2002年7月の演奏会から

■7月7日(日) 第124回定期公演M
指揮=ニコラス・クレーマー
2002年7月の定期公演M
7月の定期公演は,2回ともニコラス・クレーマーさんが指揮をされます。クレーマーさんが定期公演に登場するのは,3度目だと思いますが,今回初めて,ロマン派の曲を指揮します。これまではバッハ,モーツァルトの作品をオリジナル楽器の奏法を取り入れたセンスの良い演奏で聞かせてくれましたが,今回のプログラムも楽しみです。

特にOEKが取り上げることが非常に珍しいシューマンの交響曲第3番「ライン」が注目でしょう。これまで,OEKは意図的にシューマンの交響曲を避けていたような気がするのですが,小編成でのシューマンがどのように響くのか期待したいと思います。

ソリストは,前回クレーマーさんが登場した時と同じ組み合わせで,ディーナ・ヨッフェさんが登場します。この方は,クリスティアン・ツィメルマンがショパンコンクールで優勝した時に第2位になった方で非常に実力のあるラトヴィア生まれのピアニストです。今回はショパンのピアノ協奏曲第2番を演奏しますが,前回のモーツァルト同様,とても表情豊かな演奏を聞けるのではないかと思います。その他,演奏会の最初には,シューベルトのロザムンデ序曲が演奏されます。

なお,7月12日(金)にはとことんバッハと題された室内楽公演も行われます。クレーマーさんを中心に音楽の捧げ物からトリオソナタ管弦楽組曲第2番カンタータ第182番が演奏されます。バッハのいろいろな面を楽しむことができそうです。

また,7月9日(火)にはディーナ・ヨッフェさんと石川県出身の若手ピアニストが共に登場する演奏会も行われます(共演ではありません)。登場するのは,田島睦子さん,寺井梓さんで,前半にショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番,メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲第1番が演奏された後(共演はOEKメンバー),後半はヨッフェさんの独奏でショパンの名曲が演奏されます。

■7月19日(金) 第125回定期公演PH
指揮=ニコラス・クレーマー

2002年7月の定期公演PH7月のPHシリーズの方は,クレーマーさん指揮のハイドンの交響曲が中心になります。演奏されるのは第45番「告別」第104番「ロンドン」です。ピヒラーさんのハイドンとは一味違った充実した演奏を期待できそうです。「告別」の方は,最終楽章で一人ずつ奏者がステージから立ち去っていく曲ですが,どういう演出がされるのかも楽しみの一つです。この曲は,夏の間,家族と別れてエステルハージ(ハイドンのご主人)の館に住まなければならなかった楽員のために作られた曲ということで,夏休み前に演奏するには最適と言えそうです。

ソリストとして,オルガンの荻野由美子さんが登場します。オルガン独奏によるバッハ/前奏曲とフーガイ短調ラインベルガーのオルガン協奏曲第2番が演奏されます。こういう珍しい曲が聞けるのも音楽堂ならではです。

なお,7月28日(日)には荻野由美子さんのパイプオルガン・リサイタルが行われます。この演奏会では,金沢市出身のヴァイオリニスト,西沢和江さんも登場します。