1997年
●ニューイヤー・コンサート:特別公演 97/01/10 金沢市観光会館
リーダー=マイケル・ダウス

ベートーヴェン/コリオラン序曲op.62
モーツアルト/オーボエ協奏曲ハ長調K.314(宮本文昭(Ob))
バッハ,J.S./ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調(マイケル・ダウス 宮本文昭(Ob))
シュトラウス,J./喜歌劇「ジプシー男爵」〜入場行進曲
シュトラウス,J./ポルカ「クラップフェンの森で」op.336
シュトラウス,J./ワルツ「ウィーン気質」op.354
シュトラウス,J./新ピツィカートポルカ,op.449
シュトラウス,J./ポルカ「狩にて」op.373
シュトラウス,ヨーゼフ/ポルカ「鍛冶屋」op.269
(アンコール)シュトラウス,J./美しく青きドナウ
(アンコール)シュトラウス,J.I/ラデツキー行進曲

★この年のニューイヤー・コンサートから後半はすべてシュトラウス・ファミリーの曲になった。

第62回定期公演 97/01/31 石川厚生年金会館
指揮=外山雄三

ブリテン/マチネ・ミュージカルop.24
ロッシーニ/スターバト・マーテル(大倉由紀枝(S)大橋ゆり(S)小林一男(T)高橋啓三(B)OEKCho)

●第63回定期公演 97/02/23 石川厚生年金会館
リーダー=マイケル・ダウス
シュトラウス,R./メタモルフォーゼン(23の独奏弦楽器のための習作)
クライスラー/美しきロスマリン(マイケル・ダウス(Vn))
クライスラー/愛の悲しみ(マイケル・ダウス(Vn))
クライスラー/愛の喜び(マイケル・ダウス(Vn))
サン=サーンス/ハバネラop.83(マイケル・ダウス(Vn))
エルガー/愛のあいさつop.12(マイケル・ダウス(Vn))
チャイコフスキー/なつかしい土地の思い出〜メロディ(マイケル・ダウス(Vn))
サラサーテ/ツィゴイネルワイゼンop.20(マイケル・ダウス(Vn))
(アンコール)クライスラー/美しきロスマリン(マイケル・ダウス(Vn))

★後半の曲はほとんど,本来ピアノ伴奏の曲だが,編曲者名は不明。

●第64回定期公演* 97/03/14 金沢市観光会館
指揮=ジェームス・デプリースト
シュトラウス,R./13管楽器のためのセレナード
ショスタコーヴィチ(バルシャイ編曲)/室内交響曲
ベートーヴェン/三重協奏曲op.56(パヴェル・ボガチュ(Vn),ルドヴィート・カンタ(Vc),木村かをり(Pf))

●チェリーコンサート 97/04/18 金沢市観光会館
指揮=井上道義
ベートーヴェン/交響曲第8番ヘ長調op.93
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番ハ長調op.15(清水和音(Pf))
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調op.58(清水和音(Pf))

★当初は,中村紘子が出演する予定だったが,急病のため清水和音に変更になった。

●特別公演 97/04/24 金沢市観光会館
指揮=岩城宏之
山本純ノ介/螺旋系の音楽音響:12の時空による4次元の音像帯(世界初演)
ショパン/ピアノ協奏曲第2番ヘ短調op.21(鶴見彩(Pf))
ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調op.67
(アンコール)ベートーヴェン/トルコ行進曲

★山本純ノ介の曲は前年の10月に初演予定だった曲。会場の至るところに奏者を配する変わった作品だった。山本は,山本直純の息子。ピアノの鶴見彩は第1回の石川県新人登竜門コンサートで優秀賞を受賞している。その後,日本音楽コンクールでも2位に入賞している。

●第65回定期公演 97/05/29 石川厚生年金会館
指揮=ジャン=ピエール・ヴァレーズ

シューベルト/交響曲第3番ニ長調D.200
ベートーヴェン/ロマンス第1番ト長調op.40(マイケル・ダウス(Vn))
ベートーヴェン/ロマンス第2番ヘ長調op.50(マイケル・ダウス(Vn))
ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調op.68「田園」
(アンコール)モーツァルト/ディヴェルティメントK.136〜第1楽章

★ダウスは,この2曲をOEKとレコーディングしている。

●第66回定期公演 97/06/24 金沢市観光会館
指揮=ヘルムート・ヴィンシャーマン

モンテヴェルディ/歌劇「オルフェオ」〜トッカータとリトルネッリ
バッハ,J.S./チェンバロ協奏曲第1番ニ短調(曽根麻矢子(Cem))
バッハ,J.S.(ヴィンシャーマン編曲)/イタリア風協奏曲ト長調
ヘンデル/組曲「水上の音楽」より
(アンコール)シューマン(ヴィンシャーマン編曲?)/Bachの名によるフーガ
(アンコール)バッハ,J.S./主よ人の望みの喜びよ

★ヴィンシャーマンは,ドイツ・バッハ・ゾリステンの芸術監督。オーボエ奏者としても有名。

特別公演 97/07/18 金沢市観光会館
指揮=関谷弘志

ドビュッシー(ビュッセル編曲)/小組曲
ラヴェル/ツィガーヌ(渡辺玲子(Vn))
サラサーテ/カルメン幻想曲op.25(渡辺玲子(Vn))
ルーセル/蜘蛛の饗宴:交響的断片(組曲)
コダーイ/マロシュセーク舞曲
コダーイ/ガランタ舞曲

★当初は,フィリップ・ベンダーが指揮をする予定だった。関谷,渡辺は共に定期初登場。

第67回定期公演 97/08/31 金沢市観光会館
指揮=岩城宏之

黛敏郎/パッサカリア(絶筆未完)(世界初演,2回演奏)
江村哲二/室内協奏曲「シンポジオンープランタン」(黛敏郎へのオマージュ)(世界初演)
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調op.64(諏訪内晶子(Vn))
(アンコール)不明(諏訪内晶子(Vn))※
ビゼー(シチェドリン編曲)/カルメン組曲
(アンコール)ビゼー(シチェドリン編曲)/カルメン組曲〜ボレロ
(アンコール)シンスティン/Rock Trap

★諏訪内は金沢でコンサートを開いたことはあったが,OEKと共演するのはこの時が初めてだった。その人気を反映して,記録的な大入りになり,「大入り袋」が出た。黛は1996年のコンポーザーインレジデンスで,OEKのために「パッサカリア」を書いていたが,曲を完成させることなく,1997年4月に亡くなった。この日は,完成した部分までが演奏された。バッハ,モーツァルト,ベートーヴェンの曲などを引用した面白そうな曲だったので,完成できなかったのが悔やまれる。この曲は短かったので2回演奏された。江村の作品は,黛の新曲の代わりに急遽作曲依頼された曲。アンコールの最後に演奏されたRock trapという曲は,手拍子だけによる風変わりな曲。フルートには,ウィリアム・ベネットも加わっていた。同様の演奏会は,東京などでも行われた。いずれにしても,OEKの歴史に残る演奏会になった。

第68回定期公演 97/10/10 金沢市観光会館
ゲスト・オーケストラ=フランツリスト室内管弦楽団
バルトーク/弦楽のためのディヴェルティメント
モーツァルト/ホルン協奏曲第1番ニ長調(ラデク・バボラク(Hrn))
モーツァルト/ホルン協奏曲第4番変ホ長調(ラデク・バボラク(Hrn))
シューベルト(マーラー編)/死と乙女(弦楽合奏版)
(アンコール)バルトーク/ルーマニア民族舞曲
モーツァルト/ディヴェルティメントK.136〜第2楽章

★定期公演全体が,別のオーケストラの演奏会になった演奏会。京都市交響楽団のケースと同じだが,今度は,ソリストとしても団員が登場していない。その頃,OEKはヘルマン・プライとヨーロッパ演奏旅行に行っていた。ハンガリーから来たフランツ・リスト室内管弦楽団は,指揮者なしで演奏する団体。コンサート・マスターはヤーノシュ・ローラだった。

第69回定期公演 97/11/23 金沢市観光会館
指揮=ジャン・フルネ

フォーレ(ラボー編曲)/ドリー組曲op.56
シュトラウス,R./オーボエ協奏曲ニ長調(インゴ・ゴリツキ(Ob))
サン=サーンス/交響曲第2番イ短調
(アンコール)ビゼー/アルルの女第2組曲〜メヌエット

★昨年に続いてフルネが登場。当時84歳だった。

スペシャル公演 97/12/10 金沢市観光会館
指揮=岩城宏之,バリトン=ヘルマン・プライ
シューベルト(鈴木行一編曲)/歌曲集「冬の旅」D.911

★当初,1997年2月に行われる予定で,チケットの販売もされたが,プライさんの体調の都合で延期された公演。プライは,東京でシューベルトの歌曲のチクルスを行い,その後,金沢に来る予定だったが,「白鳥の歌」の最後で歌詞を忘れるというトラブルがあったりして,金沢で「冬の旅」を歌うための体力・気力を使い果たしたようである。延期されたときには,プライ氏,直筆の「おわび」が配布された。その時が,管弦楽伴奏版「冬の旅」の世界初演になるはずだったが,1997年秋のヨーロッパ旅行が初演ということになった。このときのミュンヘンでの公演はライブ録音され,CDになっている。日本国内でも福井,大阪など数ヶ所で同じ演奏会が行われた。プライは,約半年後の1998年7月に亡くなった。