2002年10月の演奏会から

■10月4日(金) 第128回定期公演PH
指揮=ルドルフ・ヴェルテン
2002年10月の公演
昨年に続いてOEKが演奏会形式でオペラを上演します。演目は,プッチーニの「トスカ」です。演奏会形式では,2000年の「椿姫」,2001年の「カルメン」に続いての上演,プッチーニの作品としては1999年の「蝶々夫人」以来の上演ということになります。OEKが毎年オペラを上演するようになったのは「オペラは盛り上がる」という感触を金沢のお客さんが実感し始めているからだと思います。過去2回の演奏会形式の上演は,ともにハイライト形式でしたが,今回は全曲上演だという点も注目です。「トスカ」は,比較的短めのオペラで,アリアごとに拍手の入らない(入れられない)曲ですので,演奏会で上演するには最適です。

指揮は,昨年数回客演し,金沢ではすっかりおなじみになったルドルフ・ヴェルテンさんです。ヴェルテンさんは,昨年のブランデンブルク協奏曲全曲,ピアソラのタンゴなど非常に幅の広いレパートリーを持った方ですが,今回はオペラの指揮ということで,またまた違った面を見せて頂けそうです。主な配役は,トスカがラウラ・ニチュレシュさん,カヴァラドッシがニコラス・エッターマンさん,スカルピアがアレキサンダー・クリュニュフさんです。日本では知名度の高くない方ばかりですが,いずれもヨーロッパの歌劇場で活躍されている方々です。脇役及び合唱にOEK合唱団の方々が登場するのも注目です。合唱指揮の香田裕泰さんがアンジェロッティを歌うのをはじめ,堂守,スポレッタ,牢番,羊飼い役はすべてOEK合唱団員がソロで登場します。それと,このところ大活躍のOEKエンジェルコーラスも登場します。

演奏会形式ということですが,わたべさちよさんの演出も付いており,音楽堂のステージを使ってどういうオペラが展開されるか非常に楽しみです(ビラには,「時代を現代に」と書いてあります)。「オペラ=高い」というのが常識ですが,チケット料金が通常の定期公演と同じなのも嬉しいところです。

なお,ヴェルテンさんと今回のソリストとによる小松定期公演<秋>10月7日に小松市公会堂で行なわれます。こちらは,オペラ・アリアの夕べになるようです。


■10月13日(日) 第129回定期公演M
指揮=岩城宏之
10月の公演OEKは,10月後半に中国公演(中国地方ではなく"China"です)を行ないますが,その壮行会のような演奏会がこの公演です。指揮は岩城宏之音楽監督です。演奏される曲は,海外公演ということで,日本人作曲家の曲が3曲も入っています。中国でも,これらの曲とベートーヴェンの曲などが組み合わせて演奏されます。

演奏されるのは,外山雄三:管弦楽のためのディヴェルティメント(日本民謡による),徳山美奈子:交響的素描(加賀と能登の歌による)(世界初演),西村朗:鳥のヘテロフォニーベートーヴェン:交響曲第8番の4曲です。

外山さんの曲は,有名なラプソディと並んで外山さんの代表作となっている作品です。OEKもよく演奏しています。徳山さんの曲は世界初演ということですが,サブタイトルの「加賀」「能登」という言葉からすると,外山さんの曲と似たタイプの曲なのではないかと思います。西村さんの曲は,OEKのコンポーザー・イン・レジデンス時代に作曲された曲です。OEKが委嘱した作品の中ではもっとも繰り返し演奏されている曲です。金沢でも演奏されたことがありますが,非常に演奏効果の上がる曲です。ベートーヴェンの8番は,軽めの交響曲に思われがちですが,最後に置かれると立派な曲になってしまうような不思議な魅力を持った作品です。昨年以来,岩城さんはベートーヴェンをよく取り上げていますが,今回も充実した演奏を聞かせてくれるでしょう。