)*2
アレクサンドル・スラドコフスキー指揮タタルスタン国立交響楽団

そろそろ体力的には限界に近づいていたのですが(やはり「新世界」公演で立見をしていたのが結構,足に来ていました),18:30からはブラームスのピアノ協奏曲第2番とリストの前奏曲をタタルスタン国立響とマタン・ポラトさんのピアノで聞きました。

最初のリストの方は,強烈に叩きまくる打楽器や大きく盛り上がる金管楽器の演奏を中心に気持ちよく楽しませてくれました。この曲は一応「哲学的な雰囲気」のある曲なので,最後の方の力づくのような打楽器の強打は強烈過ぎるかな?という気もしましたが,爽快なことは確かでした。

ブラームスのピアノ協奏曲第2番は,実は私自身,実演で聞くのは今回が初めてでした。マタン・ポラトさんとタタルスタン国立響は,全く慌てることのない,堂々としたテンポでこの大曲を演奏しました。演奏時間は50分を越えていたと思います。というわけで,途中からボーッとした感じになってしまいまい,記憶を失っています。ラ・フォル・ジュルネの魅力(?)として,「年に1回,体力の限界に挑む」みたいなところもあると思います。というわけで,3楽章などは,「夢か幻か」という能の世界のような感じになってしまいました。

  
終演後,マタン・ポラトさんにサインを頂きました。 交流ホールでは声楽のコンサート中



■【225】20:00〜 石川県立音楽堂邦楽ホール
1)リスト/ハンガリー狂詩曲第2番嬰ハ短調
2)ドヴォルザーク/ピアノ五重奏曲イ長調, op.81
●演奏
近藤嘉宏(ピアノ),オーケストラ・アンサンブル金沢メンバー(松井直,上島淳子(ヴァイオリン),石黒靖典(ヴィオラ),大澤明(チェロ))*2

前公演で体力的には限界だったのですが,それでもさらにもう一つ20:00からの近藤嘉宏さんとOEKメンバーによる室内楽公演を聞きました。

リストの方はテンポの変化の大きい,大変生き生きとした演奏でしたが,近藤さんの演奏には,「この曲をやや弾きなれていないかな」という感じがありました。プログラムの近藤さんのプロフィールには「ゲルハルト・オピッツに師事」とあったので,4月のOEK定期公演でのオピッツさんの「揺るがない演奏姿勢」を思い出したのですが,近藤さんもオピッツさん同様,動きの少ない姿勢でしたね。是非,近藤さんの演奏でベートーヴェンなども聞いてみたいものです。

ドヴォルザークの方は,仲間と一緒になって挑む室内楽といった感じがあり,見事なチームワークと緊張感が共存した演奏を楽しむことができました。前日のブラームスの五重奏に比べると,ドヴォルザークの方はより楽しげな雰囲気のある舞曲的な五重奏なので,生き生きしたやり取りが曲想にぴったりだと思いました。

本公演2日目は朝10:00から夜21:00まで石川県立音楽堂周辺に居たことになります。さすがに疲労困憊といったところですが,こういう状態になること自体が「熱狂」としか言いようがありません。

 見事に「アヒル型」台紙で埋まった池の形のボード

(2014/5/23)