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La Folle Journee au Japon
「熱狂の日」音楽祭2007:民族のハーモニー
ビゼー:小組曲「子供の遊び」,サン=サーンス/チェロ協奏曲第1番
2007/05/05 10:15- 東京国際フォーラム ホールB7(マラルメ)
1)ビゼー/小組曲「子供の遊び」op.22
2)サン=サーンス/チェロ協奏曲第1番イ短調,op.33
3)(アンコール)サン=サーンス/チェロ協奏曲第1番イ短調,op.33〜第3楽章
●演奏
フランソワ=クサヴィエ・ロス指揮レ・シエクル
ラファエル・ピドゥ(チェロ*2)

Review by 管理人hs  

朝10:15からという通常では考えられない時間からホールB7で始まった公演は,フランソワ=クサヴィエ・ロスさん指揮のレ・シエクルという室内オーケストラによる演奏会でした。このB7というホールですが,写真を見ても分かるとおり本来のコンサートホールではありません。床は通常の絨毯で天井は低いので,残響もほとんどありませんでした。オーケストラの皆さんには可哀想な気はしましたが,この団体は音楽祭の常連ということで,この辺の事情は承知のことと思います。

このレ・シエクルというオーケストラは,室内オーケストラということで,オーケストラ・アンサンブル金沢とほぼ同じ大きさでした(演奏が始まる前と後に団員全員で挨拶をする点も同じでした。)。このオーケストラの楽器で,まず目に付いたのは,ホルンがかなり古い楽器を使っていた点でした(ティンパニもちょっと変わった形でした)。演奏後の説明で分かったのですが,初演当時の楽器を使うというのがこの団体の特徴のようです。弦楽器もガット弦を張った楽器を使っているとのことでした。

演奏前,ロスさんが「おはようございます。今日は曲順を変えて演奏します」と日本語であいさつした後,ビゼーの演奏が始まりました。上述のとおり,あまり良い環境ではなかったのですが,若い奏者たちの勢いとセンスの良さが伝わってくるような演奏となっていました。第1曲は歌劇「カルメン」の最初の方に出てくる「衛兵の交代」の曲を思い出させるかわいらしい曲です。小ぶりのシンバルのチープさが良い感じを出していました。3曲目のフルートのキビキビした感じ,4曲目のスマートな優雅さ,5曲目のギャロップの軽さなども印象的でした。ホルンの強い響きも良いアクセントになっていました。

サン=サーンスのチェロ協奏曲第1番では,ソリストのビドゥさんもガット弦を張った楽器を使っていました。この会場の音響のせいもあるのかちょっと鳴りが悪いところはありましたが,冒頭からしっとりした音を聞かせてくれました。第2部のメヌエットも粋でした。そして,何といっても第3楽章の技巧の確かさが見事でした。機会があれば,是非,普通のホールで聞いてみたい奏者です。演奏後は,熱烈な拍手が続き,第3楽章の一部がアンコールとして演奏されました。(2007/05/07)

ホールB7 マラルメ
席数:820

ホールB5は通常のホテルの大宴会場のような感じでした。ステージの上には,反響板がありましたが,臨時で付けられていたような感じでした。


会場を出たところの窓から見えた風景です。