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La Folle Journee au Japon
「熱狂の日」音楽祭2007:民族のハーモニー
ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲
2007/05/05 13:15- 東京国際フォーラム ホールB5(ガルシア・ロルカ)
ドヴォルザーク/ピアノ五重奏曲イ長調op.81
●演奏
仲道郁代(ピアノ)
エベーヌ弦楽四重奏団

Review by 管理人hs  

2番目の公演と3番目の公演の間は,まさにハシゴとなりました。この日,私は時計を持って行くのを忘れたのですが,「シェヘラザード」の終演からこの室内楽公演の開演までの間は恐らく15分ぐらいしかなかったのではないかと思います。同じ建物の中にあるホールだからこそできるハシゴです。大編成オーケストラの公演のすぐ後に室内楽公演を聞くという配列も「ラ・フォルジュルネ」ならではです。このホールB-5の方も最初に聞いたB-7同様,本来のホールではないのですが,こちらの会場の方が一回り小さかったこともあり,いくらか音響は良い気はしました。

この室内楽公演ですが,人気ピアニストの仲道郁代さんが出演されるということで,補助席が出ていたようです。チケットぴあのページでは,売切と書いてあったのですが,そのせいか,私の周りにはいくらか空席がありました。こういう会場ですので座席の融通はききやすいのではないかと思いました。

今回演奏されたピアノ五重奏曲というジャンルについては,ブラームス,シューマン,ショスタコーヴィチ,シューベルト(コントラバスが入りますが)とiいった作曲家が作品を書いていますが,少し大柄で親しみやすい作品が多いようです。このドヴォルザークの作品も大変ポピュラリティのある作品です。エベーヌ弦楽四重奏団の皆さんはがっしりとした男性ばかりなのですが,仲道さんは,その中で紅一点(そのとおり鮮やかな赤いドレスでした)の存在感を示し,見た目の点でも通常の室内楽よりは華やかな気分を出していました(ただし,この会場の床は平面なので,弦楽四重奏団の後ろにいる仲道さんの姿は演奏中はほとんど見えなかtったのですが)。

第1楽章は,ゆったりとしたチェロの甘いメロディで始まった後,弦楽器を中心に熱い演奏が続きました。エベーヌ弦楽四重奏団の演奏は,緻密さよりは,伸びやかさを感じさせるもので,ラプソディックな気分のあるこの曲には相応しいものでした。仲道さんのピアノは,第1楽章では,どちらかというと控えめな感じで,全体をがっちりと引き締めていました。

第2楽章はドゥムカと呼ばれる民族音楽です。ここでも各楽器の音がたっぷりと響き,スケールの大きさを感じさせてくれました。仲道さんのピアノの音もくっきりと浮かび上がっていました。第3楽章は湧き立つようなフリアントで,仲道さんのピアノのキラキラとした音を中心に,生き生きとした音楽を聞かせてくれました。第4楽章も大変楽しげな演奏で,中間部で重厚な雰囲気を感じさせてくれた後,熱く全曲を締めてくれました。

エベーヌ弦楽四重奏団は,2004年のミュンヘン国際コンクールで優勝したまだ若い団体ですが,これからますます存在感を増してくるのではないかと思います。今回の音楽祭では,バルトークの弦楽四重奏曲の公演もあったようですが,こちらも熱い演奏を聞かせてくれたのではないかと思います。(2007/05/07)

ホールB5
ガルシア・ロルカ
席数:528

AとBの入口を示すサインです。色分けしてあるので,はっきり分かります。


反対側の入口です。こちらも色が統一されています。

会場前の掲示板の色も黄色でした。


ステージ付近の写真です。