2002年3月の演奏会から

■3月10日(日) 第116回定期公演M
指揮=岩城宏之
3月の公演マイスター・シリーズ
3月の定期公演は,M,PHとも岩城宏之音楽監督の指揮です。マイスター・シリーズの方は,東京・名古屋で行われてきた「モーツァルト全集」の完結を記念する公演です。毎年,2〜3月頃には,OEK合唱団との共演で宗教曲が取り上げれることが多いのですが,今年は,この全集にあわせて,モーツァルトのレクイエムが演奏されます。独唱は,ソプラノが中村智子さん,メゾ・ソプラノが鳥木弥生さん,テノールが佐々木正利さん,バリトンが三原剛さんです。このうち,中村さんと鳥木さん(七尾市出身)のお2人は,昨年末のメサイア公演でもOEKと共演しています。なお,これまでOEK合唱団の指揮はずっと大谷研二さん担当されていましたが,今回は,テノールの佐々木正利さんがが担当しています。この日のレクイエムは,モーツァルトの交響曲の全曲を番号順に演奏してきたこのコンビの総決算となります。きっと充実した演奏になることでしょう。ちなみに,この日の演奏はライブ録音される予定です。こちらの方も楽しみです。

前半では,石川県立音楽堂の開館記念行事として実施された石川の三文豪によるオーケストラ歌曲作曲コンクールで最優秀賞を受賞した倉知竜也さんの小景異情:ソプラノ独唱とオーケストラのためのが演奏されます。この作品は,室生犀星の「抒情小曲集」の中で最も有名な詩である「小景異情」に曲をつけたものです。ソプラノは,初演の時と同じ薗田真木子さんです。この方の歌唱は,作品同様,審査員から大変高い評価を得ていました。審査演奏会を聞き逃した方にとっては,必聴の演奏会となるでしょう。

●参考ページ:2002年11月3日審査演奏会審査結果倉知竜也さんのホームページ

■3月16日(土) 第117回定期公演PH
指揮=岩城宏之
3月の公演フィルハーモニー・シリーズ
フィルハーモニー・シリーズの方は,岩城宏之音楽監督のお得意の現代日本の作品4曲を集めたプログラムです。特筆すべきは,すべての作品が,石川県立音楽堂開館記念として作曲を委嘱されたものだということです。つまり,すべて「世界初演」ということになります。こういうプログラムはCD化された「21世紀へのメッセージ」シリーズ以来のことになります。今回のプログラムでは,すべての作品に邦楽器が登場するのも大きな特徴です。石川県立音楽堂には,コンサートホールの他に邦楽ホールがありますが,そのコンセプトを曲として表現した曲ばかりになりそうです。演奏される曲は次のとおりです。

権代敦彦/愛の儀式:構造と技法
西村朗/二十絃筝とオーケストラのための協奏曲
一柳慧/音に還る:尺八とオーケストラのために
猿谷紀郎/ときじくの香の実


今回委嘱された作曲家の皆さんは,すべて過去にOEKのために一度は曲を書いたことのある方ばかりです。西村さんと一柳さんは,過去にコンポーザー・イン・レジデンスをつとめたことがあります(西村さんは音楽堂のチャイムの作曲もしています)。猿谷さんの曲は「21世紀へのメッセージ」Vol.2に曲が収録されています。権代さんの曲も大変印象に残る曲でした。ベテランから若手まで,過去に実績のある方の作品ばかりということで,とても期待の持てるプログラムになりそうです(かなり歯ごたえはありそうですが)。

演奏者の方も大変充実しています。どの曲にどなたが登場するのかはわからないのですが,次の方々が出演します。笙:宮田まゆみ,筝:吉村七重,尺八:三橋貴風,和太鼓:林英哲,横笛:赤尾三千子の皆さんです。このうち,吉村さん,三橋さん,赤尾さんは過去にOEKと共演しています。

宮田さんと林さんは,クラシック音楽を演奏する邦楽器演奏者としては,どちらもスター的な存在です。宮田さんは,サイトウ・キネン・オーケストラとともに武満さんのセレモニアルという曲を演奏したりして,国際的にも活躍しています。林さんの方も,国際的に活躍していますが,最近では,2000年にケント・ナガノ指揮ベルリン・フィルの野外コンサートに登場して絶賛を浴びています。この様子はテレビでも中継されていましたので,ご覧になった方も多いと思います。

3月31日(日) 第118回定期公演F
指揮=ボブ佐久間
3月の公演ファンタジーー・シリーズ
3月のファンタジー・シリーズは,名古屋フィルハーモニー交響楽団との合同演奏による,映画音楽,ミュージカル音楽の特集です。指揮はボブ佐久間さんで,演奏会の司会はスコット・ハーズさんが務めます。ボブさんは,作曲・編曲家としての方が有名な方で,「和製ジョン・ウィリアムス」と呼ばれているそうです。今回の演奏会の編曲もボブさんが担当されるのではないかと思います。スコットさんは,経済ジャーナリストなどいろいろな分野で活躍されている方です。DJやコメンテーターなどもされているようですので,きっと流暢な司会進行ぶりを見せてもらえるのではないかと思います。

演奏される曲は次のような曲です。
・映画音楽:バック・ドラフト,スター・ウォーズ,シンドラーのリスト...
・ミュージカル:南太平洋,王様と私,雨に唄えば...

バックドラフトの音楽は,以前フジテレビで放送していた「料理の鉄人」の音楽としての方がよく知られていると思います。スターウォーズ,シンドラーのリストは,言うまでもなくジョン・ウィリアムズの作品です。ミュージカルの曲の方は,1950年代のミュージカル映画全盛期の名作ばかりです。