2003年9月の演奏会から 金沢周辺の公演

■9月10日(水) 第146回定期公演PH:仙台フィル・OEK合同演奏会
指揮=岩城宏之,外山雄三
2003年9月の公演
毎年新しいシーズンの始まる9月の定期公演には,岩城宏之音楽監督が登場します。今回のPH公演は,OEK恒例の合同公演です。今回は外山雄三さんが音楽監督を務める仙台フィルとの合同公演となります。仙台フィルとは昨年,仙台で合同公演を行なっていますので,その「お返し」ということになります。

今回の合同公演の特色はなんと言っても岩城さんと外山さんという大変つきあいの長い(半世紀ぐらい?)2人のベテラン指揮者が登場する点です。オーケストラが2つ,指揮者が2つということで,次のような6通りの組み合わせが考えられます。

岩城/OEK,岩城/仙台,外山/OEK,外山/仙台,岩城/OEK+仙台,外山/OEK+仙台

その組み合わせがすべて実現するのかどうかはわかりませんが,この演奏会では次の6曲の曲が演奏されます。この6通りのうちのどのパターンになるかを予想するのも楽しみです。

ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソウェーバー:クラリネットと管弦楽のためのコンチェルティーノ外山雄三:管弦楽のためのディヴェルティメントチャイコフスキー:スラヴ行進曲外山雄三:管弦楽のためのラプソディ

タンホイザー,スラヴ行進曲といった大編成の曲も楽しみですが,外山さん自身の作品の演奏(自作自演もあるでしょう。きっと)も大変楽しみです。それと,各オーケストラの団員がソリストとして登場するのも楽しみです。OEKからはおなじみのマイケル・ダウスさんが,仙台フィルからはクラリネットの日比野裕幸さんがソリストとして登場します。

なお,9月13日(土)には,この両指揮者がオールジャパン・シンフォニーオーケストラを指揮する「第4回現代日本オーケストラ名曲の夕べ」という演奏会が石川県立音楽堂で行なわれます。こちらも大変楽しみです。[→この演奏会について岩城さんが語っています。日本オーケストラ連盟ニュース


■9月19日(木) 第147回定期公演M
指揮=岩城宏之
9月の公演9月のマイスター公演の方も岩城宏之音楽監督が指揮をされます。この公演のプログラムは,20世紀後半に作曲された曲2曲+新曲といういかにも岩城さんらしい内容となっています。

中でも注目されるのが武満徹:系図(ファミリー・トゥリー)の室内オーケストラ版です。武満さんが最晩年に作曲したこの曲は,「若い人たちのための音楽詩」というサブタイトルが示すとおり,現代音楽らしからぬ親しみやすさを持っています。もともとは大編成のオーケストラ用の作品ですが,今回は岩城さんが室内オーケストラ用にアレンジした版で演奏されます。ビラには「神をも恐れぬ所業」と書かれていますが,武満さんと親交のあった岩城さんでないと許されないような編曲と言えそうです。谷川俊太郎さんの詩の朗読と音楽とが組み合わされた作品ですので,ナレーションの方も大きな楽しみとなります。今回の語りはOEKの「応援団」にも入っている俳優の吉行和子さんです。若い女性のナレーションとは違った魅力を聞かせてくれることでしょう。

この日の演奏会では,ヴァイオリンの川久保賜紀さんが登場するのも注目です。今年の3月の定期公演でも岩城さんとの共演で素晴らしいブラームスを聞かせてくれましたが,今回は,現代曲での共演となります。演奏されるのは,五嶋みどりさんが「演奏中弦を2度切りながらも最後まで演奏した」というエピソードで有名になったバーンスタインのセレナードです。

その他,OEKの現コンポーザー・イン・レジデンス猿谷紀郎さんの新曲も演奏されます。まだ,タイトルは決まっていませんが,どういう新曲が世界初演されるのかを楽しみにしながら,待ちたいと思います。