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いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭2017 レビュー・トップページ
いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭2017
2017年4月28日〜5月5日 石川県立音楽堂,金沢市アートホール,JR金沢駅周辺,金沢市内各地

Review by 管理人hs  

4月29日(土・祝) 開幕ファンファーレ,オープニング・コンサート

「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭2017」の開幕とオープニンス・セレモニーは,ほぼ,ラ・フォル・ジュルネ金沢の時と同様でした(そもそも,これらのセレモニーは,従来から金沢独自企画でしたね)。

まず,午前11時にJR金沢駅 鼓門下で行われたオープニング・ファンファーレを聞いてきました。やや風は強かったものの,晴れたのも良かったですね。

司会は青島広志さんで,ザ・トランペットコンサートの皆さんによってファンファーレが演奏されました。

 

音楽祭のキャラクター,ガルガンチュアの紹介もありました。生で初めて見たのでが,紙に印刷されたものよりも,ずっと可愛らしい印象です。これから最終日まで,音楽祭を盛り上げてくれることでしょう。



その後,金沢大学フィルハーモニー管弦楽団による演奏が続きました。

 
 

この日は,いったん帰宅し,出直した後,14:00からのオープニング・コンサートを聞いてきました。

【OP】オープニングコンサート
14:00〜 石川県立音楽堂コンサートホール

式典
1)富山県民謡/越中おわら
2)石川県民謡/山中節
3)ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
4)(アンコール)宮川彬良/シンフォニック・マンボ No.5

●演奏
ユベール・スダーン指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(コンサートミストレス:アビゲイル・ヤング)*2-3
アン・アキコ・マイヤース(ヴァイオリン*3)
越中八尾おわら保存会*1, 高田柳晴(唄*2), 山岸紘晴(三味線*2), 清水晴起,武部晴聖(踊り*2)

午後からは,記念式典に続いてオープニングコンサートが行われました。司会は池辺晋一郎さんでした。

 
開演前には,コンサートホールの2階席のホワイエの辺りで,トランペットのファンファーレが鳴り響いでいました。この場所はなかなか良いと思いました。,

入口の雰囲気も,ラ・フォル・ジュルネ金沢の時と同様でした。
 

記念式典の内容も,ラ・フォル・ジュルネ金沢の時と全く同じで,前田利祐氏,谷本石川県知事,山野金沢市長の3人の方からの挨拶でした。
 

オープニング・コンサートの方には,目新しさがありました。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲がメインでしたが,その前に,まず,ザ・トランペットコンサートによるファンファーレ,その後,富山県民謡の越中おわら,石川県民謡の山中節が演奏(踊り付き)されました。

ファンファーレは,ベートーヴェンの歌曲「自然における神の栄光」をもとにしたファンファーレでした。確か高校ぐらいの音楽の教科書に合唱曲として載っていた曲で,なつかしい気分になりました。トランペット8人による演奏で,大変気持ち良く爽快に聞かせてくれました。ちなみに,午前中に鼓門下でのファンファーレは,別の曲(編成も違っていた?)だったと思います。やはりホール内で聞く方が聞き映えがすると思いました。

越中おわらは,9月初旬に富山県八尾で行われる「風の盆」が有名ですが,その雰囲気をそのままホールに持ってきた感じでした。ベートーヴェンとは...つながらないのですが,「風」という言葉ではつながっていますね。胡弓の音と哀愁と全体に漂う浮遊感が,大変魅力的でした。「男踊り」「女踊り」の2種類が順に登場しましたが,ずっと浸っていたくなるような雰囲気がありました。

山中節の方は,ロングトーンの声の美しさが大変魅力的でした。こちらはオーケストラの伴奏による演奏で,民謡の声と大変うまく溶け合っていました(ただしマイクを使っていました)。

その後はメインプログラムのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が演奏されました。まず,ユベール・スダーンさん指揮OEKの演奏が素晴らしいと思いました。スダーンさんの演奏を聞くのは今回が初めてでしたが,虚飾を配して,基本的に速目のテンポで演奏していましたが,その中に何とも言えない,柔らかさや落ち着きがあり,安心して聞けるベートーヴェンを楽しませてくれました。

白と黒のドレスで登場したアン・アキコ・マイヤースさんは,その雰囲気どおりの,クール・ビューティな演奏を聞かせてくれました。凛とした音で,くっきりと演奏されていました。要所要所で,しっかりと歌い込んだり,非常に力強く演奏したりする,音楽の聞かせ方も巧いと思いました。

ちなみにこの曲では,第1楽章の後,盛大な拍手が入りました。お客さんの傾向としては,「はじめてこの曲を聞く」人が多かった印象です。

最後にアンコールが1曲演奏されました。OEKの金管や打楽器のメンバーがゾロゾロと入って来たので,「一体何?」と思っているうちに,ベートーヴェンの「運命」の第1楽章が普通に始まりました。やや不審に思っているうちに,ラテン系パーカッションが加わり,ペレス・プラードのマンボNo.5と合体。「ああ,あの曲か!」と分かりました。宮川彬良さんによる名編曲ですね。この曲で会場はさらに大きく盛り上がりました。楽し気に指揮をするスダーンさんを見ながら「いい人だなぁ」と思いました。

このオープニング・コンサートを聞いて,この音楽祭のコンセプトは「過剰なまでの盛り沢山」感かなと実感しました。音楽祭の後半では,4日連続でピアノ・ソナタマラソンに挑戦する予定なので,体調に注意しながら,ベートーヴェン祭りを楽しみたいと思います。

終演後,音楽祭のマスコットのガルガンチュアが出口でお出迎え。記念撮影をする人もいて(結構,年輩の方に人気?),今日一日で一気に知名度を上げたのではないかと思います。

 

青島広志さんによるイラストも,前年までと同様でした。
 

金沢オリジナルの辻口パテシエによるスイーツと金沢オリジナルグッズ。クリアファイルやマスキングテープなどを売っていました。
 

ベートーヴェン交響曲全集はコンサートホールの企画の目玉。右側は協賛企業
 

邦楽ホール前にもプログラムの掲示