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オーケストラの日2018:みんな一緒にオーケストラ
2018年3月31日(土)14:00〜 石川県立音楽堂コンサートホール

いしかわ子ども邦楽アンサンブル
1) 八橋検校/箏曲「六段の調」〜初段
2) 十世杵屋六左衛門(三世桜田治佑作詞)/長唄「末廣狩」
3) 松任谷由実(早川和良詞)/ひゃくまんさん小唄

オーケストラ・アンサンブル金沢
4) モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲

みんなで挑戦!オーケストラ・クイズ
5) モーツァルト/アイネ・クライネ・ナハトムジーク〜第1楽章
6) モーツァルト/歌劇「後宮からの逃走」序曲

OEKエンジェルコーラスwithOEK
7) モーツァルト(青島広志編曲)/アレルヤ
8) モーツァルト(青島広志編曲)/歌劇「魔笛」〜パパパの二重唱

石川県ジュニア・オーケストラwithOEK
9) モーツァルト/交響曲第40番ト短調,K.550〜第1楽章

みんなで歌おう!
10) 杉本竜一/ビリーヴ
11) (アンコール)シュトラウス,J.I/ラデツキー行進曲

●演奏
いしかわ子ども邦楽アンサンブル*1-3,
鈴木織衛指揮オーケストラ・アンサンブル金沢;石川県ジュニア・オーケストラ*9-11;OEKエンジェルコーラス*7-8
司会:山田彰子



Review by 管理人hs  


3月31日は,「ミミにいちばん!オーケストラの日」ということで,全国的に色々なオーケストラが演奏会を行っているはずです。金沢では,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)に加え,石川県ジュニア・オーケストラ,OEKエンジェルコーラス,いしかわ子ども邦楽アンサンブルが登場し,春休みオーケストラ入門といった感じの親子で気軽に楽しめる演奏会が行われました。楽都音楽祭の宣伝を兼ねて,終演後には,PRキャラクターのガルちゃん,さらには石川県のキャラクター,ひゃくまんさんも登場し,会場には和やかな雰囲気がありました。

 2つのキャラクターが勢ぞろいというのは貴重な機会ですね

まず,いしかわ子ども邦楽アンサンブルによって,箏曲と長唄が演奏されました。箏の合奏による,ゆったりとした優雅さ,声と鳴り物が加わっての活気のある盛り上がり。滅多に邦楽器を聞くことがないのですが,たまに聞くと気分が落ち着きます。
 コンサートホールのステージの前方に金屏風

長唄の方は一種の「弦楽器・打楽器伴奏付き声楽曲」ということで,楽器が加わるたびに立体感を感じました。長唄のソロの部分での,それぞれの声の味わいの違いも面白いと思いました。最後の「ひゃくまんさん小唄」は,お客さんを含め,ややテンションが低かったでしょうか。ただし,「小唄」なので熱すぎるのも変ですね。

その後は,鈴木織衛さん指揮によるオーケストラを中心としたステージとなりました。

まずOEKの単独で,「フィガロの結婚」序曲がきっちりと演奏されました。すっかりお馴染みの定番曲ですが,何度聞いてもよく出来た曲だなと思います。

その後,「みんなで挑戦!オーケストラ・クイズ」コーナーになりました。このコーナーは,昨年度に引き続いてもののようです。この日は,オーケストラの演奏会と邦楽器を啓蒙する冊子が配布されていたのですが,それに関した質問などが5問出されました。お客さんには,AとBという文字が両面に大きく印刷されたA4サイズの紙が配布されており,それを上げて回答するという手順です。オーケストラメンバーも参加していましたが,こういう企画は楽しいですね。
 

出されたのは,次のような問題でした。

  • A:モーツァルトとB:前田利家はどちらが古い?(正解:B:利家)
  • A:ヴァイオリンとB:チェロ,人間の声により近いのは?(正解:B:チェロ。チェロパートの皆さんは皆さんAを上げてましたが...)
  • コンサートの前に気をつけるべきことは?A:携帯電話の電源OFF,B:トイレを我慢する (正解はA。Bの選択肢の方は出題されたアナウンサーにも苦笑されていました。我慢はダメです)

問題の中では「アイネ・クライネ・ナハトムジークは,A:朝の音楽,B:夜の音楽 のどちら?」というのが,難問だったようです。OEKが朝のような爽やかさで第1楽章を演奏した後の出題だったこともあり,かなりの人がAを上げていました。「正解はBです!」「エー(A)」というようなリアクションでした。

 

コーナー最後の問題(「オスマン帝国は今の何という国?A:モンゴル,B:トルコ」(正解:B:トルコ))を受けて,その流れでモーツァルトの「後宮からの逃走」序曲が演奏されました。この演奏では,石川県ジュニア・オーケストラのメンバーが打楽器に加わっていました。大太鼓の胴体も一緒に叩きながら演奏(和太鼓風?)するのが面白いと思いました。軽快かつエキゾティックに演奏された後,OEKエンジェルコーラスのコーナーになりました。ここでは,モーツァルトの「アレルヤ」と「パパパの二重唱」が演奏されました。青島広志さん編曲の合唱曲の抜粋で,気持ちよく楽しませてくれました。

その後,石川県ジュニア・オーケストラのメンバーとOEKの合同演奏で(ジュニアがメインでした),モーツァルトの交響曲第40番の第1楽章が演奏されました。前週の日曜日にジュニア・オーケストラの単独で演奏されたばかりの曲だったのですが,プロのオーケストラとの共演とういうのは,子供たちにとっても,とても良い経験になったと思います。

フルートが沢山いるなどちょっと変わったバランスの部分もありましたが,全体を通じて淡い悲しみが伝わってくる美しい演奏だったと思いました。

最後は,全員で「ビリーヴ」が演奏しました。お客さんも含め全員で合唱しておしまいというのは,定番ですね。ただし...この曲...ある年代以上の「大人」はあまり知らない曲なので,全員で合唱するには「指導」が必要だったかもしれません。

アンコールでは,こちらも定番曲の「ラデツキー行進曲」が演奏されました。司会の方の説明によると,「楽都音楽祭での企画用に使うためにVRカメラで撮影させていただきます」とのことでした。指揮をするゲームアプリのようなものを作るのでしょうか?ちょっと見てみたい気がします。

春休み中の土曜日の午後ということで,お客さんは親子連れが沢山いました。それを狙ってか,開演前,ホワイエでは,楽器体験コーナーも賑わっていました。本日のお客さんの中から,未来のOEKファンが出てきて欲しいですね。

 

(2018/04/07)





公演のポスター


帰宅途中,少し大回りして石川門へ。もう少しで満開という状態でした。