■9月6日（日） 15：00 石川県立音楽堂コンサートホール
第266回定期公演フィルハーモニーシリーズ
ロジェ・ブトリー新曲初演,岩城宏之メモリアルコンサート
指揮＝井上道義，サクソフォン＝須川展也，クラリネット＝豊永美恵
 2009〜2010年の定期公演シリーズの開幕公演は，今年度の岩城宏之音楽賞受賞者のクラリネットの豊永美恵さんをソリストに迎えての”イワキ・メモリアル”公演です。コンポーザー・イン・レジデンスによる新曲，若手演奏家との共演，古典派の交響曲という「OEKの３つの柱」を聞かせてくれるプログラムという点も昨年同様です。
今回の主役の１人である豊永美恵さんですが，北陸新人登竜門コンサートには出演されたことはありません。これまで岩城宏之音楽賞受賞者は, このコンサートの出演者の中から選ばれていましたので，従来とはちょっと違うパターンということになります。音楽堂に登場するのは，恐らく今回が初めてだと思いますが，どういう演奏を聞かせてくれるか楽しみにしたいと思います。
豊永さんは，福井県出身の方で，既に活発に演奏活動をされていらっしゃいます。今回は，クラリネット協奏曲の定番中の定番の作品であるモーツァルトのクラリネット協奏曲を演奏します。
（参考）豊永美恵オフィシャルサイト
コンポーザー･イン･レジデンスによる新作の方は，ロジェ・ブトリーさんによる，サクソフォンとオーケストラのための協奏曲が演奏されます。ブトリーさんは，指揮者としてこれまで数回OEKに客演し，数年前に初演された「URASHIMA」がCD化されています。パリのギャルド吹奏楽団の前指揮者としてよく知られた方ということで，管楽器の奏法を知り尽くした作品となっているのではないかと思います（考えてみると，今回は木管楽器の協奏曲が連続する形になります。珍しいパターンですね）。ソリストとして，日本のサクソフォン奏者の第１人者と言っても良い須川展也さんが登場するのも注目です。
演奏会の最後は，このところ井上道義音楽監督が積極的に取り上げているハイドンの交響曲の中から，第１０２番が演奏されます。ニックネームが付いていないため演奏会で取り上げられる機会は多くないのですが，ハイドン後期の充実した作品と言われています。これまでの経験からして，「井上/OEKのハイドンに駄作なし」という法則（？）がありますので，こちらも楽しみに聞きたいと思います。
なお，この演奏会に先立って，同様の公演が次のとおり行われます。
- 岩城宏之メモリアルコンサート（富山） ９月４日（金）19:00富山県民会館
- 岩城宏之メモリアルコンサート（福井） ９月５日（土）19:00開演 ハーモニーホールふくい 大ホール
また，ブトリーさんの作品を集めた室内楽公演が次のとおり行われます。
- OEK赤羽ホール室内楽シリーズ ロジェ・ブトリー with OEKメンバーズ 2009年 ９月７日（月）18:30開演 北國新聞赤羽ホール ＊詳細は→演奏会情報
■9月8日（火） 19：00開演 石川県立音楽堂交流ホール
OEK室内楽シリーズ「もっとカンタービレ」第16回
ミッキーpresents カンタービレ・ファンタジーナイト
指揮=井上道義，パントマイム=ヨネヤマママコ，ソプラノ=荻野砂和子，OEKメンバー
 OEK室内楽シリーズ「もっとカンタービレ」ですが，井上道義音楽監督もすっかり常連となったようです。井上音楽監督が登場すると，演奏というよりはパフォーマンスになるのが特徴ですが，今回は，パントマイムのヨネヤマママコさんが登場します。井上さん自身，マイムやバレエがお得意ですが，このお２人の掛け合いが楽しめそうです。
演奏される曲も挑戦的な曲が並んでいます。シェーンベルクの月に憑かれたピエロは，井上さんが最初にOEKに客演した頃に一度定期公演で演奏されたことはありますが，恐らく，交流ホールで演奏される方が楽しめるのではないかと思います。大変な難曲ですが，マイムと荻野砂和子さんのソプラノ付きの演奏ということで，モノオペラ（登場人物が１人だけのオペラ）的な雰囲気になるのではないかと思います。
その他，次のように後期ロマン派から新ウィーン楽派の作曲家の作品が取り上げられます。
- ウェーベルン：スロームーヴメント
- Ｒ.シュトラウス：“カプリッチョ”より弦楽六重奏曲
- シェーンベルク：月に憑かれたピエロ
果たして楽しめるのかどうか不安な面もありますが，この交流ホールは，「何でもあり」の許容度の高い空間ですので，きっと何とかなる？でしょう。OEKの違った面を楽しめそうな公演です。ちなみにR.シュトラウスの六重奏曲は，井上道義さんとOEKが初レコーディングした「SWEETS」の中に収録されている曲です。実演で聞く機会は少ないので，この演奏も楽しみです。
■9月18日（金） 19：00 石川県立音楽堂コンサートホール
第267回公演マイスターシリーズ
井上道義のモーツァルト
指揮=井上道義，ピアノ=コルネリア・ヘルマン
 ９月のもう一つの定期公演は，打って変わってモーツァルトを中心としたプログラムとなります。井上/OEKのモーツァルトといえば，何と言っても今年のラ･フォル･ジュルネ金沢を思い出しますが，そのアンコール的な公演といったところです。
今回は，交響曲第３６番「リンツ」がメインで演奏されます。井上さんの指揮では，これまで２５番，３５番，３９番，４０番，４１番などを聞いてきましので，是非，残りの３８番も演奏して，後期６大交響曲集を完成させてもらいたいと思います。
もう１曲演奏されるピアノ協奏曲第２３番は，ラ･フォル･ジュルネでは確か演奏されなかった曲です。今回は，コルネリア・ヘルマンさんという若手ピアニストとの共演になります。ヘルマンさんは，ザルツブルク出身ということで，モーツァルト演奏に大変相応しい方と言えます。
その他，グノーの小交響曲が演奏されます。この曲は，管楽器だけによる作品で，以前，交流ホールで演奏されたこともあります。モーツァルトの曲との相性もぴったりなのではないかと思います。
その他，９月は金沢市以外で次のような公演が行われます。
- 輪島公演 ９月１０日（木）19:00開演 輪島市文化会館 指揮：井上道義，独唱：仲谷響子（ソプラノ）
- 加賀公演 ９月１３日（日）15:00開演 加賀市文化会館 指揮：井上道義，独唱：仲谷響子（ソプラノ）
- 武豊公演（愛知） ９月２０日（日）16:00開演（15:30開場） ゆめたろうプラザ 指揮：井上道義，郷古 廉（ヴァイオリン）
- 舞鶴公演（京都）９月２１日（月祝）15:30開演 舞鶴市総合文化会館大ホール 指揮：井上道義，独奏：郷古廉（ヴァイオリン）
- 姫路公演（兵庫）９月２２日（火祝）15:00開演 パルナソスホール 指揮：井上道義 独奏：郷古廉（ヴァイオン）
- 大阪定期公演 ９月２３日（水祝）15:00開演 ザ・シンフォニーホール 揮：井上道義，独奏：コルネリア・ヘルマン（ピアノ）
- 東京オペラシティ ウィークデイ・ティータイム・コンサート９ ９月２５日（金）14:00開演 東京オペラシティコンサートホール 指揮とお話：井上道義、池辺晋一郎
- ハイドン「天地創造」 東京公演 ９月２７日（日）19:00開演 サントリーホール 指揮：井上道義，小林沙羅（ソプラノ），望月哲也（テノール），三原 剛（バリトン），合唱：成城合唱団（合唱指揮：高嶋邦幸）
- 第３１回名古屋定期公演 ９月２８日（月）19:00開演 愛知県芸術劇場コンサートホール 指揮：井上道義，独奏：コルネリア・ヘルマン（ピアノ）
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