OEKfan > 演奏会レビュー

LFJ2007トップ
La Folle Journee au Japon
「熱狂の日」音楽祭2007:民族のハーモニー
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」
2007/05/05 12:15- 東京国際フォーラム ホールA(ドストエフスキー)
リムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェヘラザード」op.35
●演奏
ドミトリー・リス指揮ウラル・フィルハーモニー管弦楽団

Review by 管理人hs  

2番目の公演は,「シェヘラザード」ということで,東京国際フォーラムで最も収容人数の多いホールAで行われました。ドストエフスキーというニックネームもなるほどという感じです。このホールに入るのは,昨年以来2回目のことです。

演奏は,今回のオーケストラ・コンサートで大活躍しているウラル・フィルでした。ウラルという名前からして,何か非常に野性的なイメージがあったのですが,とても正統的な感じのする演奏を聞かせてくれました。チューニングの時のオーボエの音を聞いた時は,素朴さを感じたのですが,曲が始まるとオーケストラの音全体に密度の高さが漂い,ローカルなオーケストラという印象は消えました。これは指揮者のドミトリー・リスさんの力にもよると思います。

特に曲の前半2楽章では,標題音楽というよりは,交響曲を聞くような純音楽的な締まった雰囲気を感じました。力任せな雰囲気はなく,余裕を感じさせてくれました。ホールが広いこともあり,音圧はそれほど高くはありませんでしたが,何せ音の広がるスペースが広いのでスケール感はたっぷり感じられました。

3楽章は,弦楽器の響きが大変印象的でした。豊かな香りが漂うような,絶妙の揺らぎのある演奏となっていました。第4楽章は,このオーケストラの名技性が十分に発揮されていました。速いテンポで進んで行くのですが,トランペットのキレの良い響きをはじめとして,自信に満ちた音楽が続きました。堂々としたクライマックスも貫禄十分でした。

コンサート・マスターのソロは,アラビアンナイトの持つ妖艶さよりは堅実さを感じさせるものでしたが,この雰囲気が全体の堅実な雰囲気とマッチしており,曲全体に安心感を加えていました。

今回の「熱狂の日」音楽祭では,ビルバオ交響楽団とか今回のウラル・フィルといった知名度は高くないけれどもしっかりとした実力を持った団体が,ホールAを舞台に連日のように多彩なプログラムを演奏しているのですが,こういうオーケストラとの出会いというのは,聴衆にとっても奏者にとっても,有意義なことだと感じました。ウラル・フィルの皆さんには失礼なのですが,通常の演奏会でウラル・フィルの公演に連日5000人のお客さんが入るというのは,信じられない状況なのではないかと思います。

PS.演奏後は,ゆっくりと余韻を味わっていたいところではありましたが,次の公演が控えていたので,数回拍手をしたところで,早々に会場を後にしました。恐らく,アンコールは演奏されていないと思います。 (2007/05/07)

ホールA
ドストエフスキー
席数:5004

ホール前にある掲示板です。


ホールの内部です。演奏会前は,この写真のように「ラ・フォル・ジュルネ」のロゴマークが投影されていました。今回は1階席で聞いたのですが...40列というかなり奥の方の座席でした。


窓の外からはJRの線路が見えました。