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兼六園周辺文化の森夏のミュージアムウィーク:文化の森の夏祭り
「光の夜」コンサート:ヴァイオリンとフルート,ピアノの調べ
2016年8月6日(土)20:00〜 本多の森公園(石川県立歴史博物館前)

ニュー・シネマ・パラダイスメドレー
プッチーニ/歌劇「トゥーランドット」〜誰も寝てはならぬ
ラフマニノフ/パガニーニの主題による変奏曲
葉加瀬太郎/エトピリカ
ピアソラ/アヴェ・マリア
タンゴメドレー
(アンコール)ラ・クンパルシータ

●演奏
根来かなう(ヴァイオリン),多田由美子(フルート),吉藤佐恵(ピアノ)



Review by 管理人hs  

昨年に引き続き,「兼六園周辺文化の森 夏のミュージアムウィーク:文化の森の夏祭り」と題して,日が暮れた後の本多の森でミニコンサートが行われたので,夕涼みを兼ねて聞いてきました。昨年と違ったのは,開催時間が少し遅くなり,石川県立歴史博物館のレンガの壁面に投影された「デジタル掛け軸」の前で演奏を行ったこと。そしてフルートが加わったことです。

演奏は,昨年同様,ヴァイオリンの根来かなうさん(お名前が変わったようですね)とピアノ(電子ピアノでした)の吉藤佐恵さん。そして,フルートの多田由美子さんでした。

曲は,少し涼しくなった夜の空気と「デジタル掛け軸」(プロジェクション・マッピングと呼ばれているものとどう違うのか,よく分からないのですが...)の映像が多彩に変化する幻想的な雰囲気に合わせて選ばれたものでした。最初にお馴染みのニュー・シネマパラダイスが演奏されました。楽器の音をマイクで拡大しているので,細かい音のニュアンスが拡大され,生々しさがあったので,通常,コンサートホール内でマイク無しで聞いているのと比べると,かなり違和感を感じてしまいましたが,段々と慣れてきました。ヴァイオリンとフルートの伸びやかな音が気持ち良く夜空に広がり,次第に夏の夜の空気にぴったりのムードになってきました。

演奏された曲では,ピアソラ作曲のアヴェ・マリアが特に気に入りました。初めて聞く曲でしたが,ピアソラ節的なメロディとパッヘルベルのカノンを思わせる雰囲気が合わさり,独特のアヴェ・マリアになっていました。

今回は,ヴァイオリンの根来さんのトークを交えて行われましたが,そのトーク同様に,全体的に堂々とした安定感のある音楽が広がり,「トゥーランドット」や「パガニーニの主題による変奏曲」などのクラシック系の曲では,野外演奏に相応しいスケール感を感じました。

多田さんのフルートとのハモリも心地良いものでした。フルートのヴィブラートからは,人の声を聞くような暖かみを感じました。

葉加瀬さんのエトピリカは,すっかりヴァイオリンの定番曲です。エトピリカというのは,アイヌ語が語源の鳥の名前のようです。そのイメージどおり,野外で聞くのにぴったりの自然に流れるような音のつながりが美しい曲です。

ミニ・コンサートの最後は,アンコールも含め,タンゴで締められました。昨年もラテン系の音楽を聞いた記憶がありますが,昼間暑かったのに,夜になって少し涼しくなった野外で聞く,ラテン系の音楽というのは最高です。金沢の夏の夜は,ラテン系の国よりは,もっと蒸し暑いかもしれませんが,この雰囲気は,ちょっと癖になりそうです。

近年,8月の日中は活動するには,暑過ぎる感じなので,夏休み中だけは,夜のイベントを増やすのも,悪くはないと思いました。

以下,写真でライトアップされた,会場の雰囲気を紹介しましょう。







この日は,しいのき迎賓館裏では,野外で映画上映会,犀川では北陸中日新聞の花火と夜の野外イベントの集中日でした。演奏中にも,遠方から「ドーン,ドーン...」とか「パラパラパラ...」といった音が聞こえてきました。これもまた演奏の気分を盛り上げていました。

 

 

(2016/08/11)




イベントの案内


デジタル掛け軸(DKというんですね)のポスター


この日は本多の森周辺の施設は延長開館を行っていました。


石川県立美術館も営業中。