■９月４日（土）15:00開演（14:15開場）石川県立音楽堂コンサートホール
第286回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
指揮：井上道義 ，独奏：加古隆（ピアノ）， ルドヴィート・カンタ（チェロ、2010年度岩城宏之音楽賞受賞者）
 2010〜2011年の定期公演シリーズの開幕公演は，今年度の岩城宏之音楽賞受賞者のチェロのルドヴィート･カンタさんをソリストに迎えての”イワキ・メモリアル・コンサート”です。今回から名称の変わったコンポーザー･オブ･ザ･イヤー（旧コンポーザー・イン・レジデンス）による新曲，古典派の交響曲とあわせて「OEKの３つの柱」を聞かせてくれるプログラムという点も昨年同様です。
今回の主役の１人，ルドヴィート･カンタさんは，今更言うまでもなく，OEKの首席チェロ奏者です。新人アーティストのための賞という観点からは外れますが，近年の活躍ぶりを考えると当然ともいえます。カンタさんは，OEKとともに，本当にいろいろなチェロ協奏曲を演奏してきましたが，サン=サーンスの協奏曲を定期演奏会で取り上げるのは初めてだと思います。その意味でも楽しみな演奏です。
（参考）ルドヴィート･カンタ公式サイト http://kanta-cello.com/
コンポーザー･オブ･ザ･イヤーによる新作の方は，加古隆さんによる，「ヴァーミリオンスケープ：朱の風景」が演奏されます。加古さんは，OEKが演奏を担当した映画「明日への遺言」をはじめ，数多くの映画やテレビのための音楽を作っています。これまでのコンポーザー･イン･レジデンスの作品については，いわゆる「現代音楽」の作曲家による，やや難解な印象を与える作品が多かったので，今回の加古さんの起用は，井上音楽監督による新たな挑戦の一つと言えます。今回の作品名に入っている「ヴァーミリオン(朱色）」は，加古さんがイメージする「金沢の色」とのことです。一体どういった色が見えてくるのでしょうか？
その他，黄昏のワルツ，ポエジー〜グリーンスリーブス，フェニックスといった加古さんの作品が演奏されます。
もう１曲は，このところ井上道義音楽監督が積極的に取り上げているハイドンの交響曲第１０３番です。昨年は，１０２番が演奏されましたので，後期の交響曲を波状攻撃している感じです。この作品については，有名な作品の割にOEKが演奏する機会は多くない作品です。標題にもなっている冒頭の「太鼓連打」の部分をはじめとして，井上さんらしい創意工夫に満ちた演奏を聞かせてくれることでしょう。
- ハイドン／交響曲第１０３番変ホ長調「太鼓連打」
- サン＝サーンス／チェロ協奏曲第１番
- 加古隆／ヴァーミリオンスケープ〜朱の風景〜（OEK委嘱作品・世界初演）
- 加古隆／黄昏のワルツ
- 加古隆／ポエジー 〜グリーンスリーブス
- 加古隆／フェニックス
この公演と同一内容の演奏会が，前日に富山でも行われます。というわけで，世界初演は富山ということになります。
９月３日（金）19:00開演（18:15開場）富山県民会館 大ホール
■９月８日（水）19:00開演（18:30開場）石川県立音楽堂交流ホール
もっとカンタービレ第23回 井上道義プロデュース 新作能「大魔神」
指揮・語り・構成・演出：井上道義 舞：渡邊荀之助（宝生流シテ方） 囃子：望月太喜之丞 ，オーケストラ・アンサンブル金沢メンバー
 今回のOEK室内楽シリーズ「もっとカンタービレ」では，井上音楽監督プロデュースによる新作能が上演されます。その名も「大魔神」ということで，一体どいう内容なのか大変気になります。指揮だけではなく，演出・構成，そして語りも井上音楽監督が担当するということで，非常に独創的な能になることでしょう。
今回の能ですが，使われる曲自体は次のような通常のクラシック音楽です。舞が加わることで，ステージがどういう世界に変わるのかを楽しみたいと思います。
■９月９日（木）12:15開演 石川県立音楽堂コンサートホール
スペシャル・ランチタイム・コンサート 天沼裕子＆松本和将 Ｗｉｔｈ ＯＥＫ
指揮・お話：天沼裕子 ピアノ：松本和将
 毎月行われているランチタイム・コンサートにＯＥＫがフル編成で登場します。４５分程度の長さで，乳幼児も入場可ということで，ラ･フォル･ジュルネを思わせる演奏会になりそうです。指揮はお馴染みの天沼裕子さんで，ソリストとしてピアニストの松本和将さんが登場します。
９月１０日（金）19:00開演（18:15開場） 輪島市文化会館大ホール
輪島公演 ９月９日の曲が全曲演奏されます。
■９月１８日（土）15:00開演（14:15開場）石川県立音楽堂コンサートホール
第287回定期公演マイスター・シリーズ
指揮：井上道義 独奏：広瀬悦子（ピアノ）
 ９月のもう一つの定期公演は，OEKの特徴をいろいろな角度から味わえるプログラムです。プログラム全体を古典派交響曲で締めるのは，近年の井上さんの特徴ですが，その他にメンデルスゾーン，ラヴェル，武満徹の曲が演奏されます。
メンデルスゾーンの弦楽のための交響曲第１２番は，滅多に演奏されることのない作品ですが，早熟の天才だったメンデルスゾーンならではの完成度の高さを楽しむことができそうです。
武満さんの地平線のドーリアは，岩城音楽監督時代に何回か取り上げられてきた作品ですが，今年は武満さんの生誕８０年の年ですので，それにちなんでの選曲だと思います。
もう一つの楽しみは，ピアノの広瀬悦子さんです。広瀬さんは，今年のラ･フォル･ジュルネ金沢に登場しましたが，OEKの定期公演に登場するのは今回が初めてです。映画版「のだめカンタービレ」にも登場したラヴェルのピアノ協奏曲は，OEKが何回も演奏してきた曲ですが，フランスを中心に活躍する広瀬さんの演奏は，本場の空気を感じさせてくれるような演奏になるのではないかと思います。
９月後半は，この定期公演と同様のプログラムで，以下のとおり国内ツァーが行われます。ピアニストは，菊池洋子さんと広瀬悦子さんのダブルキャストになります。
武豊公演（愛知） ９月２０日（月・祝）16:00開演（15:15開場） ゆめたろうプラザ 輝きホール 指揮・お話：井上道義
第３３回名古屋定期公演 ９月２２日（水）19:00開演（18:15開場） 愛知県芸術劇場コンサートホール 指揮：井上道義
独奏：菊池洋子（ピアノ）
大阪定期公演 ９月２３日（木・祝）15:00開演（14:00開場） ザ・シンフォニーホール 指揮：井上道義
独奏：菊池洋子（ピアノ）
神戸公演 ９月２４日（金）19:00開演（18:30開場） 神戸新聞松方ホール 指揮：井上道義
独奏：広瀬悦子（ピアノ）
武雄公演（佐賀） ９月２５日（土）19:00開演（18:30開場）武雄市文化会館大ホール 指揮：井上道義
独奏：広瀬悦子（ピアノ）
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