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2016年4月29日(金) オープニング・コンサート ラ・フォル・ジュルネ金沢2016のオープニング・コンサートに先立ち,毎年,11:00に開幕ファンファーレが演奏されました。この時には,かなり雨が降っていたこともあり,出かけなかったのですが,14:00のオープニングコンサートの前にはカラッと晴れ上がり,今年もまた「音楽漬け」の1週間が始まりました。 12:45頃からも鼓門下で11:00から同様,金沢大学フィルの演奏が行われました。これを少し見てから,石川県立音楽堂に向かいました。 ![]() 本公演は5月3日からということで,音楽堂の方のブースはまだ完全に出来ていない感じでしたが,赤じゅうたんが敷かれ,グッズ販売コーナーも出ており,お祭り気分になっていました。 ![]() ■【オープニングコンサート】14:00〜 石川県立音楽堂コンサートホール 1) ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲, op.77, J.277 2) メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調,op.64〜第1楽章 3) (アンコール)サラサーテ/カルメン幻想曲〜ハバネラ 4) ブルーベック/バス・トロンボーンのためのプラハ協奏曲〜第2楽章「山の歌」 5) トスティ/四月 6) トスティ/理想の人 7) ヴェルディ/歌劇「椿姫」〜プロヴァンスの陸と海 8) レスピーギ/交響詩「ローマの松」〜「ジャニコロの松」,「アッピア街道の松」 ●演奏 井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢祝祭管弦楽団(コンサートミストレス:アビゲイル・ヤング) ジヨン・イム(ヴァイオリン)*2,森川元気(バス・トロンボーン)*3, 中嶋彰子(ソプラノ)*4-5, 直野資(バリトン)*6 例年どおり,前田利祐実行委員長,谷本石川県知事,山野金沢市長の挨拶があった後,井上道義さん指揮による,オープニング・コンサートが始まりました。このところ,ガラ・コンサート的な内容なのですが,今年もそのスタイルで,ヴァイオリンのジヨン・イムさん,バストロンボーンの森川元気さん,ソプラノの中嶋彰子さん,バリトンの直野資さんがソリストとして登場しました。このソリストたちですが,全員,何らかの形で石川県に関係しているのが素晴らしいところです。 ![]() ![]() イムさんは,2015年のエリーザベト王妃国際コンクールの優勝者で,いしかわミュージックアカデミーの受講者です。私も何回か演奏を聞いたことがあります。森川さんはすっかりおなじみで,石川県出身で石川ジュニアオーケストラに在籍していたことがあり,その後,北陸新人登竜門コンサートに出演したことがあります。中嶋彰子さんは,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が初演したオペラ「滝の白糸」で主役を演じるなど,石川県が第2の故郷であるかのように,毎年のように金沢で公演を行っています。そして,ベテランの直野さんは,石川県出身です。 それぞれが演奏した曲の中では,イムさんのメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲だけは,「自然」と関係がなさそうでしたが,それ以外は,「自然」のムードがあり,それぞれに聞きごたえがありました。 ![]() 森川さんの演奏したブルーベックの「山の歌」は,滅多に聞けない曲ですが,とても楽しめる作品でした。曲は,パイプオルガン前のステージで,ホルン,フルート,ファゴットが,タイトルどおり「山の歌」のような感じのメロディを演奏して始まりました。それを受ける森川さんの包容力のある音も魅力的でした。曲はだんだんジャズっぽくなってくるのですが,どこか落ち着いた「大人のジャズ」といった雰囲気があり,センスの良い曲だな,と思いました。 中嶋さんの歌ったトスティも魅力的でした。まず,中嶋さんの声が素晴らしいと思いました。可憐さと同時に落ち着きがあり,しかも凛とした強さも感じました。今回歌われた「4月」「理想の人」は,当初の予定から変更になった曲でしたが,どちらも親しみやすい曲で,春の気分や恋人に対する憧れの気分がしっかりと伝わってきました。 直野さんの歌を聞くのは,本当に久しぶりのことです。髪の毛の色がグレーになられており,今回歌われた「椿姫」のジェルモンにぴったりの雰囲気でした。歌の方も父親の気持ちが伝わってくるようなリアルさを感じました。 さて,この公演のもう一つの大きな特徴は,OEKがメンバーを増強し,「オーケストラ・アンサンブル金沢祝祭管弦楽団」となっていたことです。これまでも編成を増強していたことはありますが,名前まで変えてくれるのは楽しいですね。年に1回,「祝祭」を付けて大編成になる,というのは面白いアイデアだと思います。実は,以前このアイデアをOEKfanのどこか書いたことがある気がします。参加しているメンバーは,石川県出身の若い奏者が多いように見えたのですが,これも良いと思いました。 このOEK祝祭管弦楽団ですが,最初に演奏されたウェーバーの歌劇「魔弾の射手」序曲と最後に演奏されたレスピーギの「ローマの松」の中から2曲で登場しました。「魔弾の射手」も良かったのですが(コーダに入る部分でのティンパニの菅原さんの一撃がいいなぁと思いました),やはり最後の「ローマの松」のスケールの大きな演奏がお見事でした。 「ジャニコロの松」の部分で,映画音楽を聞くように,静かな夜のムードをしっとり伝えた後(遠藤さんのクラリネットが絶品でした),「アッピア街道の松」につながりました。低音楽器とピアノと中心とした重い歩みは最初から最後まで一貫しているのですが,その上に展開する音楽が,どんどん壮麗に広がっていきます。途中からバンダが入ってくるのですが,最初はパイプオルガンのステージのドアの後ろで演奏。その後,ドアが開いて,外に出てきて,爽快に吹きまくっていました。パイプオルガンも加わっていました。 祝祭管弦楽団のベースはOEKですので,音量が大きくなっても透明感はしっかり残っており,聞いていてうるさくなく,威圧的な感じがなかったのも良かったと思います。金沢では滅多に聞けないオーケストラによる心地よい大音量に浸ることができました。 オープニングコンサートを公演を皮切りに,前半は金沢市内や北陸地区各所で演奏,後半は石川県立音楽堂周辺で集中的に演奏会が多数行われます。お天気の方が少し気になりますが,これから一週間,「自然」な音楽に浸りたいと思います。 PS. プレコンサートでは,輪島塗の弦楽器による演奏が披露されました。これまでヴァイオリンとチェロがありましたが,ヴィオラも揃い,弦楽四重奏が可能になり,ハイドンの「ひばり」「鳥」などから演奏されました。演奏後,間近で楽器を眺めるお客さんです。 ![]() 通路にはおなじみの青島広志さんによるイラストが出ていました。これらのイラストが,「ナチュール」のコンセプトを理解するのにいちばん,分かりやすい気がしました。 ![]() ![]() 以下は,会場で販売していたグッズなどの紹介です。 ラ・フォル・ジュルネ金沢で販売しているグッズは,東京のラ・フォル・ジュルネと共通するものがほとんどです。毎回,ルネ・マルタンさんが選曲したCDを売っているので,記念に買っています。今年はla natureと題したCDを販売していたので,早速購入しました。 ![]() 収録されていたのは次の曲です。値段は1200円ぐらいでした。
時々,鳥の声が入っている演奏がありましたが,金沢でもあるのでしょうか?比較的穏やかな曲が多いので,リラックスしたいときのBGMに良さそうな感じです。 もう一つ購入したのが,オリジナル・マスキング・テープです。実は最近,少々マスキング・テープ集めに凝っており,「オリジナル」という言葉にひかれて,つい購入してしまいました。値段は3本で800円とやや高目ですが,あれこれ使えそうです。 ![]() 3本の内訳は,「緑色っぽい自然と音楽のイメージ」「ピアノの鍵盤」「音符と五線譜」です。例えば,携帯電話に貼るとこんな感じです。 ![]() 無地のメモ帳に貼ってみると,オリジナルっぽくカスタマイズできます。 ![]() その他,例年通り,金沢オリジナルのスウィーツやワインも売っていましたが,取りあえず本日は,「見るだけ」としておきました。 ![]() ![]() (2016/05/15) |