La Folle Journee au Japon
「熱狂の日」音楽祭2006:モーツァルトと仲間たち
ホールAプログラム
ミヒャエル・ハイドン:レクイエム
2006/05/05 14:00〜 東京国際フォーラム・ホールA
ハイドン,M./レクイエムハ短調,K.I.8
●演奏
井上道義指揮東京交響楽団,ビルバオ合唱団
ヨハネッテ・ゾマー(ソプラノ),ブリッタ・シュヴァルツ(アルト),
マルクス・シェーファー(テノール),ユベール・クレサン(バス)

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Review by 管理人hs
ホールAへの入口です。5000人も入る大ホールですので入口の階段も大変大きなものでした。
階段を上り切ったところです。ここでもCDを販売していました。
2階席だったので,さらに上に上りました。
私の座席から見たステージです。ステージ両脇にはLFJのロゴが映し出されていました。

5000人も入る大ホールに入ったのは初めてのことでした。音圧は少し低かったものの,音が広い空間に気持ちよく響いており,音響は悪くありませんでした。
今回,LFJ自体どれぐらい聞くことができるか事前に分からなかったので,この演奏会は当日になって聞くことを決めました。午前10:30頃,東京国際フォーラムに到着し,チケットの売れ行きをチェックしたところ,定員5000人ほどのホールAのコンサート以外は全部売り切れだったので,選択の余地がなかったというのが正直なところです。

ただし,井上道義さんの指揮で,モーツァルトが大きな影響を受けたミヒャエル・ハイドンの大曲が聞ける,というのはLFJならではの企画です。どういう曲なのか,という予備知識なしで,演奏に臨むことにしました。

曲は,モーツァルトのレクイエムとほぼ同じ編成・構成を取っています。ソプラノ,アルト,テノール,バスの4人の独唱者,80人ほどの合唱団(かなり大きな編成でした),オーケストラという編成で,「レクイエム,キリエ,怒りの日...,アニュス・デイ」と分けられた曲が演奏されました。編成は,コントラバスが下手側に来る対向配置でした。モーツァルトの演奏については,古楽器,現代楽器を問わず,この配置の方が普通という時代になってきました。

ただし,曲の長さはモーツァルトのレクイエムよりは短く,40分ほどでした。また,オーケストラの編成は(ステージがかなり遠く,見辛かったのですが),モーツァルトのレクイエムで活躍するバセット・クラリネット類は入っていなかったようです。

曲は,合唱が「レクイエム...」と歌い始めた後,「キリエ...」の辺りで,モーツァルトの場合同様,ソリストが順に歌い始めます。ニ短調とハ短調の違いはあるものの,大変よく似たムードがあります。

続く,「セクエンツィア(続唱)」の部分は,モーツァルトの場合,「怒りの日」,「涙の日」など,個性的な曲が文字通り続くのですが,M.ハイドンのレクイエムの場合,初めて聞くこともあって,実は,どこまでがどの曲なのかフォローできませんでした。モーツァルトの曲だと,「トロンボーンが初めて出てくると,「トゥーバ・ミルム」」という感じで区別が付きやすいのですが,この曲の場合,はっきりとした境界がありませんでした。最後の方で,「ラクリモーサ」という言葉が聞こえてきたので「もうここまで来ていたのか!」と気付いた次第です。モーツァルトのレクイエムの場合,この「セクエンツィア」の部分までが,モーツァルト自身による作品ということで,非常に迫力のある音楽が続いていますが,M.ハイドンの場合,ドラマ性が少々薄いと思いました。

その後の「オッフェトリウム」「サンクトクス」「ベネディクトゥス」「アニュスディ」といった辺りは,モーツァルトと似た作りでした。宗教音楽について詳しいことは知らないのですが,合唱が「アブラハムの子孫にかつて約束したまえることなり」「いと高きところにホザンナ」(いずれも当日のプログラムに付いていた歌詞カードの引用です)を繰り返し歌うのは,ミサ曲の基本なのかもしれません。

最後に,最初の「レクイエム」の部分が戻ってくるのも,モーツァルトと共通していました。最後の部分,フーガのようになり,トランペットの華やかな音を交えて壮麗に終わるのは,大変聞き栄えがしました。

全体的には,モーツァルトと比べると少しインパクトが弱い部分はありましたが,これは,モーツァルトの方が異様なのだと思います。きっと,M.ハイドンの曲の方が正統的な宗教曲なのではないかと思いました。その一方,「これはモーツァルトにもあるな」という音型が出てきたりして,モーツァルトのレクイエムへの影響の大きさを感じました。

演奏の方は,ヨーロッパで活躍している実力者を揃えているだけあって,とてもまとまりの良いものでした。ビルバオ合唱団は,かなりの人数がいたこともあり,やはりとても充実した歌でした。ただし,これだけ広いホールの2階席で聞いたこともあり,ダイレクトな迫力を感じるところまでは行きませんでした。

指揮者の井上道義さんは,派手なパフォーマンスで有名な方ですが,今回は,とても正統的で堂々たる雰囲気を感じさせてくれました。翌日(5月6日)には,モーツァルトのレクイエムも指揮されましたので,今年のLFJでは「すっかり真面目な”レクイエム・モード”になった井上さん」を実感できたと言えそうです。

この曲の演奏時間は,予想していたよりも短かったので,13:15頃にはホールAの外に出られました。せっかくなので,そのまま丸ビル方面まで歩くことにしました。
(2006/05/06)                                 >>丸ビルイベントへ