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いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭2019
春待つ北ヨーロッパからの息吹:北欧とロシアの音楽:グリーグ,シベリウス,チャイコフスキー,ショパン

【5月5日 本公演最終日の公演】

Review by 管理人hs  

本公演最終日。この日も快晴。まず前日の最終公演に引き続き,クレーメルさんを中心とした公演を金沢市アートホールで聞いてきました。

 
アートホール公演は,ほぼ完売でした。

A31 11:20〜 金沢市アートホール

ヴァインベルク/ヴァイオリン・ソナタ第6番
ショパン/ピアノ三重奏曲ト短調

●演奏
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン),ギードレ・デュルヴァナウスカイテ(チェロ*2),ゲオルギス・オソーキンス(ピアノ)

前日のシルヴェストロフと打って変わり,やはりヴァインベルクは強烈な音楽でした。前日のシルヴェストロフの方は繊細な弱音中心だったのに対し,ヴァインベルクの方は,すべての文章にアンダーラインが引かれた本を読んでいるような印象がありました。ただし,2日前に聞いたヴァイオリン独奏の場合とは違って,ピアノの音が入ることで,少し音楽に余裕があると感じました。

ショパンのピアノ三重奏曲の方は,ショパンにこんな重厚な曲があったのかと思わせる密度の高い演奏でした。ほの暗く,まじめで大柄な作品でした。各楽器がしっかりと対話をし,非常に密度の高い世界を聞かせてくれました。

特にクレーメルさんの音とチェロのギードレ・デュルヴァナウスカイテさんの音がぴったりと寄り添っているのが美しいと思いました。深い心の淵を見せてくれるような趣きがありました。

第3楽章はアダージョ・ソステヌートということで,特にゲオルギス・オソーキンスさんのピアノの音が美しく響いていました。最終楽章は,どこかポーランド風で,この部分で初めて「ショパンらしいな」と感じました。

ショパンのピアノ三重奏曲を実演で聞く機会はあまり多くないのですが,ショパンの作品の中でも独特の位置を締める重要な作品なのでは,と感じました。



公演と公演の間の移動の際などに,音楽堂広場前等で演奏するアーティストたちの姿を見かけるのですが,皆さん,演奏はもちろんのこと,見せ方やトークが年々うまくなってきているなぁと思います。マリンバの神谷紘実さんもすっかりお馴染みの方ですが,素晴らしい妙技を楽しませてくれました(バチをひっくり返したり,反対側から演奏したり)。


写真のような雰囲気が連日続いていました。こういう光景を見ると本当に嬉しくなります。



続いては,「時間が空いていたので」行くことにしたヘンリク・シェーファー指揮エーテボリ歌劇場管弦楽団による「J.シュトラウス対ロンビ(北欧のシュトラウス)」公演です。この公演には,加羽沢美濃さんが司会者として参加していましたが,そのお言葉どおり,大変楽しい,見所・聞き所満載の内容でした。

ちなみに演奏順は,大々的に変更になっていました。
 

C32 12:40〜 石川県立音楽堂コンサートホール

1) ロンビ/コペンハーゲン蒸気機関車ギャロップ
2) シュトラウス,J.II/シャンパン・ポルカ
3) ロンビ/シャンパン・ギャロップ
4) ロンビ/コンサート・ポルカ
5) シュトラウス,J.II/ポルカ「雷鳴と稲妻」
6) シュトラウス,J.II/喜歌劇「こうもり」〜私は客を招くのが好き
7) ロンビ/夢の風景
8) レハール/喜歌劇「メリー・ウィドウ」〜ヴィリアの歌
9) ロンビ/女王ルイーズ・ワルツ
10) シュトラウス,J.II/ワルツ「美しく青きドナウ」
11)(アンコール) レハール/喜歌劇「メリー・ウィドウ」〜メリー・ウィドウ・ワルツ
12)(アンコール) シュトラウス,J.I/ラデツキー行進曲
●演奏
ヘンリク・シェーファー指揮エーテボリ歌劇場管弦楽団
アン=クリスティン・ジョーンズ(メゾソプラノ),北川聖子(箏)
司会:加羽沢美濃


最初はロンビの「コペンハーゲン蒸気機関車ギャロップ」。列車を描いた曲は多数ありますが,この曲では打楽器奏者の方が,ソリストとして指揮者のお隣に登場し,ほぼ最初から最後まで汽車の擬音を出す楽器を演奏していました。何という楽器でしょうか?遠くから見た感じだと,ずっと「米を磨いでいる」感じでした。お疲れ様と言いたいですね。エーテボリのオーケストラの音も大変ゴージャスでした。演奏の終了間際,シェーファーさんが「次はカナザーワー」と大きな声でアナウンスをして,「無事到着」しました。

続いては「シャンパン対決」でした。シュトラウスもロンビも,「シャンパンの栓」を空ける音を入れた曲を書いており,それが続けて演奏されました。シュトラウスの方はじっくりした感じ,ロンビの方が景気が良い感じ。ポルカとギャロップの違いでしょうか。というわけで,やはり,お国もののロンビの方に生気があると思いました。

続いては,「ポルカ対決」でした。ロンビのコンサート・ポルカでは,コンサートミストレスの女性(非常に貫禄のある方で...結構,イメージとしてはOEKのアビゲイル・ヤングさんを彷彿とさせるような迫力を感じました)と第2ヴァイオリンの田代さん(日本公演にちなんでの登場)が手に手をとってダンスをするサービスもありました。曲は,シュトラウスのアンネン・ポルカを思わせるような優雅さがありました。

シュトラウスの方は,お馴染みの「雷鳴と稲妻」が演奏されました。エーテボリのオーケストラの硬質感のある音はこの曲にはぴったりで,本格的な雷雨が通り過ぎていったような印象を残す演奏でした。

続いて,今年のガル祭のプリマドンナと言っても良い,メゾ・ソプラノのアン=クリスティン・ジョーンズさんが登場し,「こうもり」の中のオルロフスキー公爵のアリア「私は客を招くのが好き」が歌われました。カウンターテノールで歌われることもある,ちょっとエキセントリックな雰囲気もある曲ですが,ジョーンズさんは瑞々しい声が気持ちよく聞かせてくれました。

ロンビの「夢の風景」は,元々,ツィターが使われる曲とのことですが,今回はシェーファーさんのアイデアで,その部分を箏で演奏するという面白い試みがされました。着物を来た北川聖子さんが指揮者の前のスペースに登場し,曲の終盤でシンプルだけれども美しいメロディを優雅に聞かせてくれました。この挑戦は大成功だったと思います。この部分以外にも魅力的な部分が多い曲だったので,ワルツの定番曲として定着していって欲しいと思いました。それと,同じ発想で,シュトラウスの「ウィーンの森の物語」の箏版というのも面白いかもしれませんね。

レハールの「メリー・ウィドウ」のヴィリアの歌では,再度,ジョーンズさんが登場し,情がしっかりとこもっているけれども,シュッとした瑞々しさのある声を楽しませてくれました。このアリアには,合唱が入るのですが,何とそのパートをオーケストラのメンバーが歌っていました(弦楽器や打楽器など,「口」が空いているメンバーが担当していたのだと思います)。こういうアイデアは面白いですね。さすが,「歌劇場」管弦楽団だと思いました。

最後はワルツ対決ということで,ロンビの「女王ルイーズ・ワルツ」が折り目正しく演奏された後,定番の「美しく青きドナウ」で締められました(コーダの部分は,短めの版でした)。

公演の終了時間は予定をオーバーしていたようですが,やはりそのまま終わるわけにはいきませんね。アンコールとして,まず,おなじみのメリーウィドウ・ワルツが演奏されたのですが...今度は何と指揮者のシェーファーさんが見事なテノールの声を披露。さらにジョーンズさんとデュオをし,狭い指揮台の上で手をとってダンス。最後には熱い口づけ+抱擁。シェーファーさんは,サイン会のたびに(3回ぐらいいただきました)とても明るく応対されていましたが,本当に良い方です。

ワルツの最後の音が伸び続けている限り抱擁は解除されない...ということで,一転してラデツキー行進曲に切り替え。シェーファーさんは「こんなことしている場合でない!」と表情を変え,指揮者に戻りました。この曲がないと「納まらない」ところがあるのですが,大変鮮やかな転換でした。お決まりの手拍子入りの演奏が続いて,公演は終了。予想以上に楽しい内容の公演でした。何よりロンビという作曲家の存在も知ることができたのが良かったですね。


終演後はソリストやオーケストラメンバーを交えての,「大サイン会」が行われました。今回登場した6人の指揮者の全員のサインを1つのページにいただこうとしたのですが...あと一歩でした。

  

エーテボリのオーケストラのメンバーには,別の公演の後にもいただきました。というわけで,既に誰のサインだったのか判別不能な状態になってしまいました。ちなみに,エーテボリのページのいちばん下の部分に,加羽沢美濃さんのシンプルなサインもいただきました。
 



続いて,邦楽ホールに行き,ファルカシュ・ガーボルさんの独奏によるショパンのピアノ協奏曲第2番他

H32 14:00〜 石川県立音楽堂邦楽ホール

1) カバレフスキー/組曲「道化師」
2) ショパン/ピアノ協奏曲第2番へ短調
3) (アンコール)ショパン(リスト編曲)/春

●演奏
ミヒャエル・バルケ指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(コンサートミストレス:アビゲイル・ヤング)*1-2
ファルカシュ・ガーボル(ピアノ*2-3)

まずOEKの単独演奏で,カバレフスキーの組曲「道化師」。ギャロップだけは,昔から運動会用のBGMとしてよく知られていますが,全曲演奏は比較的珍しいかもしれません。他の曲もギャロップ同様,シンプルかつ明快な曲ばかりで,残響の少ない邦楽ホールで聞く硬質な響きにマッチしていました。

ショパンのピアノ協奏曲第2番の方は,ハンガリー出身のピアニストで,リスト国際ピアノコンクールで最優秀賞を受賞したことのある,ファルカシュ・ガーボルさんでした。ガーボルさんのピアノは,安定感抜群で,全曲に渡って美しいタッチを楽しむことができました。特に波のない水面に時折,キラリと光が反射するような雰囲気のあった第2楽章が素晴らしいと思いました。第3楽章はポーランドの舞曲風で,こちらも余裕たっぷりの演奏でした。

アンコールでは,ガーボルさん自身,リストの専門家ということを意識してか,ショパンの歌曲をリストがアレンジした「春」が演奏されました(サイン会の時に曲名を確認しました)。このシーズンにぴったりの優しい歌でした。



今年のガル祭ですが,考えてみると,OEKは邦楽ホールでの協奏曲公演が中心でしたね。




そして,再度コンサートホールへ。こちらも急遽行くことにした,リュウ・シャオチャ指揮台湾フィルによる,シェエラザード。ガル祭の場合,東京で行っているラ・フォル・ジュルネほどの混雑はしていないので,その日に来て,フラッと聞ける場合があります。その気軽さが良い点だと思います。

そして,今年のガル祭 のいちばんの特徴は,こういう大編成の曲を2つのフル編成オーケストラによって,しっかりと楽しめたことだったと思います。

C33 15:20〜 石川県立音楽堂コンサートホール

1) グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
2) リムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」

●演奏
リュウ・シャオチャ指揮台湾フィルハーモニック
リー・イーチン(ヴァイオリン*2)


まず,グリンカの歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲が演奏されました。冒頭から弾けるようなパンチ力の効いた演奏で,大編成オーケストラを聞く楽しさを満喫できました。第2主題(多分)は,対照的に流れるようなメロディをチェロ・パートが演奏するのですが,こちらも思う存分歌っており,「もう思い残すことはない」といった見事な演奏でした。

シェエラザードでも,序曲同様に充実のオーケストラ・サウンドをたっぷり楽しむことができました。各楽器のバランスも素晴らしく,リムスキー=コルサコフならではの素晴らしいオーケストレーションをストレートに楽しむことができました。

そして,この曲の場合,独奏ヴァイオリンも重要ですね。台湾フィルは女性がリーダーということで,まさにシェエラザード姫の雰囲気にぴったりでした(考えてみると,今ガル祭に登場した3オーケストラとも「コンミス」でしたが)。リー・イーチンさんのしなやかなヴァイオリンに続いて,順風満帆でのびのびとシンドバッドの船が進みはじめました。
 

ヴァイオリン以外にも,フルートをはじめとしたソロも大変雄弁でした。第2楽章でのファゴットやオーボエも鮮やかでした。もったいぶったところのない気持ちよさがあり,楽章最後の一撃も見事でした。

第3楽章は,非常に美しいメロディがヴァイオリンの合奏に出てきますが,そのとろけるような音が非常に美しく響いていました。途中,クラリネットがメロディを演奏した後,打楽器が小さめの音でアンサンブルをするような部分があります。大好きな部分なのですが,生で聞くと,細部まで各楽器の音が聞こえるので,CDなどで聞く以上に楽しめました。

第4楽章は全曲のクライマックスで,ここでは打楽器がダイナミックに活躍します。トランペットの連符も絡み,非常にスピーディかつキビキビと進み...難破してしまいます。この部分の盛り上がりもお見事でした。

というわけで,やはり「シェエラザード」を生で聞いておいて良かったと思いました。





続いて,今回,3公演行ってくれたボロディン弦楽四重奏の最終公演を聞くために,金沢市アートホールへ。

A33 16:40〜 金沢市アートホール

ショスタコーヴィチ/弦楽四重奏曲第4番ニ長調
ハイドン/弦楽四重奏曲第41番ト長調
(アンコール)チャイコフスキー/弦楽四重奏曲第1番〜第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」
(アンコール)チャイコフスキー/子どもためのアルバム〜木彫りの兵隊の行進曲

●演奏
ボロディン弦楽四重奏団

この枠では,ショスタコーヴィチの4番とハイドンのロシア四重奏曲第5番という,違うタイプの曲が演奏されました。ちなみにハイドンの方は,ロシア大公パーヴェルに献呈されたことで「ロシア四重奏曲」と呼ばれているものです。両曲とも,自信に裏打ちされた,音のバランスに全く乱れのない,ゆるぎのない音楽を楽しませてくれました。

ショスタコーヴィチの方も,晩年の作品に比べれば,古典で穏やかな曲想でしたが,不安と落ち着きが同居したような雰囲気は,やはりショスタコーヴィチならではだと思います。第1楽章は精妙なロングトーンで始まりました。完全なハーモニーといった気分に包まれ,別世界へと入っていくようでした,その後の楽章にも色々な性格の曲想が含まれていましたが,ゆらぎのない疾走感,ゆらぎのない盛り上げ...といった趣きがあり,常に安定感を感じました。そこがこのカルテットの素晴らしさだと思いました。最後は第1楽章の雰囲気に戻るような深い静寂の中で全曲を閉じました,

ハイドンの方は古典派の作品ということで,動じることのない見事なバランスの音楽を聞かせてくれました。ボロディン弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者は,現在は,ルーベン・アハロニアンさんなのですが,この方の非常にクールな雰囲気が全体のベースになっているように感じました。

第2楽章はモーツァルトを思わせるような美しいメロディと深さが印象的でした,第3楽章のスケルツォでは,安定感とリズム感とが両立しているようでした。第4楽章は軽やかな変奏曲風でした。そのくっきりとした演奏も見事でした。

演奏後,止まない拍手に応えて,2曲もアンコールが演奏されました。ガル祭の場合,タイムテーブルがきっちり決まっているので,アンコールは通常の公演よりは少なめなのですが,この公演については「最終公演」ということもあり例外的だったのだと思います。ボロディン四重奏団からの「置き土産」といった感じで,品の良い透明感に満たされたい「アンダンテ・カンタービレ」と,とても短く気の利いた行進曲が軽やかに演奏されました。




その後,クロージングコンサートへ。交流ホールでのピアノチクルスに行っても良かったのですが,開演までしばらく時間があったので,しばし休憩+軽く夕食。

ホテル日航金沢を通り抜けたのですが,奉祝の看板。記念に撮影をしておきました。


C34 19:15〜 石川県立音楽堂コンサートホール
クロージング・コンサート

グリーグ/ピアノ協奏曲イ短調
ハチャトゥリアン/組曲「仮面舞踏会」
(アンコール)古関裕而/オリンピック・マーチ

●演奏
ユベール・スダーン指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(コンサートミストレス:アビゲイル・ヤング),平野加奈(ピアノ*1)

ガル祭のクロージング・コンサートについては,ラ・フォル・ジュルネの時からの伝統で,やはりOEKが出演すると特に盛り上がると思います。今回はさらに,オーディションで選ばれたソリストと協奏曲を共演するという楽しみもありました。


そのソリストとして登場したのが,平野加奈さんでした。平野さんとOEKのつながりは,岩城宏之さんが存命中に行われた新人登竜門コンサートに出演された時が最初だと思います。その時はまだ中学生でしたね。あれから十数年を経て,音楽祭の最後の公演に登場するとは...当時の平野さんも,お客さんも誰も思っていなかったと思います。

その平野さんが演奏したのはグリーグのピアノ協奏曲でした。ピアニストならば,誰もが憧れる曲だと思います。第1楽章の冒頭から鋭い音による,気合い十分のダイナミックな演奏。ユベール・スダーンさん指揮OEKも,それに応える力強く,センシティブな演奏。すべてが吹っ切れたような,気持ちの良い演奏でした。

色々な思いが去来するような第2楽章に続いて,軽快な第3楽章へ。この楽章では途中,フルートが清々しい音を吹いた後,クライマックスに入っていくのですが,松木さんの音がいつもどおり素晴らしかったですね。クライマックスでは,スダーンさんがじっと平野さんの方を見つめて指揮をされていたのが印象的でした。ピアノとオーケストラの間に熱い共感が感じられる演奏だったと思います。

数十年前,平野さんと岩城さん指揮OEKが共演する演奏も聞いているのですが,この時,岩城さんはマナーの悪いお客さんに対して「この演奏会は,ソリストにはとても大切な演奏会なのだ」と叱っていたことを思い出します。この時の岩城さんのことなどを思い出し,最後の部分を聞いていてグッとこみ上げるものがありました。

後半は,ハチャトゥリアンの組曲「仮面舞踏会」が演奏されました。最初のワルツについては,浅田真央さんがフィギュア・スケートの音楽として使ってから非常に有名になりましたが,その他の曲も分かりやすく楽しめる曲ばかりです。

スダーンさんのテンポ設定はとても速く,低音の楽器の迫力たっぷりでした。個人的には,このワルツについては,遅めのテンポで退廃的な感じで演奏した方が雰囲気が出ると思っているのですが,今回の演奏も違った面を見せてくれるようで楽しめました。

その後の曲では,アビゲイル・ヤングさんのソロが入ったり,トランペットの藤井さんのソロが入ったり(起立して演奏していましたね),OEKファンには,特に楽しめる演奏だったと思います。

最後の「ギャロップ」は,お祭り騒ぎのエンディングにぴったり。ハチャトゥリアンの影響を受けたのかどうか知りませんが,この曲を聞いていると,クレージーキャッツなどの音楽に通じるコミカルさを感じます。

演奏後,司会の池辺晋一郎さんから,来年の音楽祭のテーマが「音楽でつなく世界の和」と発表されました。オリンピック・イヤーにちなんだテーマということで,来年に向けたアンコールとして,前回1964年の東京オリンピックでも使われていた,古関裕而作曲によるオリンピック・マーチが演奏されました。

この曲については,5月2日の「吹奏楽の祭典」公演でも,スダーンさんが指揮されていたのですが,「こうつながるのか」と納得しました。手拍子入りの軽快なマーチでした。



最終公演後,記念にトートバッグを購入。音楽祭で配布されるリーフレット類をコンパクトに収めるのに丁度良いかなと思ったからです(それならば,初日に買えば良かったのですが)。というわけで,来年はこのバッグを持って参加したいと思います(黄色のビニル袋のデザインの方が宣伝効果はあるかな?)。
 

今年のガル祭では,大編成の名曲や若手ソリストの演奏を連日楽しむことができたのが特に良かったと思いました。客層もOEKの定期公演と違う(若い)気がしましたね。「連休中にクラシック音楽を楽しむ文化」が金沢では,少しずつ定着していると思います。何よりも大勢の人が,演奏者として,そして聴衆として参加できているのが良いと思います。

関係者の皆様ありがとうございます。お天気同様,良い音楽祭でした。

 

(2019/05/14)